軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第19話

披露宴が終わった後。

高瀬川家と天城家の親族たちによる、盛大な二次会が行われた。

場所は式場から近くの旅館だ。

二次会は無礼講ということで、飲んで歌えの大騒ぎになった。

「まだやってますね……」

お風呂上り。

自分の客室に戻ってきた愛理沙は苦笑した。

由弦と愛理沙に割り当てられた客室は二次会会場から少し離れているが、それでも喧噪が聞こえてくる。

クレームが来ないのは、ワンフロア丸ごと貸し切りにしているからだ。

「まあ、式も披露宴も堅苦しかったからね。羽目を外したいんだろう。こういう機会もそう多いわけではないし」

愛理沙の言葉に由弦も肩を竦めた。

由弦と愛理沙が二次会に出席したのは三十分だけ。

その後、すぐに退出し、客室で二人だけの時間を過ごしていた。

今回の主賓は由弦と愛理沙だけだが、誰も引き留めなかった。

それは結婚式の夜くらいは二人で過ごしたいだろうという配慮からだ。

……単に酒を飲んで騒ぐ分には主賓がいなくとも問題ないからという理由もあるが。

「まあ、夜くらいは二人でしっぽり飲もう」

由弦はそう言って会場からクスねて来た日本酒を掲げた。

二次会で出された物のうち、一番値段の高い物だ。

由弦はそれを愛理沙の升に注いだ。

「ありがとうございます。では、由弦さんも」

愛理沙も由弦の升に日本酒を注ぐ。

「じゃあ、乾杯」

「はい、乾杯」

由弦と愛理沙は乾杯すると、日本酒を口に運ぶ。

すっきりとした、飲みやすい味わいだ。

特に今日、初めてお酒を口にした愛理沙はうっとりとした表情でお酒を味わった。

「結婚式、どうだった?」

「うーん、ちょっと緊張しましたね。無事に終わってホッとしてます」

ぐったりと椅子に寄りかかり、足を組みながら愛理沙はそう言った。

着ていた浴衣がはだけ、白く艶めかしい脚が裾から覗く。

普段の愛理沙なら、意図しない限りやらない仕草ではあるが……

一日中張っていた緊張が解けたためか、気付いていない様子だった。

「由弦さんはさすがでしたね」

「いや、俺も緊張してたよ。……特に結婚式の時」

「そうなんですか?」

「台詞、嚙まないか、心配だった」

「あぁ……分かります」

結婚式を苦い思い出にしたくない。

失敗したくない。

そう思うと、どうしても緊張してしまい、楽しむどころではなくなる。

ちょっとしたジレンマだ。

「でも、それを含めて良い思い出になりました」

「それは良かった」

お酒を飲み進めているうちに、愛理沙の頬が赤くなっていく。

飲みやすさの割には度数が強いせいだろう。

愛理沙はあっという間に酔っぱらってしまったようだ。

「これで私たち、正式な夫婦ですね」

愛理沙はそう言って由弦の手を取った。

指と指を絡め、恋人繋ぎをする。

腕を絡め、はだけた胸を押しあてる。

「そうだね」

由弦はそっと愛理沙の髪を撫でた。

愛理沙は心地よさそうに目を細め、由弦の胸に体重を預ける。

「子供は何人、欲しいですか?」

愛理沙は上目遣いで由弦にそう尋ねた。

由弦は少し考えてから答える。

「何人? うーん……二人くらい?」

「どうして二人ですか?」

「俺と彩弓が二人だからね。……一人だと寂しいかなって」

妹と喧嘩したことがないわけではない。

だが妹がいない人生は由弦にとっては考えられないし、いて良かったと思っている。

いなかったら、きっと寂しい思いをすることもあっただろうと。

だから自分の子供にも兄弟姉妹を作ってあげたいと由弦は思っていた。

独善的な押し付けではあるが。

「愛理沙は?」

「由弦さんが望むなら……何人でも」

「それは狡いだろ。もっと具体的に」

由弦はそう言って愛理沙の背中を撫でた。

愛理沙はビクっと体を震わせ、そしてうっとりとした表情を浮かべる。

「たくさん、欲しいです」

「そうか。じゃあ……頑張らないとね」

「はい」

愛理沙は頷くと、ヒナが餌をねだるように顎を上にあげた。

由弦はそんな愛理沙の唇に自分の唇を重ねる。

腰に手を回し、帯を解く。

ズレ落ちるように浴衣が畳に落ちる。

あっという間に愛理沙は一糸纏わぬ姿になった。

どうやら、下着は付けていなかったらしい。

行灯の橙色の光が愛理沙の白い肌を艶めかしく照らした。

「由弦さん。……どうしますか? 赤ちゃん、作ります?」

愛理沙は由弦の浴衣を脱がしながらそう問いかけた。

由弦はそんな愛理沙のお尻を軽く撫でる。

「その提案は嬉しいけれど……君はまだ、学生だろう?」

由弦は来年から社会人だが、愛理沙はまだ学生……博士課程が残っている。

それに二人とも、しばらくはアメリカで暮らす予定だ。

由弦は問題なくとも、愛理沙は大変だろう。

「それもそうでしたね……」

愛理沙は少し冷静になったようで、小さく肩を落とした。

しかしすぐに艶めかしい表情を浮かべると、由弦の胸板を指でなぞった。

「じゃあ、その分……今夜は思い出に残るものにしてください」

「あぁ、分かった」

由弦は頷くと、愛理沙を抱き上げた。

お姫様のように抱き上げられた愛理沙は期待に満ちた表情で由弦を見上げる。

それから由弦は優しく愛理沙を布団に寝かした。

「今夜は寝かさない」

「優しく……可愛がってください」

こうして二人は甘い夜を過ごした。