軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第101話 本来の目的

私は受けた依頼の報告で冒険者ギルドを訪れていた。

「問題ありません。依頼達成となります。報酬は口座に振り込ませていただきます」

「よろしくお願いします」

冒険者ギルド内ではとある噂で持ちきりになっているのが耳に入る。

「初心者狩りが姿を消したらしいぜ」

「ほんとな。最近は初心者の死体も上がらなくなったらしい」

「誰かが初心者狩り狩りをしているのかもな」

私は何もしてないよ、何も、ね。

出入り口に向かって歩いている途中で、見知った顔が近づいてくるのが見えた。

「あっ、姉ちゃん!!」

「ロビン君、今日の探索は終わり?」

ロビン君たちとシルドさんたちだ。

「あぁ。しかも、もうすぐ卒業だって言ってもらえたんだぜ!!」

「そっか、よかったね。おめでとう」

「へへへ、これで俺たちも一人前だ」

仲間たちと一緒にロビン君が鼻の下を掻きながら嬉しそうに笑う。

でも、手を貸した者としてきちんと言っておかないとね。

「分かってると思うけど――」

「言われなくても分かってるよ。絶対調子に乗らないし、無理はしない。慎重に慎重を重ねて進むよ。それに俺たちは元々ダンジョンを攻略したいわけじゃないからな」

ロビン君は私の言葉を遮って、真剣な表情で自分の胸をポンと叩いた。

これなら大丈夫そうかな。

「それならいいんだけど、気をつけるんだよ」

「任せてよ。そんじゃあ、俺たちは帰るよ」

「うん、ばいばい」

私はその背中をぼんやりと見送る。

子どもたちが初心者狩りに襲われた事件の後、ロビン君たちの指導はシルドさんたちが完全に引き受けてくれた。

時間ができた私は、依頼を受けたり、薬草採集をしたり、生姜焼きポーションという名のタレを開発したり、シモフリバイソンを狩ったりしながら過ごしていた。

もう責任を果たしたと言ってもいいよね?

ロビン君も独り立ちするみたいだし、頃合いだと思う。異世界を見て回る他に、米を探すという新しい目標もできた。

もうここに留まる理由はない。

その場に残っているシルドさんに声を掛けた。

「子どもたちのこと、任せちゃってすみません」

「いや、こんなことで命を助けてもらった恩は返せるとは思ってねぇからな。このくらいならいくらでも言ってくれ」

「ありがとうございます。それで、あの子たちは本当に大丈夫ですか?」

ロビン君はああ言ってたけど、直接聞いておきたい。

「あぁ、あの事件があってから大分落ち着いたし、問題ないだろう」

「そうですか」

それならもう憂いはない。

「誰かが初心者狩りを狩っているらしいしな」

「なんのことだか」

シルドさんたちがジッと私を見るけど、何も知らないので肩を竦めた。

初心者狩りは必ずまた現れる。でもしばらくは大丈夫だと思う。その間に初心者狩りにも負けない力がつけられればそれでいい。

それに、あの子たちが強くなれば、今度はあの子たちが小さい子たちを強くしてくれるはず。シルドさんたちも協力してくれると思う。

そうやって、初心者を教育して、初心者狩りが活動しにくい流れができればいいな。

『そろそろ、南の国に行こうか』

『ふむ。そうだな、そろそろシモフリバイソンも飽きてきたところだ。海のモンスターを食べるのも悪くないな』

『ピピッ』

アークもエアも賛成らしい。

エアが念話できるようになってからは、街中では三人で話している。

街を出る前にグレオス商会に足を運んだ。

「街を出られるのですか?」

グレオス商会の応接室で、イトゥーさんが飲もうとしたお茶を止めて受け皿に戻す。

「はい。元々南の国に行く途中で立ち寄っただけですので」

「そうですか……まだお願いしたい依頼があったのですが仕方ありませんね」

細い目で分かりづらいけど、少し悲しそう……かな。

「すみません。それで、ずっとお預かりしていたこのバッグをお返しします」

「いえ、そちらのバッグですが、ぜひそのまま使いください」

私がテーブルの上にバッグを載せて押し出すと、イトゥーさんに押し返された。

「え、いやいや、そうはいきませんよ。これ内部の時間が遅延する機能まで付いた物凄く高価なバッグですよね?」

「もちろんタダとは言いません。一つ依頼を受けていただければ、報酬として差し上げます」

「うーん、依頼内容を聞かないと何とも言えませんね」

ここで安請け合いしてとんでもない無理難題を吹っ掛けられても困る。

「いえ、とても簡単なことです。これから南の国に行かれるということですので、ついでに商隊の護衛をしていただけないかと思いまして」

「うーん、護衛なんてしたことありませんし……」

今までそんなに大人数で移動したことがない。自分たち以外と行動を共にしたのは、マリンダさんと村に行った時くらいだ。

正直、卵泥棒みたいな相手からは商隊を守れる気がしない。

「他にも護衛の冒険者はいるので手は足りてるんですよ。せっかくなので、アイリスさんの経験にもなるかと思いましてね」

そこまでしてもらったら受けないわけにもいかないよね。

「分かりました。引き受けさせていただきます」

「ありがとうございます。出発は一週間後です。それまでにご準備をお願いします」

私は初めての護衛依頼を受けることになった。