軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

167話 蚊帳の外です

なんだか悪寒がするな。なぜだろう。

「…………今、何か、とても痛々しい言葉を聞いたような聞いてないような。【迅雷白牙】以来のヒットが出たような」

スカーレット嬢が私を見ながら不思議そうに小首をかしげる。

「あら、【迅雷白牙】ってかっこよくありません?」

「痛すぎて涙が出そうじゃ無いか?」

二人で小首をかしげた。

あれ? 感性の違いがありそうだ。

「もしや、スカーレット嬢は『右目に封印されし邪気眼が疼く……』とかいう言葉に寒さを感じないタイプか?」

「えぇ、特には」

マジか。

キラキラしい二人目が驚いた顔をした。

「……右目に邪気眼を封印しているやつがいるのか。ソード教官では……ないな。それはすごいやつだ、お目にかかりたい」

ソードみたいなことを言ってるな。

そりゃそうか、この世界はリアル封印があるもんな! でも、この場合は違うんだ。

「今代の勇者がそういう病の人間だそうだ。会うととても面白いと思うぞー」

棒読みで言った。

「本当にインドラ様って知識が豊富ですのね。勇者のお話まで知ってらっしゃるなんて」

「あぁ、王都にいたとき、借りていた家を勇者に破壊されたのでな。留守にしていたのが気に入らなかったらしい」

シーン。

キラキラしい二人目がぼう然とした感じで言った。

「……さすが勇者だな。貴様にそんな真似をしでかすとは」

「そうだ、まさしく【勇者】だ。理由があって出くわすことがない限りは会えないが、お目にかかったときがやつの最期だな」

「「…………」」

二人が放心した。

【氷の微笑……うわっ、寒! ネーミングで既に 凍(い) てつきそうな腰巾着君改めジーニアス殿は、咳払いした後眉根を寄せてスカーレット嬢を見た。

「スカーレット様、貴女が公爵家の発展に尽力を尽くされているのは承知しております。が! 軽率な真似はお控え頂きたい。貴女は……」

「あら、でも、エリアス王子もインドラ様の妹であるプリムローズ様と随分仲良くしてらっしゃるようだわ? なら、私も彼女の姉……いえ、兄と仲良くしても、よろしくなくて?」

「〝姉〟だ」

訂正。

なんで言い直した⁉ 姉のまま突っ走れ! 間違ってなどいないぞ!

「……こいつが? ローズ……いや、プリムローズ様の、兄? まさか、そんな……」

「そうだ、違うぞ。私は、〝姉〟だ!」

念を押した。

ジーニアスがわざとらしく頭を振る。

「ローズに兄がいることは聞いていた。生き別れになってしまったと……。それがまさかコイツ……こんなやつが、あのローズの兄だとは…………」

素早くツッコんだ。

「違う! 姉! お姉様!」

何度も言うぞ!

「私は〝姉〟だ!」

「間違いでは?」

一切私を見ずに会話を続けるジーニアス。

私を完全無視して二人で会話してるぞ!

「ジーニアス様だって、インドラ・スプリンコート伯爵令嬢……間違えましたわ伯爵令息の名と噂はお聞きになったことがおありでしょう?」

間違えてないっ!

「……多少だが……。だが、こんな、壊れた平民が、傲岸不遜な男が、出奔した伯爵令息? ……あぁでも、だからマナーが完璧だったのか……。言語も、平民でここまで完璧なのはおかしいと思っていたが……。元伯爵令息で、幼少に英才教育を受けていたとは……」

「おい、なんでわざわざねつ造するんだ。噂は、『悲劇の伯爵令嬢』だろうが! 王都のオークションで、そう言ってたって知ってるぞ!」

私が口を挟もうとも、二人ともわざとらしく無視。キーッ!

ジーニアスが渋面を作ってスカーレット嬢を見た。

「ム……ならば、仕方が無い。王子にもその旨を伝えておこう。だが、軽率な真似は控えるべきだ」

「王子も、そしてジーニアス様、貴男も、軽率な真似は控えるべき、とお返し致しますわ?」

二人がニッコリほほ笑み合う。

私、超蚊帳の外なんだけど⁉ キーッ!