軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

347話 とうとう最上階へ

いよいよ最上階層に突入だ。

……延々と階段が続いている。どーなってんだ。

「……別世界にも、こういう、山のてっぺんまで続く階段があったな。別世界の私は高所恐怖症だったので、下り階段は手すりにつかまらないと怖くて下りられなかった、ということを思い出したぞ」

今はむしろ好きかもしれない。だーい好きかも。足場の悪くて狭いところなんて最高よね! 「人がゴミのようだ」って見下ろしながら言ってみたいわぁ。

ソードが見えないてっぺんを見上げながら言った。

「確かに果てしない……けど、これを上らねーと着かねーなら、頑張って上るか」

全員で階段を上りはじめた。

そういうわけで、延々と上っています。

リョークたちは疲労するわけないし、私とソードも疲労しないし、ミニミニ鎧騎士クン一号はソードの肩に乗っている。

……ソードの肩の上にいるミニミニ鎧騎士クン一号の振り回す槍はソードに当たらないのに、なぜに私が抱っこしたり肩車したりすると当たるのか。体格差だと信じたい。

果てしなく上り階段があるだけで、敵も出ないし暇なので歌を歌い演奏しながら階段を上っているよ。

まずは【天国への階段】。

リュートにストラップをつけて、歩きながら弾く。

続けて【階段は続くよどこまでも】。替え歌で歌う。

「まーおうのもとまーでー もーうーすーぐーだー」

ソードが笑う。リョークたちも気に入ったらしい。

歌いたいとねだってきたので、伴奏してやった。

皆でいろいろな歌を歌いつつひたすら上り、ようやく望遠で扉を確認出来た。まだまだはるか先だけどね。

――それからだいぶ経った。

私たちのスピードで歩いても、なかなか到達しないのよ。行き倒れの白骨死体があってもおかしくないのにな。もしや、永遠にたどり着かない階段かな? と、ふと思ったけど、着実に近づいてはきていたし変な魔素の歪みもないので単にめっちゃ高いところにあるだけらしい。

そうして、途中から飽きた私とソードが爆走しはじめ、それでもかなりの時間をかけてようやく到着した。

真っ白く広い八角形の部屋の奥に、超ゴージャスな扉。天国への扉と言っても言いすぎじゃないってくらい華美で大きい。

門番の中ボスもいなかった。この階層は、本当に誰もいない階層だ。やはり魔王様のいる階層だから皆さん恐れ多くて待機出来ないのだろうか。

ではさっそく乗り込む……のではなく、くたびれてはいないけどいったん休憩!

ソードはちょっと緊張しているようだし、ちょっと英気を養っておこうと思って。お腹も空いたしね。

「では魔王様! 扉の先で待機されているかと思いますが、いったんCM! 次回放送は明日の九時からですお楽しみに!」

「何言ってんだ」

どこから観てるかわからないけれど魔王様に手を振ったらソードに後頭部をたたかれた。

皆でシャールに入り、私はご飯を作る。

ソードがソファでぐてーっとしているぞ。

「……ようやくここまで到達したか」

ソードがそんなことをつぶやいた。

ふむふむ?

「長かった、と思っているか?」

外界の景色が見えたならいいのだけれど、部屋の中に入ると窓がなくなるので時間の感覚がなくなるのよね。

下の階層のボス階も、闘技場っぽい演出をしていたけれど野外場ではなくドームだったもんねー。

ソードに問うと、ソードがグッタリとしながら言った。

「いや、そういうんじゃない。この魔族の国自体が変わってるんだけどよ……。それにしても変わったダンジョン過ぎて、俺の精神が磨り減った」

らしい。

まぁね……王都のダンジョンでも歌は歌ったけどさー、物語を語り聞かせたり、料理を作らされたり、服を作らされたりするとは思わなかったね。

ソードの様子を見て、私は首をかしげた。

「これも勇者対策だと思うか?」

「俺が勇者なら、かなりこたえるね!」

ソードに即答された。

つまりのところ『こたえている』と言っているソードにスタミナ定食第二弾。

酢豚! 風、魔物肉炒め!

疲れているときは甘酸っぱい食べ物がおいしいよね。

他には根菜類のピクルスをサイドとして出した。

とろみをつけた卵と豆のスープは、前菜として出す。

それらを食べてようやくソードが復活した。

「やっぱ俺、お前の飯を食うと元気が戻る」

ソードがそんなことを言い出したので、

「血行が良くなったからだろう。酒を控えるともっと元気が出るぞ」

そう返してやったら聞こえないフリされた。

むぅ。心配して言っているのに。

ぐっすり寝て起きたら魔王様に謁見だな。

ソード、深呼吸。――そして。

「おし!」

思いっきり気合いを入れた。

私はソードの背をポンポンとたたく。

「そんなに気張るな。絶対にお前だけは死なせはせん」

そうしたら、ソードがジロッとにらんだ。

「そんな心配はしてねーよ。過去最強のやつと戦うってのに、気合い入れねーなんてあり得ねーだろ」

「ふむん」

そんなものかな?

私はちょっと考えて、うなずいた。

「まぁ、そうかもな。魔王様は気合いは入ってないだろうが待ちくたびれているだろうな。焦らしプレイだ」

ってことで、焦らしプレイされている魔王様に、謁見、のち、バトルです!