軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

50話 パーティ結成!(ようやく、ようやく!)

依頼は岩に擬態(?)したオオトカゲで、魔術の効きが悪いとかで滞ってたらしいけどサクッとこなし、高値で素材を買ってもらって次の町へ向かった。

「次の町は、ちょっとはワクワク感があるかもな?」

ソードがニヤリと笑った。

「ほう! ほうほう! それは楽しみだ!」

嫌な笑顔だが、いかにも冒険! といった感じをそろそろ楽しみたい。

ソードがワクワク感があると言うのだから、あるのだろう!

楽しみだ!

着いた町、デーズで目立つのは、教会。

もちろん別世界の唯一神を崇めるのではなく、この世界の神話の神々を崇めている教会だ。

私は神の存在を否定するつもりはないけれど、現実として感じたことがないので否定はしない、くらいだ。

え?転生したのに信じないの? って、この記憶だって思い込みかもしれないしー、実際いた証拠がない限りは信じられるわけないじゃーん。

観光地化されてる教会なら建造物とかを覗いてみたいけれど、あるかなぁ?

私のそんな思いに気付かないソードがウキウキと声をかけた。

「さて、まずダンジョンだ。どんなダンジョンかっつーと……。アンデッドだ!」

「へーっ!」

オラ、ワクワクしてきたぞ!

気持ちが教会からダンジョンに切り替わった。

腕をつかんで引っ張った。

「行こう、行こう」

ニヤニヤ笑ってたソードが私の反応を見てガックリする。

「なんだ?」

「……いや、お前って、時々、稀に、年頃の少女の反応を示すときがあるから、今回も期待してたんだけどな……」

あー、お化け屋敷デートのお決まりの「きゃー、こわーい」「はっはっは、僕がついてるから安心さ!」みたいな?

「それは悪かった。だが、私はお化け屋敷でテンションをあげるタイプだったのだ。むしろ好きなアトラクションの部類に入るな」

超有名生物災害ゲームも楽しくクリアしたぞ!

残念ながらVR体験のない私、ここはリアルで味わわねば!

うっひょー! テンション上がるー!

「うーわ、言うんじゃなかったって後悔するレベルでワクワクしてるな。残念ながらそこまでじゃねーぞ。金を使えば簡単に倒せるしな」

「課金して武器をそろえるのか?」

えー、邪道だなぁ。

私は無課金とは言わないまでも微課金派なんだけどなー。

スターターパックは買うけど、クリアで行き詰まったからといって課金に手を出すことは無かったのだ。

「課金って何だよ。アンデッドに効くアイテムを教会が販売してるんだ。金注ぎ込んでそれをそろえときゃ安全にクリア出来るぜ? って話だよ」

「アイテム?」

って、もしや聖水とか?

「聖水」

あー、お決まりだよねー。

なんで出来てるんだろ聖水は。

よもや塩水ってオチはないだろうね?

「まぁ、そんなんなくても、俺もお前も光魔術使えるから簡単だな」

「は?」

ちょっと、今、何て言いました?

「お前、光魔術使えるだろ?」

…………。

「光、で、倒せる、と。……だがしかし、私の光魔術は魔素を[フィラメント]とエネルギーに変換して発光させているのだが? 太陽光を作りだしているわけではないぞ?」

どの光線が効くか試せということか?

ソードが額に手をやった。

「まった、小難しいこと言い出したぜ。じゃあ、聖水買ってくか?」

「物理攻撃は効かないのか?」

「効かないアンデッドもいるな。ま、ソッチは俺が倒すか」

物理攻撃効かないなんてすごいなー。

ミストみたいな敵だろうか、あるいはホログラム?

どちらにしろ非ッ常に興味深い。

「高いものでなければ土産に一つ買ってみたい」

ソードが笑った。

「聖水を土産って! お前、なかなか罰当たりなやつだな」

「神の存在を感じたことがないからな。別世界など、種族によって信仰する神の名も有り様も異なっていて、信じる神が異なるという理由で戦争が起きるほどだったが、そんな争いが起きようと神は降臨せず使徒の手助けもしなかった。……お前は信心深いのか?」

信仰心篤い人って、こちらにもさりげなく強要してくるから嫌なんだよなぁ。

ソードはそんなところは欠片もないけど、今後どうかわからないし。

「お前と同じ、神の存在を感じたことがないから特に敬ってねーな。つか、聖職者はどっちかっつーと嫌いな人種だね」

ふーん。

どこの世界も聖職者って好かれないよね。

ギルドに向かった。

教会は後回し。

道々ソードがダンジョンの常識を解説した。

「基本、ダンジョンはギルド管理だ。野良ダンジョンもあるけどな、そこそこのダンジョンの周りにはギルドと町が出来る。で、野良ダンジョン以外は、ギルドに行って入場証をもらう。で、予定を申告し、ようやくダンジョンに入る、出てきたら入場証を返却する、予定通りに帰ってこなかったら救出依頼が出ます、っつーことだな」

「救出依頼はやっかいだな」

大体が想像通りだけど、いちいち救出依頼を断るの面倒くさい。

「あー……。つーか、俺とパーティ組んだら俺と同じ扱いになるけどよ、大丈夫か?」

「大丈夫じゃないと思うか?」

質問に質問で返してやった。

「思わねーからこの際申請するか」

ん?

