軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

206話 ベン君が帰ってきたよ!

数日ほど経ち、スカーレット嬢から無線連絡が来た。

『……インドラ様、聞こえます?』

「……ん? その声はスカーレット嬢か?」

『あ! 本当につながりましたわ!』

『何!? 本当か!? 貸してみろ!』

『ちょっ……!』

『インドラ殿! 私だ! ジェラルドだ!!』

……うわぁ、うるさ……にぎやかだなぁ。

「数日ぶりです、ジェラルド殿。どうかされましたか? もしや、何かトラブルでも?」

なんだろう、大勢の盗賊に囲まれてるとか!?

いますぐ駆けつけちゃうよ!

ワクワク。

『え? あー……トラブルといえば、トラブルだ』

んん?

なんか急に元気がなくなったな?

『……その、シャノンとブロンコの、生体認証には、そちらに赴くか、インドラ殿に来てもらわねばなりませんか?』

屋敷に戻ったら希望者が殺到したとかかな?

「いや、遠隔操作は可能だ。何しろ私が『貸しただけ』の魔導具だからな、第一主導権は離れていようが私にある。だから生体認証も遠隔操作で可能ではあるが……。但し、運転の練習が必要だし、気軽に認証をすると、犯罪の可能性が高まるぞ? 一応、アレ等は、この世界では初であろう『魔石で動く多輪駆動ゴーレム』となるのだからな。私としては、あまりやってほしくないのだが」

『いや、それは大丈夫だ。身元は確かなのだ。…………私の妻なのだから』

んん?

奥さんが乗りたいとな?

公爵夫人が?

生粋の貴族の婦人が?

「……構わないが、本気か? 公爵夫人だろう? シャノンは、まだ理解……できなくもないが、ブロンコは、英知を持つスカーレット嬢ですら拒否したが? 貴婦人には厳しくないか?」

咳払いが聞こえてきた。

んん?

近くにいるのかな?

『……はじめまして。 私(わたくし) はジェラルドの妻、エリー・ショートガーデと申します』

おや。

奥さんが出てきた!

『先日は主人が押しかけてしまい、大変失礼いたしました。さらには、このような素晴らしいゴーレムまで貸していただきまして、感謝の言葉もございません』

「こちらこそ、声だけで失礼する。スカーレット嬢の学友だった、インドラと申す。話は聞いているかと思うが、Sランク冒険者ソードとパーティを組んだ者だ。エリー公爵夫人は、ソードとも知己だったと伺いましたが」

『えぇ。ですから、ソードに聞いてもらえばご存じかと思いますが、私は、元、王女の近衛騎士だった者なのです』

……あー、なるほど。

馬に乗れる人なのか。

そして、だからなかなかにぶっ飛んでる公爵を押さえられるのか。

「なるほど。つまりは、運動神経にいささかの自信がおありなのだな。……では、登録しよう。シャノンはスカーレット嬢に、ブロンコは、アンに指導を受けてくれ。ちゃんと、合格するまでは、指導に従い、スピードを抑えて乗ってくれ。あと、ブロンコは、馬に乗っていたならわかるだろうが、死の危険性がかなり高い。馬とは違って二輪で動いているから、馬よりもバランス感覚を問われると思う。装備をしっかりとしてくれ」

『わかりましたわ!』

わー、めちゃくちゃうれしそうな声だな。

この家族、絶対変わり者だー。

ソードに聞いてみようっと。

ソードと旅立とうかなと思っていた矢先に、ベン君たちが帰ってきた。

「おぉ! ベン君! 生きていたか! 心配したぞ!」

「おぃッス! 生きてますよ~。海側だとどうしても遠回りになっちゃって。でも、本来半年近くかかる道をこのくらいで帰ってきたから、むしろ早かったかな、つーか?」

マジか。

そんなにかかるのか。

うーむ、ベン君に海の幸を仕入れてもらおうと思ってたけど、それは無理だな。

お疲れ様なのでねぎらうために全員客室……ではなく、ベン君はほぼ居候状態なので自室へ、他もそれぞれ男女に分かれてツインの自室をあてがった。

「その部屋は好きに使え。浴場とトイレは共同のところを使い、食事は時間帯が決まってるのでその時間帯に決められたものを食べるなら、後、使用人の頼み事を快く引き受けられるなら家賃を無料にしてやる」

「「「「やったーーーー!!」」」」

万歳してる明け方の薄月ご一行を横目で見て親指で指し示した。

「聞いたとおりだ。好きに使え。腐ってもBクラス冒険者、うまそうな魔物を狩ってこいとかいうむちゃ振りも対応出来るだろう。荷物持ちにしてもよし、護衛にしてもよし、ここにいる間はお前等がこき使ってやれ」

「「かしこまりました」」

ということで、冒険者ご一行は使用人たちに料理されることになった。

私はベン君に、旅の成果を聞いた。

「言ってたの、コレっしょ?」

出してきたのは 紛(まぎ) れもなく!

「コレだーーーー!」

米だーーーー!

ベン君の手を握り、真剣に礼を言った。

「コレ、コレがほしかった。君は商人のスペシャリストだ、よくぞ見つけて仕入れてくれた。屋敷にいる間は好きに過ごしてくれ。だから、これを定期的に仕入れてくれるか?」

「うわ、すっげー歓待された。……わかりました、定期的に仕入れることを約束するッス! つーか、多分そうかなって思って、もう提携を組みました! 優先的に売ってくれるそうです! その代わり、リベートと、あとある程度まとまった量の取り引きになりますけど」

な、な、なんと!

もう手を打ってくれたのか!

「ベン君~! 君は私のVIP商人だ! 何でも言ってくれたまえ! 全て私が 叶(かな) えようではないか!」

腰が引けているベン君に詰め寄る私を、見かねたらしいソードが割り込んできた。

「はい、終了。それ以上興奮するなって。確かにお前にとっちゃすごい商品かもしんねーけど……」

私はソードを見て、ニヤリ。

「ベン君が仕入れたブツは、極上の酒になるのだ。私はかつてこの酒が大好物だった」

「ベン!! お前、でかした! 何でも言ってくれ、なんでもやるから!」

「うわー。二人とも、ぶっちゃけ目がギラギラしてて怖いッス」

ソードも加わり、ベン君がさらにドン引きしていた。