軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第4話 ジョブポイントが入ってる

兄たちを置いてとっとと家に帰ってきたリオン。

慣れ親しんだ自室に戻ると、ボロボロのベッドに腰掛ける。

ぷるぷる。

するとベッドの下から無色透明の塊が現れ、リオンの足に絡みついた。

「ただいま、スーラ」

声をかけると、ぷるりんと身体を揺らしたのは、最弱の魔物として知られるスライムだった。

一年ほど前にたまたま庭に迷い込んできたところを発見し、傷付いていたので薬草で治癒してあげたところ、リオンにくっ付いてきたのだ。

それ以来こっそりこの部屋で飼っているのである。

勝手に害虫を食べるので餌も必要なく、しかも部屋を奇麗にしてくれるので助かっている。

それになにより可愛い。

不遇な日々を送っていたリオンにとって、スーラは唯一の癒しだった。

「ま、それも今日で終わりだけどな」

リオンはいつものようにスーラを抱き上げた。

するとぷるぷると震え出したが、生憎と表情がないので喜んでいるのか怖がっているのか分からない。

一応、逃げようとしないところを見るに、嫌がっているわけではないと思うが。

「……さて、とりあえず色々と確認しておかないとな」

転生したことは恐らく間違いないとして、幾つか疑問があった。

まず、いつどうやって死んだのか?

「そういえば、魔王の討伐に成功した後のことってまったく聞いたことないな」

百年前の伝説の勇者――つまり前世のリオンのことだが――の冒険譚を描いた本はどれも、魔王を倒してめでたしめでたしで終わっているのだ。

そしてどういうわけか、魔王を倒した後からの記憶を一切思い出すことができない。

あのときは確か二十一歳だった。

それから何年後に死んだか分からないが、どんな人生を送ったかまったく思い出せないのはおかしい。

最後の記憶は、夢で何度も見ていた魔王との戦いの場面で――

「あれ? 魔王にトドメを刺した直後に何かあったような……。っ……そうだ!」

そこでリオンはようやく思い出す。

魔王が死んだ瞬間、厄介な呪いが飛んできたことを。

恐らくあらかじめ自身の死をトリガーとして発動するようにしていたのだろう。

制約が大きいだけに強力な呪いだった。

勇者が持つ高い呪い耐性を破ってきた上に、放っておくと数分で死ぬと直感するレベル。

リオンは咄嗟に解呪の魔法を使おうとしたものの、その呪いは同時に魔法を封じるものでもあった。

ならばと解毒ポーションを飲もうとしたら、手足が痺れて動かない。

麻痺の状態異常もかけられていたのだ。

麻痺は時間経過で回復するのだが、それより呪いに蝕まれる方が早かった。

そしてリオンは意識を失い……。

「死んだのかー。……呆気ないなぁ」

結局、魔王とは相討ちになったというわけだ。

力では勝っていたのだが、ちょっと油断し過ぎていたかもしれない。

――普通、勇者はパーティで魔王に挑むものだろうッ!?

思い出すのは魔王の言葉。

リオンに仲間がいれば、解呪してもらえた可能性もあった。

呪いというのは制約が強ければ強いほど強力になる。

あれだけの呪いだし、恐らく呪える対象は単体に限定されていたに違いない。

「ま、今さら後悔してもどうしようもないしな」

次に、能力についての疑問だ。

今のリオンは前世と同じ強さなのか?

生まれ変わった後のリオンでは、オーガを倒せるはずがなかった。

だから完全にリセットされたわけではないと思う。

剣を振ったり魔法を撃ってみたりすれば確かめられるだろうが……他にもっと簡単な方法があった。

「鑑定」

リオンは自分自身にスキルを使ってみる。

もちろん使えたらの話ではあるが――

「ちゃんと使える」

リオンの視界に文字の羅列が浮かび上がってくる。

上から順番にそれを確認していった。

リオン=セーレスト

年齢:12歳

セーレストは今の家名だ。

庶子とはいえ、一応苗字は与えられていた。

名前は転生後のものしかない。

年齢もそうだ。前世を含めてカウントしているわけではないようだ。

種族:ヒューマン

種族レベル:3

種族はいいとして、種族レベルは3。

100でカンストしていた前世とは比べ物にならない低さだ。

十二歳の子供としてはごく普通のことだが、これではオーガを簡単に倒せたことの説明がつかない。

その答えは次の部分にあった。

ジョブ

【 剣聖(ソードマスター) 】レベル20

【 大魔導師(グランドウィザード) 】レベル20

【 聖者(セイント) 】レベル20

【 盗賊王(キングシーフ) 】レベル20

「前世のままだ」

ジョブは〝天職〟とも呼ばれていて、取得していれば神々から加護を授かることができる。

レベルを上げることで基本アビリティに+補正がなされたり、特定のスキルや魔法を習得しやすくなったりするのだ。

なお、レベルは20がマックスで、そこまで至るとより強力な加護を得ることができた。

ジョブは一度に一つまでしか取得できない。

だがマスターすれば、新たに同系統の上級ジョブや、別系統のジョブを取得することが可能だった。

リオンはそうやって四つの系統のジョブを最上級職まで極めていた。

だからこそ一人で何役もこなすことができ、ソロで魔王に挑むことができたのである。

……その結果が相討ちなのだが。

なお鑑定スキルは、専門の鑑定士系統ほどではないが、盗賊系統のジョブが得意としているもので、人や物の価値を知ることができるという便利なものだった。

盗賊王を極めたリオンなら、自身の詳細なステータスを見ることが可能だ。

「つまり転生したせいで種族レベルは1から再スタートになったが、ジョブの方はそのままってことか」

その結果、

力:S(E)

耐久:S(E)

器用:S(E)

敏捷:S(E)

魔力:S(E)

運:S(E)

基本アビリティがすべてEであっても、加護による強力な補正でSとなっていた。

さすがにオールSSSだった前世と比べると低いが。

そしてもう一つ、特筆すべきことがあった。

ジョブポイント:300

「ジョブポイントが入ってる!」

これはジョブの取得に必要とされるポイントで、種族レベルが上がることで入手できる。

前世のリオンは100まで上げて、トータルで10000ポイントを得ていたが、全部ジョブの取得に使ってしまっていた。

「つまり、新しいジョブを取れるってことじゃないか」

もしかして前世より強くなれるかもしれない、とリオンは期待で胸を膨らませた。