軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

246話 屋台は盛況だよ!

ギルドマスターがおかわりに来たので、広めてほしいことを伝えた。

「そうだ、伝えもれがあった。屋台なのでトイレがないかと思われるだろうが、設置した。そこら辺でされると不衛生だ。トイレでするように促してくれるか? あと、男は小便ならぜひ左の二つを使ってほしい。 面白いぞ」

「うん? 面白い? ……よくわからんが、わかった」

そう言って、シードルを受け取ると席を回って促してくれた。

その後、自分でトイレに入りに行った。

そして、しばらくしてからすごい勢いで私のところに来た。

「なんだアレ!?」

「遊び心だ」

「すっげー魔導具だろうが!」

「男子の小便だけだけどな」

「なんか、『手を洗え』だのなんだの口うるさく言われたぞ!」

「手を洗わないのは不潔だろう。ちゃんと風の魔導具で乾かすのもやるのだ。完璧だろう?」

この世界はトイレのあと、手を洗わない風習なのだ。

ただでさえ手を洗わないのに、トイレくらいでは洗ってほしいと願い、音声でアナウンスするようにしてる。

面白がってくれるなら、洗ってくれるだろう。

ギルドマスターがワナワナと震えた。

「もしかして、貴方さまは、かなり高名な魔導師様なのですか?」

改まって言われたので笑ってしまった。

「残念ながら違う。私は冒険者。ソードのパートナーだ。未知を開拓することを生業とし、ワクワク感を求めてこの星をソードと共に巡っている。この町も、未知の町だった。ソードですら行ったことがないと言ってたからな。だから、とても楽しい。こうやって、未知の町を訪れ、屋台で酒場を開き、皆と盛り上がる。

その町ならではの情報を仕入れ、魔導具作成や料理のアイディアの肥やしにする。あるかもわからない未知の財宝を当てもなく探し、出遭ったことのない未知の魔物と遭遇し、時に戦い、時に仲間に迎える。人もまたしかり。それこそが冒険者だ」

ギルドマスターが呆気にとられた。

周りの人たちが「すごい! さすがSランク冒険者!」「冒険者って素敵な職業ね」「そうなんだー、冒険者って夢のある職業ね」と感心してくれている。

……と、ギルドマスターが笑い出した。

「そうか、そんな冒険者がいるのか。俺は初めて聞いたが、そりゃ、楽しそうだ。……そうか、それがSランク冒険者なのだな。うん、わかった! 頑張れ! 俺は、そしてこの町はお前を歓迎し、応援しよう!」

今まで歓迎していなかったのか。

ギルドマスターがご機嫌に戻り、ソードと話すとソードが爆笑してた。

何?

ネガティブ思考のソードがウケてるってなんだろ?

歓迎されてなかったのか、って暗くなるかと思ったのに。

で、ギルドマスターはトイレ誘導をちゃんとしてくれたらしく、皆トイレに入り、しばらくしてこっちに向かってくる。

「トイレから自動的に水が流れ出した」とか「あのトイレを売ってくれ」とか。

トイレ売ってくれはお断りしてる。

簡易トイレだから!

汚水処理場がないのに無理だから!

今、スラリンがてんてこ舞いしてるから!

後でいたわりの、上質な魔石をあげよう。

どうやら魔物に魔石の摂取は必要らしいから。

魔物飼育係のアマト氏にもタブレット(アマト氏とスカーレット嬢に催促されたので作った)のメッセで連絡済だ。

魔物たち、喜んで食べてるらしい。

やっぱ必要だったのか。

なら、言ってよ!!

大分盛況になり、座席は埋まって立ち飲み席もチラホラ出てきたくらいになったので、ライブをやろう。

簡単な会計なら出来る……というか、レジスター魔導具だから、使い方を教えて出来るようになったお手伝いさんに任せて、私はリュートを持ってステージへ。

リョークも来た。

挨拶なぞ無粋。

聞いてなくても聞いててもどっちでもいいのだ。

そういうものだ、酒場のライブは。

一応、拡声魔術で音量は上げるけどね。

まずはコレだろ。

【ハバネラ】。

つーか、カルメン組曲でいくか。

【ジプシーの踊り】から【闘牛士】。

……タンバリンとシンバルがほしいなぁ。

って思ってたら、うちの賢いリョーク、なんだか知らないけどいつの間にかパーカッションが出来るようになってた!

打ち合わせもしてないのに、適度に打ち込みしてるんだけど!

リョークの才能に震えつつ、【アラゴネーズ】で締めた。

ふぅ、と息を吐いたら、喝采と拍手!

びっくりした。

「すごい!」「聞いたことない!」「魔物まで演奏してる!」「なんなの今の!?」「素晴らしい!」と大喝采だった。

……ふむふむ。

反応が今までで一番良いので、アンコールをする。

私は振り返ってリョークを見た。

「リョーク、歌う?」

「「歌うよー!」」

と二人が言い、

「みなさーん! 僕たちの歌も聴いてねー!」

「いぇーい!」

リョークがかわいく手を振ってやる気アピすると、また湧いた。

私は演奏。

リョークたちが歌うと(しかもハモってる、教えてないのに)もう驚きの嵐だった。

途中で手拍子の催促をすると、皆手拍子し出す。

サビの部分は皆で大合唱。

つーかリョーク、盛り上げ方がうまい。

何度も皆の前で歌ってるせいか、教えてないのにリピートして観客にも歌わせたりとか。何? そのフェス慣れしたバンドのライブパフォーマンスみたいなの。

大いに盛り上がったところで、

「お母さんも歌って?」

と催促がきたもんだ。

……ううむ、リョークが言うならしかたがない。

「次が最後の曲だ!」

というと、お決まりの「ええー!」が。

なんだ。

どこで仕込んだんだ。

演奏しつつ歌い、サビの部分は演奏そっちのけで踊った。

リョークたちも真似して踊りつつ、パーカッションを適度に入れてくれる。

ホントに、どこで覚えた?

ものっすごいウケてるんですけど。

最後の方とか一緒に踊る人もいるし。

こんなにウケるのに、なんでここの人たちまで音楽を作ろうと思わないんだろう?

この世界は音楽を必要としてないの?