軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編その1

物心ついたときから、私は可愛げがなく人間味がないと言われて生きてきました。

しかし、それもまた私らしいと言ってくださる方と出会い、幸運なことに私はその方と結婚をします。

そして、今まさに、私はその方の隣で畑仕事を手伝っていました。今日は荒れている土地を耕す作業をしています。

「おーい、フィリア。こっちだ!」

「はい。ただいま参ります」

「相変わらず堅苦しいなぁ。もっと気楽にしてくれよ」

「申し訳ありません。これが私の性分なのです」

そんな私に対して「まあいいか」と笑う彼を見て思わず口元が緩んでしまいます。

それは彼が私にとってかけがえのない存在だからです。

「しかし、フィリア。本当にいいのか? ここのところ、俺の畑仕事ばかりに付き合ってくれているが、なにか別にやりたいことがあるなら遠慮なく言ってほしい」

「お気になさらず。私はオスヴァルト様とこうして一緒に農作物を作ることが楽しいのですから」

「そ、そうか。そこまで言われると照れるな」

彼は頬を掻く仕草をしてそっぽを向きました。

私はそんな彼に近づきたくなって歩みを進めました。すると――。

「きゃっ!?」

「フィリア!?」

足元の石につまずいて、体勢を崩した私はそのまま地面に倒れ込んでしまいそうになります。

「おっと、平気か? 珍しいな。フィリアが転ぶなど」

「オスヴァルト様……。す、すみません。ありがとうございます」

地面が目の前に迫り、このままでは顔からぶつかると思った瞬間、私を抱き留めてくれたのはオスヴァルト様でした。

不覚ですね。平坦な場所だとつい油断してしまいました。

私は恥ずかしさと嬉しさが混ざった感情のまま、お礼を言います。

「礼には及ばない。怪我がなくて本当によかった。……ふむ。この石につまずいたのか」

「あっ……」

彼は私がつまずく原因となった石を拾い上げました。

その行動で、私はようやく自分が何に引っかかって転倒しそうになったのかを理解します。

「なぁ、フィリア。よく見てご覧。この石が埋まっている下で必死に根を張っているものがあるだろう?」

「……はい。とても健気で立派な植物です。雑草というのはこのような場所にも生えるんですね」

「そうだ。俺もこの雑草のように頑張りたいと思っている。あなたに相応しい男になれるよう努力を続けるつもりだ」

彼はその言葉の通り、常に自己を高めようと頑張ってくれていました。

王子という身分であるにも関わらず、私の将来の夫としてもっと立派であろうとしてくれる彼を尊敬しています。

しかし、それと同時に生意気にもとても愛しく思ってしまうことは罪でしょうか……。

「……オスヴァルト様はすごいですね。第二王子という立場なのに雑草のように生きたいなどとは中々仰せになれないかと」

「そうかもしれないな。だが、俺はフィリアのほうがすごいと思っている。過酷な修行にも耐え抜いて、聖女としてあるべき姿を示し続けるあなたは本当に強い女性だと」

「……私は強くなんかありませんよ。挫けてしまいそうになったこともありますし――」

「だとしても、あなたはそれを乗り越えて生きてきた。それこそ俺の理想とする雑草のような……いや、その例えは失礼だな。とにかく俺はフィリアのことを尊敬しているし、その強さに惹かれたんだ」

「オスヴァルト様……」

私の心は温かさで満たされていきます。

彼と出会えたこと、そして結婚できることが奇跡であるように感じられました。

「俺はあなたの隣に立っていても恥ずかしくないような人間になるよ」

「私もオスヴァルト様の妻として相応しい存在になりたいと思います」

「お互いを高め合う関係というのも悪くはないな」

「はい!」

私たちは手を取り合いながら笑いました。

これから先、辛いことや悲しいことも待ち受けているかもしれません。

それでも私は隣にいるオスヴァルト様と共に乗り越えていけると確信しているのです。

オスヴァルト様の「雑草」のように生きたいという言葉には、そういった想いも込められていて、私はそれを理解して彼の妻として相応しい人間になろうと努力することを誓いました。