作品タイトル不明
第4話 カエルは努力する。
アンは語学には自信があった。
そもそも、このベル国はベル語と呼ばれる地元の言葉と、隣接するブリア語、フール語、この3つを公用語としているので、当然と言えば当然だ。
「どうでしょうか、先生?」
書く、読む。結構自信満々に、褒められちゃうかもと期待しながらアンは先生に聞いてみた。
「ああ。語学は大丈夫なようだね。じゃあここに、スペーナ語を学んでおこう。あとはイング語かな。これから伸びそうな国だからね。」
「……」
「教科書は僕が用意するよ。いいね」
「…はい」
さらりとかわされて、次々に質問が降ってくる。
「じゃあ、大陸の歴史を…」
「大陸の地理を…」
「各国の特産品と工業を…」
先生に一通りのチェックをされた後、
「知識としてはあるようだね。でも重要なのは、じゃあ、この地形が歴史的にどう重要だったか、ここで産出された鉱物が大陸にどう影響していったか…みんなつながっていることを考えながら学べるともっといいと思わない?」
そう言って、先生がにっこりと笑った。
…なるほど…。
次に実は一番苦手な算術を教わる。
「うん。もう少し努力しようね」
次はダンス。
その後は剣術。
「晩餐の時に君の銀器の扱いは確認した。これは及第点。ダンスと剣術はまじめにやってこなかったのかな?」
「……」
「ダンスは僕とでは練習にならないしなあ…」
頬杖をついて眉間にしわを寄せる先生。今までのダンスの先生は褒めて下さったのに…。まあ、確かに父上より背の高い先生では私と踊るわけにはいかないか。かがみ過ぎて腰を痛めそうだ。
「まあ、いい。レイモンに言ってダンスの先生を手配しよう。剣術は全く駄目だね。明日の朝から、近衛の朝練に出なさい」
「え?」
「聞こえなかった?」
「いえ。…はい。」
「もちろん護衛は付くだろうけど、一国の王女として、自分の身は自分で守れるぐらいにしておこうね」
…なるほど…。
メモを取っている先生を見上げる。
長身で茶色の髪を後ろで緩く縛って…優し気な若草色の瞳…本人は優しくないけど。
私は翌日から、近衛の朝練に出て、午前中は語学と算術。
午後からダンス。これも…今までと違って、各国の特徴あるダンスまで…
夜は歴史と地理。帝王学…。
使用人のみんなも応援してくれて、お茶の時間には私の好きなお菓子が並ぶ。
ここで…なんとお茶を出す練習。
「君の旦那様がお茶が飲みたい、と私室で言った時、さりげなく美味しいお茶が出せたらいいと思わない?」
「……」
そんなものなんでしょうか?先生…。
ハラハラして見守ってくれるドミニクをチラ見しながら、お茶を入れたが…今一つだった。先生はそのお茶も飲んでくださった。