軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第24話 婚約者の水着

「背中……届かないので、塗ってください」

愛理沙にそう乞われた由弦は首を縦に振った。

「分かった」

「……ありがとうございます」

愛理沙もまた頷く。

そして……

「そ、その……由弦さん」

「えっと……どうした?」

「ぬ、脱げないです」

唐突に愛理沙はそんなことを言い出した。

最初は「ここに来て恥ずかしくなってしまったのか……?」と疑問に思った由弦だが……

「その……お願いできませんか?」

愛理沙に上目遣いで見られ、ようやく気付く。

愛理沙は由弦に脱がせて欲しいのだ。

「き、君は……大胆になったな」

自然と由弦の視線が愛理沙の肢体へと向かう。

ラッシュガードは丈が少し長いためか、下半身の水着までしっかりと隠している。

しかし白く長い足、太腿は隠せていない。

上半身については完全に隠れてはいるが……

しかし大きく胸元が膨らんでいて、そこにはたわわに実った果実があることを感じさせる。

この下には愛理沙の美しい肢体が隠れているのだ。

……もちろん、水着は着ているため全裸ではないのだが。

「し、知りません」

由弦の呟きに対し、愛理沙は恥ずかしそうに目を逸らした。

一方、由弦はゆっくりと愛理沙に近づく。

「じゃあ、脱がすよ」

「……はい」

由弦は愛理沙が着ているラッシュガードのファスナーを摘まんだ。

そしてゆっくりと、下へとおろす。

先んじて見えるのは鎖骨。

次に白く美しいデコルテ。

水着に包まれた大きな果実が開放される。

それからほっそりとしたお腹、可愛らしいお臍。

そして最後に三角形の布地が姿を現した。

「……その、最後まで」

「ああ」

由弦は頷き、ラッシュガードを肩から取り外した。

愛理沙の肩は小さくて白く……そして仄かに赤らんでいた。

「その、由弦さん……」

愛理沙は腕を後ろへ回し、ちらっとこちらを上目遣いで見上げた。

「似合ってる。綺麗だよ」

「……どんな風に、ですか?」

「……セクシーかな?」

今回の愛理沙の水着は、赤い三角ビキニだった。

レースのように体を隠すような物はなく、小さなリボンだけがある、シンプルなデザインだ。

タイサイドビキニ、いわゆる紐ビキニに該当するもので……面積は少し小さい。

愛理沙にしてはかなり攻めている。

赤いビキニは愛理沙の白い肌をより強調し、艶っぽく見せている。

セクシーと表現するのが、一番適切なように思えた。

「や、やめてくださいよ。そんな……」

愛理沙は少し恥ずかしそうに両手で体を隠した。

その顔はビキニと同じく赤らんでいるが、しかし嫌がっているようには見えない。

むしろ嬉しそうだった。

「……前から思っていたけど」

「……何でしょう?」

「君は服のセンスはそこそこ……大胆だね」

今回は赤、以前は黒。

どちらもビキニで、愛理沙の性格と反して大胆なものだ。

水着だけではなく、愛理沙は意外と……

その肢体を強調するような私服を着ることが多いように思われた。

「や、やめてください……そういう言い方は……そういうのが趣味みたいじゃないですか」

「違うの?」

「ち、違いますよ!」

由弦が冗談半分で聞き返すと、愛理沙は少し怒った口調で言い返した。

「ただ……こういうやつの方が、似合うんじゃないかなと……思ってるだけです」

「まあ、確かに。君は……可愛いよりも綺麗、子供っぽいものよりも大人っぽいものの方が、似合うね」

そもそも愛理沙は素晴らしいプロポーションの持ち主だ。

それを活かさないのはあまりにも勿体ない。

「でもさ……見られるのは、少しいいなと思ったりはしない?」

由弦も筋トレをやったりするだけあり、鍛えた物を見られて「すごい」と思われるのは……悪い気はしない。

愛理沙は女の子なので、男の由弦とは感覚が全く違うのかもしれないが……

多少なりとも優越感を覚えたりはしないのか? と由弦は愛理沙に尋ねた。

「ま、まさか! ……恥ずかしいだけです」

「だったら……」

「今回はパレオを持って来てますから。……見せるのは由弦さんだけです」

「それは良かった」

由弦は少しだけ安堵した。

というのも、水着の面積が“基準”よりも小さいのではないかと感じていたのだ。

特に下半身を隠している部分はより際どい。

こんな姿を――友人とはいえ――他の男にも見せるつもりなのか……

と内心で全く思わないこともなかったのだ。

「上はラッシュガードを羽織ってくれ」

「は、はい。……亜夜香さんと千春さんが許してくれたら、ですけど」

確かにあの二人はうるさそうだと、由弦は苦笑した。

とはいえ、交渉の余地はある。

後で「男と女で分けよう」とでも、提案すれば良いのだ。

女同士で見せ合う分は特に問題はない。

愛理沙にとっては分からないが。

「ところで……愛理沙。俺に見られるのは……どう?」

「え?」

由弦に問われ、愛理沙は声を上げた。

「い、言わないと……ダメですか?」

「ダメ」

由弦はそう言って愛理沙との距離を詰めた。

そして愛理沙の小さな肩を掴む。

至近距離だと恥ずかしいのか、愛理沙は由弦の下半身・胸板・顔を交互に何度も見る。

「ゆ、由弦さんに見られるのは恥ずかしいです……けれど……」

「けれど……?」

「う、嬉しいです。こ、これ以上、言わないと……ダメ、ですか?」

愛理沙は許しを乞うように、由弦にそう言った。

そんな言い方をされると由弦はもっと意地悪をしてしまいたくなるが……しかしあまりイジメすぎて、拗ねられても困る。

「そうか。正直に言えて……偉いね」

由弦はそう言って愛理沙の頭を撫でる。

一瞬、心地よさそうに目を細める愛理沙だが……すぐにハッとした表情になり、由弦を見上げた。

そしてジト目で睨む。

「随分と……上から目線ですね」

ちょっと怒った様子を見せる愛理沙。

由弦は思わず微笑んだ。

「愛理沙」

「え、ちょっと……」

由弦はそっと愛理沙を自分の方へと引き寄せ……

ゆっくりと唇を近づける。

愛理沙は目を瞑り、顎を自分から上へと上げた。

唇に接吻してくださいと、言わんばかりだ。

由弦はそんな愛理沙の……

額に唇を軽く落とした。

「あっ……」

嬉しそうな、少し残念そうな愛理沙の声。

「唇が良かった?」

「……違います」

照れ隠しからか、愛理沙はプイっと頬を背けた。

由弦はそんな愛理沙の頬を指で軽く突いた。

「……さて、愛理沙」

「……何ですか?」

不機嫌ですよ?とでも言いたそうな愛理沙に対し、由弦は言った。

「そろそろ……塗ろうか」

由弦の言葉に愛理沙は目を大きく見開き……

そして顔が一瞬で真っ赤に染まった。