軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

177話 閃いた!

残念ながら、スワン君は違った。

うん、違うのはわかってたけど、黒幕がカイン君であってほしかったのだ。

私の魔素に警戒して、手駒を使って情報を集めたという理由が理想的だったんだが、スワン君の話の方が筋書きが通るので残念ながら真実だと受け止めよう。

スワン君が同室なのも作為的だし。スワン君の私を見る目はかなりおびえていて、普通それだけおびえていたら近寄らないはずなのに、初日から積極的に近付いてきた。

私に男装させたのも、スワン君と同室にしたかったからなのだろう。

胡散臭いアイツならやるであろう手口だな。

確か王の側近とか言ってたから、権力も使い放題だろうな。

…………となると。

依頼そのものが胡散臭いのだが、これまた残念ながらスカーレット嬢はうそを言っていない。

だから、そのことで私とソードは利用されたのだろう。

…………ならば、十倍返しを執行するのみ。

***

〈シャド〉

――手紙は、シャドの元に届いた。

自室で、人払いを済ませてそっと手紙を開ける。

その文面は、大した物では無かった。

「……今回は珍しく大したことが無い内容ですね。毎日鍛錬しているとは、中々勤勉な一面もあるのですか。

…………それにしても、スカーレット嬢と誼を通じたのは、かなり困った事態ですね。ショードガーデ公爵は、自他共に認める【迅雷白牙】ひいき。ソード自身はそういったことが嫌いだから警戒していなかったですが、〝彼女〟は一体どう出るか…………」

と独り言を言いつつ、暖炉に手紙をくべた途端。

『シャドとやら! お前は私に敵対したな!』

と大声が響いた。

『シャドとやら! お前はスワン君の両親に恩を売りつけ、スワン君を脅し私を嗅ぎ回らせただろう! 証拠は挙がっているんだぞ! それほどまでに私と敵対したいなら! 受けて立とう! 十倍にお返ししてな! 私も! お前の敬愛する者たちを脅し屈服させ、お前を監視してやるぞ! 私に出来ないと思ったら大間違いだ! 思い知るがいい!』

叫びが止んだと思ったら、爆発した。

……ドアが激しくたたかれる。

「シャド様! ご無事ですか、シャド様!」

その音を聞きながら、自分の大失態をぼんやりと思い返した。

…………インドラ・スプリンコートという者を、見くびっていた。

激しく、見くびっていた。

瓦礫のようになった部屋で、立ち尽くした。

***

さーてと。

シャドが敵なら面白そうだし、全く良心の呵責なく甚振れるな。

宣戦布告を送ったけど、どう出てくるかなー?

是非とも、さらに策を捏ねくり回して企んでほしい。

それにしても結局、カイン君って誰なんだろう?

スカーレット嬢も似た人すらいないっつってるし……依頼主もわかったし、別にこの依頼は『お前が黒幕だ! シャド!』ってことで解決してもいいんじゃないかな?

ついでにシャドを半殺しにしちゃえ。

どーせちょっと顔が良いらしい、ってだけの陰険そうな中年男じゃんか…………。

「あ」

カイン君を見つける方法がわかった。

……あの子を見かけるときは、いっつも男と一緒だな。

と思いつつ声をかけた。

「プリムローズ!」

「あ! お兄様!」

「違うだろ」

のっけから違う。

だから此奴とは会話したくない。

したくないのだが、この手はたぶん有効。

「君の、その鑑定眼を頼りたい」

「え? お兄様が、私に?」

赤くなった。

…………なんで赤くなる?

「プリムローズ。君が、今、好ましいと思う男性の名を、片っ端から挙げていってくれ」

プリムローズ、途端に放心した。

「……お兄様? やきもちやいてらっしゃるの?」

何言ってんだコイツ?

「見当外れの話はよせ。君は、男を見る目があるらしい。だから、君が好ましいと思う男の名を挙げてほしいのだ。私にはさっぱりなので、参考にしたいのだ」

カイン君判別の。

プリムローズは呆けていたが、すぐ復活。うなずいた。

「…………えーと、わかりましたわ! まずはエリアス王子」

「それはいい」

「ジーニアス様」

「それもいい」

「こちらのディレク様も、騎士団長のご子息とのことでしたが、ワイルドで素敵ですの」

後ろに立ってる厚みのある男を指して言った。

え…………この筋肉達磨がかっこいい?

身長もそんなに高くないし、足も短くない?

なんかにらんできてるけど、剣術があの色ぼけ泣き虫王子に負けるってところでダメ。

「あと、シェル様。音楽の授業で一緒になって、とても素敵でしたの!」

ふーん、ということは、音楽家の攻略対象か。

「他には?」

「え? えーと……。あ、カレント様! エリアス王子の弟君ということでしたが、とても愛らしかったですわ!」

うーむ、身元がハッキリしてるなぁ。

強いて言うならシェルってやつか。

「他にはいないのか?」

「あ! 最近ですと、ソード教官が……」

「ソイツは論外だ。他にはもういないか?」

うぅむ、シェル少年を当たってみるか……。

顎に手を当て考えていたら、プリムローズが続けた。

「あと一人。気になる方がおります。ただ……まだ話したことがないんですの。いつもひっそりとしていて、話し掛けようかな、って思ってるんですが、ふと別のことに気を取られている隙に逃げられてしまう、まるで儚い夢のような方で……」

……なんだソイツ?

「どちらかというとレイスのようだが、まぁいい。で? そいつの名は?」