軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

76話 英雄って?

全体的に成功だったようだ。

現場は大変だったようだが特に混乱もなく、料理長以下、やりきった感に満ちあふれてる。

客も最初は皆緊張していたようだったけれど、ソードがあちこち回って声をかけ、酒を飲んでいたらほぐれたようだ。

そして、ソードはたぶん三杯以上飲んでる。

あちこちに声をかける際に、毎度新しいグラスに替えていた。

……まぁ、バレなきゃいい。

最後に帰る際、私とソードがドア前で挨拶しながら小さいお土産を手渡しし、完了。

「反省会は明日だ。今日は無事に終わったことを祝おう。軽く片付けた後、余りを肴に軽く飲むか。足りなかったら作ってやる」

私の言葉に全員が歓声をあげ、軽く片付けた後に余り物を並べ、私がパスタを作り、スタッフ全員で乾杯。

「いや~、なんとかなりました!」

「やはり、想定してたよりバタバタしましたね」

「でも、成功と言ってもいいでしょう」

料理人達がうれしそうに語る。

バイト君たちもうれしそう。彼等は正式にスタッフになるそうだ。

スタッフ教育を下積みから学んでいくという。

そこら辺はお任せだね。

「ソード、助かった。お前が回ってくれたおかげで、大分円滑になったぞ」

「まぁ、さすが選ばれた人選、って感じの、穏やかで気の良い富豪だったからな。俺でも何とかなった」

話していたら、料理長が近付いてきた。

「インドラお嬢様、この度はご成功、おめでとうございます」

「料理長、貴男もよくやってくれた」

挨拶を交わすと、料理長が苦笑した。

「そちらのドレス、非常にお似合いです。挨拶も堂に入っておられました。……それでも、貴族には戻られないのですね?」

「当たり前だ。私には窮屈過ぎる。平民共の嫌味や暴言など、貴族の悪態や陰湿な嫌がらせや凄絶な虐めに比べればそよ風程度だぞ? 私は我慢しないと決めたんだ。我慢しない最高の職業は、冒険者だ! ソードを見ろ、好き勝手生きて、金をガッツリ稼いで、下手をすると王族にすら一目置かれている、らしいぞ?」

「ちょっと、最後の部分を疑問形で言うのやめてくれない? 自称っぽいじゃんかよ」

料理長が笑った。

「左様でございますか。……そうですね、英雄様がついてらっしゃるのであれば、安心出来ますね」

…………なんですと?

首をかしげた後、困った顔のソードを見て、また料理長を見た。

「…………また、そんな二つ名がある、と?」

「二つ名? と言いますか、ソード様は、救国の英雄様でいらっしゃいますよ?」

…………なんですと?

もう一回ソードを見た。

「…………どういうことだ?」

ソードが困った顔のまま、頬をかいた。

「俺がSランク冒険者に認定されたきっかけは、王都を襲ってきたドラゴンと魔族を撃退したからだよ。そのとき一緒に戦ったのが、【剛力無双】っつー二つ名のやつと、こないだの【血みどろ魔女】だ」

「ですが、最後まで戦い抜き、深手を負わせ、相手に敗走させたのは英雄【迅雷白牙】様ですね」

…………。

「知らなかった」

「貴族の方々でも、そのお話を好まれる方と好まれない方がいらっしゃいます。ですが、王族の方々は深く感謝していると聞き及びましたし、民にとっては英雄です」

ソードのSランク冒険者にそんな深い意味があったとは!

自称『偉い人』じゃなかった!

「そうか」

ソードが肩透かしを食ったような顔をした。

「それだけか?」

「自称『偉い人』じゃなかったんだな」

顔面つかまれた!

「にゅにゅにゅ!?」

「お前は、本ッ当に冷静で、頭が下がりますよ!」

だからって、なぜに顔面つかむのだ!?