軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第21話

結婚式を挙げてから一週間後。

由弦と愛理沙は空の上にいた。

「カンガルー、可愛かったですね!」

「そうだね。……それに美味しかった」

「……まあ、否定はしませんけれど」

二人は新婚旅行の真っ最中だった。

最初に二人が訪れたのは中国、その次は東南アジア、それから北アフリカとヨーロッパを回り、南アメリカを訪れ、そして次にオーストラリアに向かった。

今はオーストラリアを発ち、ハワイに向かっている最中だ。

ハワイ観光を終えた後、二人は日本に帰る。

おおよそ、一か月の旅の予定だ。

なお、日本に帰った後はしばらくゆっくりしてから、アメリカに戻る予定だ。

由弦も愛理沙もアメリカで新生活を送ることになっているからだ。

「しかし、由弦さん。どうしてハワイですか?」

「いや、特に意味はないけど。まだ行ったことないだろ? ……嫌だった?」

「いえ、別に。でも、ハワイだけは由弦さんのチョイスですし、同じアメリカなのになぁ……と少しだけ気になりました」

由弦も愛理沙も今までアメリカに住んでいたし、もうしばらくアメリカで生活する予定だ。

当然、ハワイは本土とは全く異なるだろうが、それでもアメリカだ。

“新鮮な異国感”は味わえないだろう。

「だからこそ、だよ。……ほら、今まで移動続きで大変だったろ? 最後なんだし、リゾートでゆっくり過ごそう」

一か月の旅行。

と聞くと長いように感じるが、いろいろ見て回ろうとすると、ゆっくりはしていられない。

移動の時間もそれなりに長く、今までの旅行は楽しいが、少し忙しなかった。

だから最後くらいはゆっくり、落ち着いた時間を過ごそうというのが由弦の提案だ。

「なるほど、そういうことですか」

理屈は通っている。

それに愛理沙にとってハワイは初めてだ。

ハワイに行くことそのものに不満はなく、むしろ楽しみにしているくらいだ。

故にそれ以上、追及しなかった。

「納得してくれて良かったよ」

ホッと由弦が胸を撫で下ろしていると……

由弦の携帯が鳴った。

「どうしました?」

「……亜夜香ちゃんからのメールだ」

由弦は携帯の画面を開き、送り主を確認するとすぐに鞄にしまった。

まるで愛理沙から携帯を、メールの文面を隠すように。

「確認しなくていいんですか?」

「今は君との時間を大切にしたい」

「返信は早い方が良いと思いますが……」

訝し気な表情を浮かべる愛理沙。

「そんなことより、愛理沙。ハワイなんだけどさ」

「はい? どうかされましたか?」

由弦はそんな愛理沙の耳元に唇を近づけた。

「水着、楽しみにしていいかな?」

由弦の囁きに愛理沙の頬が仄かに赤く染まる。

「もう!」

バシっと愛理沙は由弦の肩を叩いた。

「……ちゃんと用意してますから。期待、しておいてください」

そして恥ずかしそうな表情を浮かべながらそう答えた。

「わぁ! 海がとっても綺麗ですね!!」

ハワイのとあるビーチにて。

愛理沙は嬉しそうに叫んだ。

目の前には青い海と白い砂浜が広がっている。

「そうだね。人も少ないし……高い入場料を払った甲斐がある」

観光地のビーチだと、うんざりするほど人がいて、せっかくの綺麗な景色が台無しということがよくあるが、この場所に限ってはその心配はなかった。

入場制限があるビーチなので、治安の面でも安全だ。

由弦としては可愛い婚約者……否、新妻の肌をあまり他人に見せたくはないので貸し切りにしたかったが……。

さすがにそれは厳しかった。

「早速、泳ごうか」

由弦はそう言ってからシャツとズボンを脱いだ。

下には水着を着ていたので、すぐに海に入れる。

愛理沙もワンピースの下に水着を着ているだけの恰好なので、すぐに海に入れるはずだが……しかし愛理沙はなぜか水着にならなかった。

「……脱がないの?」

「あっち、向いてください」

由弦が尋ねると、愛理沙は海とは反対側を指さしながら言った。

別に気にすることはないのにと思いながらも、由弦は命じられるままに愛理沙に背を向けた。

するすると、後ろからワンピースを脱ぐ音がした。

愛理沙の肌は何度も見てきているが、しかしこういうシチュエーションはどうしてもドキドキしてしまう。

「もう、いいかな?」

「……いいですよ」

由弦は振り返った。

そこには黒いビキニを身に纏った新妻の姿があった。

黒い生地は愛理沙の白い肌に良く映えた。

(……初めての水着も黒だったなぁ)

ふと、由弦は愛理沙と初めてプールでデートをした時のことを思い出した。

その時、愛理沙は黒いビキニの水着を着て来ていた。

とてもドキドキしたことを覚えている。

今は互いに肌も見慣れて来てはいるため、当時ほどのドキドキはない。

と言いたいところではあるが……。

全体的に布地の面積が少なかった。

その大きな胸は全く収まっていなかったし、鼠径部も少しズレたら見えてしまいそうだ。

ここまで際どいと、やはりドキドキしてしまう。

「どうでしょうか? 期待通りでしたか?」

愛理沙はそう言ってクルっと、その場で回ってみせた。

大きくて白いお尻が露わになる。

臀部は殆ど、隠れていなかった。

いわゆる、Tバックだ。

「期待以上だよ。とても素敵だ」

由弦がそう答えると、愛理沙は嬉しそうに微笑んだ。

「日焼け止めクリーム、塗って頂けますか?」

「もちろん」

愛理沙のお願いに由弦は喜んで頷いた。