軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

353話 ダンジョン踏破を祝う会(主賓がもてなすとはこれいかに?)

魔王様にダンジョンクリアの報酬の宝箱をもらう。

えぇ、王都のダンジョンクリアよりも多いです三倍くらい出ました! 宝の山だよ! どうすんだコレ。

「壊してしまったゴーレムを、それを使って作るといい。他にも、作り替えたいと言っていた物の材料も入っている」

「魔王様ありがとうございます!」

マジか━━━━!

気が利きすぎてるよ魔王様! めっちゃエエ人や! 人じゃなくてダンジョンコアだけど!

ソードも喜んだ。

魔王城の帰り道、ソードがためらうような表情の後、恐る恐る私に聞いてきた。

「……そういや、連中はどうなってるんだ?」

私はソードにタブレットを差しだす。

『ソードさーん、ダンジョンクリアおめでとー!』

『『『『おめでとー!』』』』

リョークたちのアニメ絵が、ソードに手を振った。

「私に抜かりのあるワケがないだろうが。魔石を私の魔素で完全にくるみ、絶対に手が出せないように隠してある。しばらくは、タブレットで会話しろ」

私はソードを見ずにそっぽを向いて話した。

…………ソードが、手を振るリョークたちを見て泣いてしまったからだ。

しばらくして、ソードが落ち着いた頃を見計らって私は提案した。

「次の周回のときからは、死んでも復活できるようにしてもらおう」

私の提案にソードは驚いたようで、私を見て目をパチパチさせた。

「お前、さんざん嫌がってただろ? お前のワケわかんねー理論を持ち出してよ。なんで急に」

「でないと、魔王様が本気を出せないからだ。縛りプレイをさせているのが忍びない」

私の回答に、ソードは口をポカンと開けたよ。

「……もしかして……。俺たちを殺さないようにしてたっていうのか?」

ソードの問いに私はうなずいた。

ソードも思い返してハッとしたようだ。

私はソードに推論を語った。

「魔王様はソードの四肢を狙っていたし、私もそのように攻撃された。リョークたちの魔石は絶対に壊させない気概で臨んだが、外殻の破壊のみだった。全員を行動不能状態にして降参させようとしていたとしか思えない」

リョークたちはともかく私とソードは四肢を切り飛ばされようが私謹製回復薬や私の回復魔術ですぐさま生やすことができるんだよね。

だがしかし、そうなると私たちを倒すには息の根を止めなきゃならなくなる。でも魔王様は私たちを「殺すには惜しい」と手加減してしまう。

……ダンジョンボスとしては甘いけれど、そもそもダンジョンコア様がたって皆さん人が良かったのでしょうがないのかも。

ラスボスとしての魔王様が本気を出せず負けるのは気の毒なので、理解不能の魔術だろうがおとなしくかけてもらって本気で戦ってもらいましょう。

語り終えたらソードがメラメラ殺る気を出してしまった。

「…………そうとうオマケされてたってか。なるほどな。――上等だ、リョークたちが元に戻ったら周回しようぜ」

あらら。ホンット、負けず嫌いのゲーマーよねー。

さーて。ソードが寂しがるからリョークたちを作るか。シャールはちょうど小型化の要望を出していたから壊れて良かったなー中の備品も全部壊れたけどね! ブロンコとプロンクのコアだけは無事だけど! とか考えていたら。

魔族たちが祝勝会を開いてくれるそうだ!

でもそこは『ダンジョン踏破を祝う会』が良いなぁ。開いてくれるんだからいいけどさ。

…………とか思っていた時期もありました。

「ちょっと待て。なぜ私が祝ってくれる連中の料理を作っているのだ?」

祝われる側じゃないの私って!?

ゴブリン亜種たちと戯れるのは楽しいけれど、ちょっと待ってよ、私は主賓ではないのか?

「細かいことは気にするな」

とかヴィーカさんが言ってきたぞ。細かくないぞ。

……まぁ、私の料理が大好物のソードがいるので作りますけどね! なんか腑に落ちない!

――ようやく作り終えて休憩。祝ってくれる側の連中が盛り上がって食べているのに主賓の私が食べていないのが、もう一度言うけど腑に落ちない。

すると、リーンが寄ってきた。

「魔王城の上の階層はどんなだったんだ?」

おぉ、さすがは魔族の勇者。まともなことを聞いてきた。

「そうだな。まず、音楽とダンスの素養、そして文才、さらに料理の腕前、最後に服飾のたしなみがないとクリア出来ないな」

リーン、フリーズした。

「これらをそれぞれの階層で披露し、ボスに認められる腕前でないと突破出来ない」

リーンがガクリ、と手をついた。

「……俺には無理だった」

「まぁまぁ。仲間を見つければいいじゃないか。――そういえば、十階層は全部クリアしたのか?」

気になる開かずの扉についてちょっとリサーチ。

「いや? 上の階層はまだだな。ボス部屋はどんなだった?」

聞かれたので、タブレットを見せた。

槍を振り回すミニミニ鎧騎士クン一号を指さす。

「こんなのがいっぱいいる」

『はやくわれのよろいをつくれー!』

ミニミニ鎧騎士クン一号、魔王の私に対して敬い度ゼロパーですよ。命令形ですよ。らーぶりー。

リーンが絶句した。

絶句しているリーンに、空気を読まずに質問をする。

「鍵のかかった扉があっただろう?」

リーンがキョトンとした。

「武器庫のことか?」

武器庫!

「どうやって入ったのだ?」

「管理人に開けてもらう」

今度は私が絶句した。

…………あれは隠し扉ではなく、単なる武器庫らしい。

魔族がダンジョンで訓練するときに使う武器が納められているらしい。

がっかりした。……道理で魔王様が曖昧な表情をしたわけだよ……。

魔王様が途中でいらっしゃり、話があると呼ばれた。

「なんでしょう?」

「頼みがある」

無表情に頼まれる。

「何をでしょう?」

「貴殿が十階層で造っていたゴーレムを、私にも造ってほしい」

…………なんですと?

「え? だって、魔王様も造れるでしょう? 十階層を造られたのは魔王様でしょう?」

って、あれ? 魔王様が首を横に振っている。

「あれらは私が造っているわけではない。それ以上は秘匿だ。だから、造ってほしい」

…………。

「いいですけど……でも……」

ミニミニ鎧騎士クン一号て、こんなだよ?

タブレットを見せた。

どうもからかっているらしいアニメホーブに槍を振り回し、よろけてこけるアニメミニミニ鎧騎士クン一号。しっぱいしっぱい、と頭をかいているところで見ている魔王様に気がついたらしい。

『――やや? まおうだな! よくもわれのからだをこわしたなー! せいばいしてくれるー! かくごせよー!』

ダンジョンコアの魔王様にも敬い度ゼロパーだったよ。

それにしても音声を入れるとバカっぽさがさらに増すよな! ラブリー!

魔王様がうなずいた。

「これを頼む」

「マジすか」

思わず素が出た。

ソードがアマト氏らに踏破の報告をしたらしく、あちこちからおめでとうメッセが届きはじめた。

拠点やベン君の店で働くリョークやホーブからも。

『死を体験したの?』『死んでないよ!』のやりとりには笑ってしまった。そういえば、そんな定型も入れていたな。