軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

星々と朝焼けの奇跡【Xmas小話】

「……あれ?」

心地よいぬくもりに包まれて幸せを感じつつも、何かが違う気がして目が覚めた。

ぬくもりの正体はユリシーズ様だ。

何時に帰って来られたのかしら……て、あら?

「今、何時っ⁉」

ガバリと起き上がる。

嘘、私ったらいつの間に眠ってしまったの⁉

ユリシーズ様との約束が楽しみ過ぎて、昨日の夜はあんまり眠れなかった。

そして、お昼寝するように言われたけど、やっぱり楽しみ過ぎてまったく眠気など来なくて。

美味しくごはんを頂き、お風呂でしっかりと磨き上げてもらって。あとはユリシーズ様を待つだけだったのに……。

「おはよう、ジャスミン」

「…ユリシーズ様っ、起こしてくださいよぉ!」

これが八つ当たりだとわかっている。でもだって、あんなに楽しみにしていたのに!

「あんまりにも気持ちよさそうに寝ていたから。それに、昨日は眠れなかったらしいじゃないか」

誰よ、バラしたのは……。

「日中もずっとあれこれと働いていたみたいだし」

「ごめんなさい、楽しみ過ぎて眠れなかったの」

まるで子どもみたいな自分に呆れてしまう。

「素敵なプレゼントをありがとう」

「……なんのこと?」

「昨日の夜からずっと、私とのキスを楽しみに、私の帰りを待ち侘びていたのだろう? 夫としては嬉しい限りだな。可愛い妻を持てて幸せだ」

本当に嬉しそうな顔で口づけをしてくれる。

喜んでくれたのは嬉しいけれど、やっぱり少し残念だわ。

「おいで、ベランダに出よう」

そう言って、前もって準備してくれていたのであろう、ファーの付いたガウンコートを羽織らされた。

「ほら、まだ星空が見える」

少しずつ明るくなってきてはいるが、何とか星空は留まってくれているようだ。

「待っていてくれてありがとう。来年はちゃんとゆっくりと星空を見られるようにしよう」

……うれしい。眠りこけた私を呆れもせず、こうして来年の約束までくれるんだ。

「約束を守ってくださってありがとうございます。来年の約束も嬉しいです!」

二人で笑いながらキスをする。

そうね、永遠じゃなくて、毎年こうやって過ごせるといい。そしてまた次の年の約束をして。

そうやって、きっと気付けば永遠になっているのだろう。

「ああ、朝焼けだ」

「……綺麗ですね」

「君が眠ってくれたおかげでこんなにも綺麗なものが見られた」

「それは嬉しくない褒め言葉!」

「ハハッ! 要するに、君と一緒なら何でも楽しいし幸せだということだ。これからもずっと隣に居てくれ」

「もちろん! 私だってあなたといるととっても幸せなのよ? こんな素敵な旦那様を手放すはずがないわ!」

そうしてもう一度、二人で誓うようにそっと口付けた。

ユリシーズ様のこういう所が好き。失敗を責めずに、私らしいと楽しんでくれる。

そんな彼のことが、また一層大好きになってしまうのだ。

何だか、このまま日常に戻りたくない。

明日……ううん、あと何時間かで、またユリシーズ様は仕事に戻らなくてはいけない。分かってる。

でも、もっと……もっとそばにいたい。

「……ジャスミン、抱きたい」

ああ、ユリシーズ様も同じなんだ。

それがとっても嬉しい。

「わたしも。ユリシーズ様をもっと近くで感じたいです」

本当はお仕事は? とか、疲れていない? とか。

労ってあげたい気持ちはあったけど、それよりもあなたのことが欲しかった。

でも、今日は聖夜でしょう? それなら、あと一つだけプレゼントが欲しい。ユリシーズ様との幸せな時間を、あと少しだけ下さいませ。

まあ、その後は散々甘やかに溶かされ翻弄されまくり、ユリシーズ様は艶々な麗しいお顔でお仕事に行き、疲労困憊の私はベッドで惰眠を貪ったけど。

私達が聖夜の奇跡を知るのは、それからひと月後のこと。

二人の最愛が芽生えたことは、聖夜の星々と朝焼けだけが知っている。