パートナーとかパーティとか言ってたけど、そうじゃなかったと?

って顔に書いてあったのを読み取ったソードが頬をかいた。

「まぁ、ランクが違いすぎるから組めなかった、って理由もあったんだよ。そもそもSランク冒険者でパーティ組んでるやついねーし。でも、それだけ特殊扱いだから逆に組もうと思えば組めるんだ。そもそもAランクだってほとんどいねーんだからよ」

なるほどねー。

「……で、パーティ名どうするよ?」

…………。

「リョークと愉快な仲間たち」

「おい、俺たちの名前どころか人名ですらねーぞ」

拳固でグリグリされた。

「いたいいたい。……痛々しいのをつけるよりいいじゃないか」

「痛々しいのより最悪だわ」

そもそも冗談に決まってるだろう。

「……ならもう、【オールラウンダーズ】でいいじゃないか。体を表してるから解りやすいだろう?」

ソードが手を離した。

「〝万能戦士隊〟か、悪くねーな」

あ、漢字で表すと痛々しいかも。

…………まぁ、いいや。

いっそギルドの登録番号辺りにすればいんじゃね? もっとわかりやすいよ! とも思ったけど。

ソードは気に入ったらしい。

ギルドで早速登録した。

「……その、大丈夫ですか?」

って私とソードを見比べながら受付嬢に確認された。

「能力はSランクだ。それに、〝特例〟効くんだろ? コイツも俺に合わせるってことで話はついてる。別にコイツまでSランクにしろっつってんじゃねーんだから、登録しろよ」

〝特例〟ってなんだ?

こないだの『依頼を受けてもらえない救出もしてもらえない』ってのかな?

むしろ望むところです。

受付嬢、なぜか渋っていたようだったけど、それでも登録してくれた。

……ん?

なんかカードが変わった。

「前のと違う」

「『パーティに限って』Sランク扱いだ」

ソードのと似た感じになった。

ランクはCと書かれているが。

「よし、じゃ、早速行くか。ダンジョンの入場証をよろしくな」

ダンジョンに行く道すがら、【特例】について聞いた。

特例とは!

――Sランク冒険者の場合、認めた人間と合意の上であれば相手のランクを無視してパーティを組める。パーティで活動する場合に限りSランクと同等の扱いをされ、メンバー内のSランク冒険者とギルドとの契約条件がパーティ全員に適用される、らしい。

でもって、本来ならばDランクまでは二ランク、Cランク以上は一ランク差まででパーティを組むようにギルドで決められていて、パーティ内で一番人数の多いランクに設定される。(同数ならどちらのランクか選択可能。)

試験や評価はパーティ単位で行うため、ソロ以外では個人ランクは基本的にないし、解散や脱退して別パーティと組んでも、大体が同じランクで集まるものだそうだ。まぁ、そうだよね。

で! SランクのパーティメンバーはカードもSランク冒険者と同じ物になるのだ! キラキラプレートな! 但し、私個人で活動した場合は元のランク……つまりCランク扱いになるってことだ。

脱退、解散、あるいはSランク冒険者 (つまりはソード)が死亡しない限り、私はSランク冒険者と同じ扱いになるそうな。実質Sランク冒険者ということらしい。

「ふーん。……にしても、あの受付嬢のお姉さんは随分渋っていたな」

「……まぁな。〝特例〟っつーだけあって、特殊な案件の依頼のときに専門の知識や技術を持つやつにサポートしてもらうために一時的に組む、っつーのしかねーからな。俺も【血みどろ魔女】も【剛力無双】もよっぽどの案件じゃねー限り一時パーティすら組まねぇ。だから受付嬢も、実力の無い子供を『気に入ってるから』って理由 だ(、) け(、) でパーティ組もうとしてんじゃねーか、って疑ってたんだろ。ンなワケねーだろが。そんなんでパーティ組むやつ選ばねーよ。Sランク冒険者ナメんなよ」

わぁ。相変わらずハードモードだー。