軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

186話 うそをついちゃいけませんよ?

果敢だったのは腰巾着君だ。

他の者が怖がり下がる中、プリムローズをかばい、一歩前に出てきた。

「……証拠はあるのは本当だ。目撃証言がある」

私は薄ら笑いを浮かべて腕を組んだ。

「……ほう? では、私に聞かせてもらおうか。そして質問に答えてもらおう。よどみなく答えられなかったら、虚偽と判断するぞ」

「…………わかった。証人、前へ」

って、誰も出ない。

「まず、証人がいないな。やはり虚偽か。……私にうそをつくとは面白い」

魔術で窓を爆散してやったら、ものすごい悲鳴があちこちから上がった。

「待て! いる、いるんだ。お前におびえて出てこないだけで。……おい! 出てこい! …………君だ!」

腰巾着君は無理やり一人の女子生徒を引きずり出したが、引きずり出された方は泣いてる上に、ほぼ座り込むような状態……おうちに帰るのイヤだワンコみたいだぞ。

「ほら、正直に言えばいい。君は見たんだろう? それを正直に話せ。……君は、私が守る」

その囁きで、ようやく少し落ち着いたらしい彼女が、震える声で語り出した。

「もう一度言え」

繰り返させる。

「もう一度言え」

繰り返し、同じ発言をすることを確認。

「では、質問しよう。そのとき君は、何を目的でそこにいた?」

「……え?」

「『君自身がそこにいた』理由だ。なんの脈絡もなく、そんな、人気のない場所にいないだろう? なぜ君は、そこにいた?」

「…………あの…………。…………なんとなく…………」

「なんとなく? ……ほう? なるほど。では、次の質問だ。君、今何時だ?」

「え?」

「今何時だと聞いている」

慌てたように、辺りを見渡す。

「時計を持ってはいないのか?」

「学園内には時計があちこちにある。持っていなくてもおかしくはないだろう」

たまりかねたように、横から腰巾着君が口を挟んだ。

「そうか。つまり常に時刻を確認する癖はない、ということだな。…………そうなると。なぜ、犯罪のあったときだけ 正(、) 確(、) に(、) 時(、) 刻(、) が(、) 言(、) え(、) た(、) んだ?」

証言者、真っ青になった。

「なぁ、わかるように教えてくれ。君がいた場所、そこからは 何(、) 所(、) か(、) ら(、) も(、) 時(、) 刻(、) は(、) 確(、) 認(、) 出(、) 来(、) な(、) い(、) 。なのに、君は、三回同じ事を繰り返す中、 全(、) て(、) の(、) 時(、) 間(、) を(、) 正(、) 確(、) に(、) 言(、) っ(、) た(、) 。なぜだ?」

ガタガタと震え出す。

正直、カマを掛けてみただけなんだけど。この反応は、うそをついているな。

腰巾着君も、虚偽の可能性に思い至ったらしい。

「おい! 正直に言え! 正直に話せば、きっと、許される。うそをついたら、間違いなく、目の前の魔物に殺されるだろうが」

誰が魔物だ、誰が。

ワッと泣き伏した。

「ごめんなさい! うそをつきました! 私、見てません! 言えって言われたんです! ディレク様に『言え』って言われたんです!」

「なんだと!?」

腰巾着君が声をあげ、王子が軽く舌打ちした。……ふむん? 王子は知っていたな。

「プリムローズ様が、被害に遭われているけど、証拠がつかめないから、でも、スカーレット様がやったのは間違いないから、証言してくれ、って! スカーレット様は公爵令嬢だし、ジーニアス様は、証拠がないと、訴えないだろうから、証人になってくれって! 私の父は騎士団に入隊していて、騎士団長のご子息の頼みとあってはと引き受けましたけど、でもこんな……こんな危険なことだなんて知っていれば、断ってました!!」

危険って……そもそもうそは良くないよ?

「うそをついて他人を陥れる手助けを、気軽に受けるとはな。脳内がお花畑なようで結構だ。――ならば私も、同じようにお前を陥れてやろう。それで、虚偽の発言をされ、お前が陥れられて、誰にも信じてもらえず絶望する中、虚偽の発言をした連中がヘラヘラと笑っているのを見たとき、お前は『あ、私とおんなじー♪』って楽しく言えるのか、試してやろう」

「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」

「なに、謝らなくて良い。お前はこれから、同じ目に遭うのだから。この私が、全力をもって陥れてやるからな? 楽しみに待っていろ」

優しく諭した。

が、ずっとごめんなさいを繰り返すばかりだ。

「謝って済むなら役人はいらないだろうが」

そう言った最中も繰り返してる。むしろ私にしゃべらせないように繰り返してるかもしれない。

「うるさい」

最終的に真空パックしてやった。

喉をかきむしって、倒れた。

ようやく黙ってくれたよ。静かになって良かった良かった。……あ、でも、永久に静かになっちゃって、同じ目に遭わせられなくなったカモだなー。ちょっと残念。