軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第184話 再生能力があるのか

「ふははははっ! 一歩遅かったな! すでにヤマタノオロチを封印から解き放った後だ!」

ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

どうやら僅かに間に合わなかったようで、足元からの突き上がってくるような凄まじい振動、そして先ほどまではなかった強烈な気配。

「さあ、目覚めるのだ! 神話の怪ぶ――」

リオンが咄嗟にその場から飛び下がった直後、地面が粉砕して、そこから巨大な顎が飛び出してきた。

そこにいたニンジャ数人をあっさりと丸呑みにしたそれは、そのまま天井をも易々と突き破ってしまう。

床から天井まで貫いてしまったその蛇腹は、一枚一枚の鱗がまるで岩のように大きい。

その胴回りは、並のドラゴンの身体がすっぽり収まってしまうほどの太さだ。

『こ、これがヤマタノオロチでござるか!? しかも身体の一部が、これほどの巨大だとは……っ!?』

「は、はははははっ! これがヤマタノオロチだっ!」

「サムライどもめ、せいぜい恐怖せよ!」

「そして死ねぇぇぇぇぇぇっ!」

驚愕しているキサラギや歓喜しているニンジャたちを余所に、リオンはとりあえず神器を回収していった。

すでにニンジャたちには必要ないものだろうが、この国にとっては大事なものだろう。

それからすぐに洞窟から脱出する。

その直後に天井が崩れ落ち、洞窟は完全に崩壊してしまった。

中のニンジャたちが生き埋めになってしまったが、そもそも脱出しようとする気もなさそうだったので放っておいていいだろう。

最初から命など惜しくなかったようだ。

「それにしてもデカいな……」

リオンは地上からそれを見上げ、思わず呟く。

富士の麓の斜面から、次々と巨大な首が飛び出してきていた。

まだ根元が地中に埋まっているため全貌は分からないが、最も長いもので三百メートルは軽く超えている。

リオンが前世で戦った魔物の中で、最長だったのが海のドラゴンであるリヴァイアサンだ。

それはゆうに千メートルを超えていたため、さすがにそれと比べると短いが、こちらは首が何本もある怪物だ。

「グルアアアアアアアッ!!」

そのうちの一本がリオンに気づいて、猛烈な速度で躍りかかってきた。

地面を蹴って回避したが、巨体が生み出した爆風に吹き飛ばされてしまう。

リオンの代わりに突進を喰らった地面や近くに生えていた樹木はまとめて粉砕され、そこには巨大なクレーターができあがった。

『あ、あれをまともに喰らっては、さすがの貴様もただでは済まぬでござるぞ!?』

「喰らわなければいいだけだ。それより、そろそろこの剣の性能を確かめさせてもらうぞ」

リオンは軽く言って、キサラギの剣を鞘から抜き放った。

『初めての共同作業でござるな!』

なぜか嬉しそうなキサラギの声を無視し、リオンは剣を天高く掲げ、再び迫りくる別の首を堂々と迎え撃つ。

闘気と魔力が刀身へ集束していき、その光が天高く伸びていった。

『って、真正面から叩く気でござるか!? む、無茶でござるよ!』

悲鳴を上げるキサラギ。

しかしリオンは気にせず彼女を振り下ろした。

「グルアアアアアアッ!!」

「――ワールドスライス」

「~~~~ッ!?」

リオンの目の前で、巨大な頭部が真っ二つに両断された。

さながら海を割った神話の英雄の逸話のように、リオンの両脇を美しい切断面が通り過ぎていく。

蛇身は三十メートルほど先まで割かれ、そのまま轟音とともに地面に墜落した。

『ききき、斬ってしまったでござるっ!?』

「さすがはヒヒイロカネの剣だな。まったく損傷がない。申し分ない強度だ」

驚くキサラギを余所に、リオンは刀身をまじまじと確認する。

しかもヒヒイロカネは、アダマンタイトと比べて魔力などの伝導率が高いため、攻撃の威力を底上げしてくれるのだ。

「「「グルアアアアアッ!!」」」

首を一つやられて、どうやらリオンの存在が脅威だと悟ったらしい。

一斉に襲い掛かってきた。

「っ!」

一体が口から炎のブレスを吐き出し、周囲一帯を炎の海に変えたかと思えば、また別の一体が氷のブレスを放ち、辺り一面を凍り付かしてしまう。

「それぞれブレスの種類が違うのか……っ!」

雷のブレスに、猛毒のブレス、超音波のブレス、それから闇のブレスなど、多彩な攻撃が襲ってくるが、時に剣で斬り裂き、時に魔法で相殺し、時に回避し、すべて的確に対処していくリオン。

『ど、どっちも出鱈目でござるよ!』

それどころかリオンは、隙を突いて一つずつ確実に首を落としていった。

「グルアアアアッ!!」

「っ!?」

背後から吐き出された砂嵐のブレスを躱したリオンは、どういうことだ、と顔を顰める。

というのも、鎌首をもたげてリオンを見下ろしていたのは、最初に真っ二つにしたはずの首だったからだ。

よく見ると頭を両断するような傷が残っていた。

だがそれもあっという間に消えてしまう。

「……再生能力があるのか」

『これだけの化け物ながっ、再生してしまうのでござるかっ!?』

周囲を見てみると、他にも最初の方に倒したはずの首が、急速に傷を治しながら今にも起き上がろうとしているところだった。

「どれだけ再生できるか分からないが……体力と魔力が持ちそうにないな」

さすがのリオンも分の悪さに呻くしかない。