軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

141話 頑固職人の町だよ

いきなり店に向かおうとするソードに声をかけた。

「そういえば、ギルドはいいのか?」

最初にギルドに行くのがお決まりだったけど。

ソードが頭をかく。

「うーん……。ここは特殊なんだよ。ギルドはあるけど、ここの連中って、腕っ節にも自信がある連中の集まりだから、依頼がほとんど無い。まぁ、一応、あることはあるけど、なんつーか、見習いに一人で採掘に向かわせて、ソイツが遭難したってときの救助依頼くらいだな。どうしても手が空かないってときに、希少石の採掘依頼とかある程度で、俺たちが行かなくても……って感じだよ。それこそドラゴンが居座った、とかだったら依頼が来るとは思うけど、その場合はどこにいても呼ばれるだろうな」

はーん。なるほどね。つまり、呼ばれない限りは行かなくて良い、ってことだ。

それなら、と、店を見て回る。

まず、店が立派な構えのところはパスする。間違いなくやってもらえない。

なぜなら現状でもうけてるだろうから。

なるべく小さい店を選んで入ったが、まず、ソードしか会話出来ない。

まーね! 私の外見上、ソードのお付きの人くらいにしか思われないだろう。しかも、百パー買わなそう!

木刀をぶら下げて、鎧すら着ない子を、どうして顧客だと認識出来ましょう。

……と、私にでもよくわかる店側の心理状態を、ソードは快く思わないらしい。

すぐに私の手を引っ張って出て行ってしまう。

「待て待て。私は店側の気持ちは分かるぞ? このいでたちで、金気物所有ゼロの私を客と思えというのが無理難題だ。お前なら、鎧はいらないとしても、剣は買うかもしれないと思うだろうが」

ソード、私を振り返り、上から下まで眺めて解せたようだが。

「だからって、無視したり、鼻で笑ったりはないだろう⁈」

「私が逆の立場ならそうするから平気だ」

ソード、ピタリと足を止めた。

「買う気が無いやつに愛想を振りまけるか。

本来なら愛想すら振りまきたくないだろう。ただ、そうしないと収入が得られない、収入が得られなければ作れない、だから渋々やってるんだ。そして、私はそんな職人になるのが嫌だから冒険者をやってる」

そのセリフで、薬師にも言われて同じ回答をしたことを思い出したらしい。

「……ドSのお前は、こびて売るのは嫌か」

「もちろんだ。頭を下げて乞い願っても売りたいやつにしか売らん。いや、もっと言うなら、『貸す』だけだな。だから、ベン君たちには『貸している』だけだろう?」

ソードが笑い出した。

「でも、ベンの野郎は、自分の所有物の気持ちでいるぜ?」

「どういう気持ちだろうと、貸してるだけだ。売値はつけられない」

ベン君たちほど大切に使ってくれるなら貸してもいいけどね。

ソードはそれで店側の心理状態がわかったらしいが、

「……だとすると、そうとう困窮してるやつじゃないと来てくれなさそうだぜ? 俺も、こんだけ集まってるなら誰かいるだろうと思ったし、腕はいいんだ。剣だけじゃない、鎧も、細工物も、腕利きが集まってる。だけど……俺、やっぱ、お前がバカにされるのは嫌だ。お前自身が腕利きなのに、なんでそれよか劣る連中にお前がバカにされんだよ‼」

そんなこと言いだした。

…………。

プイと顔を背けた。

「別にそんなことどーでもいい。……それに、いないならいないで構わない。私が生きているうちは私が処理すれば良いし、概念は伝えてあるから、それを作れる者が、いつか出てくるかもしれない。基本は冒険、この国の観光だ」

ソードが頭をなでてくる。

「んじゃ、軽く見て回って、お前がほしそうな物があったら店に入ろう」

顔を背けたままうなずいたら、ソードが笑った。

そういうことで、剣や防具は見ずに細工物を見て回った。

見て回ってまず思ったのは、なぜに剣や防具ばかりで生活用品がないのだ? だ。

「ふーむ。別世界だと、こういう金気専門街には、生活用品を作る店もあったりするのだが、この世界だとないんだな」

「たぶん、ソレを売ってる店があったら、お前の依頼を聞いてくれるかもしんねーな」

と返された。

ソードを見ると答えてくれた。

「剣や防具を買いに『ここまで来る』連中は、金持ちだ。生活用品を買いにここまで来る連中はいない。細工物は、手慰み、っつーか、自分の器用さを示すためのもので、金持ちが土産に買うのにいいだろ? お前が言ったとおり、売るために作ってるからな」

「そうか……」

細工物を眺める。

確かに、綺麗は綺麗だけど、ちょっとデザインが古くさい、というか、無骨。私は繊細な作りが好きなので……判定、微妙。

「……そういえば、ダンジョンコア様のところでカットされた宝石が出ただろう?」

急に私が言い出したせいか、ソードがいぶかしんだ。

「ん? どうした、急に」

「ここの商品を見て思いだしたのだ。あのカットをダンジョンコア様は暇潰しの手慰みにやってるらしいが、古くさいから別のカットを教えた」

「ちょっと、そういう生臭い裏話をしないでよ。俺、あのダンジョンコア様にはひそかに憧れを抱いてるんだから」

憧れクラッシャーだな私は。

「つまり。この世界の住人は、とにかく冒険をしない。一つ覚えたらそれをバカの一つ覚えのように繰り返す、進歩がない。

宝石のカット一つにだって、様々なカットがあるのだぞ?

ダンジョンコア様は人ではないし、基本引きこもりだからな、私が教えなければ誰からも教わらないだろう。だが、ここは、様々な人……人以外だって集まる場所だろう? なんで冒険しないんだ。切磋琢磨という言葉を知っているんだろうかコイツらは」

「それで、お前は冒険しすぎてリョークとシャールを虫の形にしたのか」

ってツッコまれた。

違う、そうじゃない。あれはたまたまだ。

ソードがため息をついて頭をかいた。

「はぁ……。まぁいいや、今日のところは切り上げて、ギルドに顔出したらシャールをとめられる場所を探そうぜ。ここの宿は、お前が泣き出すレベルのトコしかねーから、シャールじゃねーと無理だ」

わぁ。

本当に、鍛冶の町だなー。他のやる気がなさ過ぎる!