作品タイトル不明
243話 続 屋台の準備をしよう
市場に行ったら、やっぱりどこよりも活気があってテンションが上がった。
ソードがいないので、買いまくれるぞ!(ソードがいるとソードが払うことになるので気兼ねしてあまり買えない)
目移りしつつ、声をかけられたらイソイソとつかまり、愛嬌を振りまきつつ買う。
言い値で買ったら驚かれた。
「観光客か貴族の子かい? こういうところだと、値切り交渉するのが普通なんだよ」
って親切に教えてくれた。
私はちょっとむくれた顔をした後、
「お金はちゃんと払うよ。安くするより、サービスしてほしいな。売り物にはならなそうなものをおまけしてくれたり、この土地で作られてる料理を教えてくれたりとかの方が、僕はうれしいな」
って笑顔で伝えたら、超かわいがられ、いっぱいおまけしてくれた。
情報もいっぱいもらえたぞ!
凶暴な大魚はだいたいが外海で仕留められるので、内海は小さめの魚が豊富らしい。
安全に小魚を捕っているとのことで、野菜と小魚の組み合わせの料理がほとんど。
あと、魚油も採れるために、魚臭いけど燃料は事欠かず、そのため夜も火をたけるそうだ。
魚の臭いを魔獣は嫌うので(なんでだ!? むしろ寄ってきそうな感じなのに!)魔獣よけにも良いそうで。
確かに魚臭いけど、現在臭覚遮断中。
魚臭いのが怖くて料理人やっていられるか!
あ、私、冒険者だったか。
あっちこっちでかわいがられつつ、いっぱい買った。
魚も、小さいのがいっぱい!
何の魚かわからないけど!
たぶんこの世界産!
あと、蛸? 海月? とにかく軟体動物で、小さめのリョークくらいのもいた。
ダーキングオクトパスの幼魚かな?
あ、ダーキングオクトパスって、鮮やか緑なんだよ。
ダーキングなのに緑色の蛸!
しかも、足の数は二十本以上あったよ。
……海月じゃないのかな。
オリーブオイルらしきものもあった。
大量に買ったさ!
樽で買ったもんね。驚かれた。
――で、ここらでソードのパートナーということを暴露。
市場が騒然となった。
「――で、僕は料理人なんだ。ソードがお肉を狩ってきて、僕が調理するの。夕方から空き地で屋台をやるから、みんなきてね! あ、お手伝いしてくれる人がいると、とってもうれしいな」
一通り伝えて、お店の人たちに手を振られたりなでられたりしたので、愛嬌を振りまいて大量買いしてまた空き地に戻る。
空き地の方もチラホラ人がいた。
雰囲気の似た子たちが看板の前で相談していて、そのうちの一人が私に話しかけてきた。
「あの、屋台をやるって書いてあって、お手伝いしてくれる人募集とも書いてあるけど、ホント?」
「うん。どっちもホントだよ」
私はうなずく。
見栄えとしても、大量に料理が盛られている方が映える。
どれくらい人が来るのかわからんが、大量に作って余ったとしても私には冷凍魔術がある。
フリーズさせて、非常食に回せば良いのだ。
ソードに持たせたら、おつまみと称して喜んで食べてくれるし。
火魔術ではなく光魔術で解凍するのがミソ。
聖魔術でも良いらしい(byソード)
そうか、聖魔術はレンチン魔術なのだな。
別世界では、プ○ズマ○ラスターでゾンビを浄化してたけど。
「お金はあんまり出せないけど……」
私は予防線を張って首をかしげながら言う。
もうけようと思って来られると困る。
小遣い稼ぎくらいにしか出せない。
賄いとして商品を食べていい、というとむしろ喜ばれた。
今度は、私と同い年かちょっと下くらいの少女がやってきて聞かれた。
「孤児院の子を呼んでもいい?」
私はちょっと考えたが、ま、これもボランティアだ。
「夕方までの手伝いでよければ。子供は夜遅くまで働いちゃいけない」
目をパチクリされた後、笑われた。
「だって、君も子供じゃない」
そこまで若くはないぞ。
「なかなか成長しないけど、見た目通りの年齢じゃないよ。これでもソードのパートナーなんだし。今バラバラに活動してるのは、私に酒場に専念してもらいたいってソードに言われたから。ソードも酒場に期待してるんだ」
具体的には、料理と酒。
私の言葉で、私もそれなりの年齢だと思ってくれたらしい。
夕方までで、お駄賃程度でいいから、とにかくご飯を食べさせてくれないかと少女に言われてうなずいた。
……となると。
短時間で出来るピタパンを賄いにするか。
その前に、調理場のセッティングだな。
洗い場の魔導具設置(汚水処理付)。
調理器具の魔導具設置。
タパスのディスプレイ台設置。
両替機能付レジスター設置。
簡易水洗トイレを五つほど設置。
うち二つは男子(小)用、別世界にある某ゲーム会社のトイ○ッツを置いてやった。
ちなみにこれも、アマト氏のアドバイスだ。
拠点の男子トイレを拡張させられたが、大好評だったのでまぁよしとしよう。
王都で屋台をやった経験上、これらが必要だとわかり、拠点に帰ってから作っておいたのだ。
いや、トイ○ッツは必要ないけど。
他の、お手伝い募集の人は銅貨十枚で賄い付き、仕事がある程度終わったらエールも付けます、ってので手を打ってもらった。
しばらくしたら、人がわらわらやってきた。
手が空いたから来たっていう市場のお店の人たちに、さっき決めた話をしたらそれでいいって言われて追加人員獲得。
現在、テーブルと椅子をセッティングしてもらってる。
終わったらいよいよ調理だ。
……と、子供たちもやってきた。
すごいちっちゃい子から私くらいの子まで様々。
ちっちゃい子はどうすればいいんだ。
……あ、そういえば、豆を買ったな。
「小さい子たち、カモン! 豆をむきなさい。地味につらい作業だ」
まぁ、私がやったら一分かからず終わるが、私だって好きな作業ではないのでやってもらおう。
駆け寄ってきたその子たちを見て、私は凍りつき、即座に叫ぶ。
「ちょっと待った!」
ビク!
と、子供たちが止まった。
「身体の洗い方を教えるから、まず、身体を洗いなさい!」
不潔、無理!