軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

お邪魔します!*3

ということで、俺達はラークの町近くのダンジョン、というやつにやってきた。

一応、パニス村の最寄りダンジョンは俺のところを除くとここ、ということになる。その次がリーザスさん行きつけダンジョンと王都の金鉱ダンジョンかな。

そんなラークの町ダンジョンだが、ここは今、これまでに無い盛り上がりを見せているのである!

「わー……結構、人が居るんだね」

「元々、そんなに目立つダンジョンではなかったはずなんだが……」

これにはリーザスさんも困惑している様子。それもそうだ。ダンジョンの入り口は地下へ続く階段みたいになってるんだけど、その周りには冒険者と思しき人がたくさん居て、そんな冒険者達向けに傷薬や道具を売っていると思しき商人が居て、更に、食事の屋台が出ていて……と、かなり賑やかなのである。

「パニス村もこんなかんじだった頃、あったよねえ」

あー、うん。ダンジョン前受付が村一番の商店だった頃ね……。今や宿も飲食店も酒場もお土産物屋さんもできちゃったけどね……。確かに、言われてみるとかつてのパニス村を思わせるかんじの賑わいである。

それにしても、ラークの町も何か、町おこししてたんだろうか。以前、この町でミューミャの仕入れとかやった時にはこういう盛り上がり方はしてなかったんだけどな。何かあったのか?

……そんな俺達の疑問は、すぐさま解消されることになった。

「よお!そこのお兄さん達もスライム狩りかい?」

そんな風に声を掛けてくる冒険者が居たので。

「スライム狩り……?」

「ん?違ったか?」

俺達は『まあ違うっちゃ違うがそうっちゃそう』みたいな気持ちのまま、それ以上に『ああー、ラークの町のダンジョンが賑わってるのはうちのせいだったか……』と納得しつつ、曖昧に頷いていた。

「いや、ほら、ここはパニス村に近いから、ここでスライムを狩る奴が多いんだ。あんた達もそのクチかと思ったんだよ。で、スライムを捕まえるんだったら、そっちのお兄さんがしてるような革の手袋が必須だぜ、って教えてやろうと思って」

成程。この冒険者は他のダンジョンにもよく居る、おせっかい焼きの善良な冒険者であったらしい。

パニス村にもこういう人、居るよ。で、『武器は装備しないと意味がないぜ!』とか、『薬が尽きる前に引き返すようにな!』とか、色々アドバイスしてくれる。

あと、村の入り口らへんによく居て、『ようこそ!ここはパニス村だぜ!』って挨拶してるタイプの奴も居る。こいつについては、他の冒険者から『お前は村人じゃねえんだから引っ込んでな!』ってよく言われてる。なので近々、定住を考えているそうだ。パニス村へようこそ。

「ああ、忠告ありがとう。スライムは捕まえる気だが、まあ、スライムに触れるのは俺だけの予定だから大丈夫だ」

「へえ。まあ、お兄さん、腕が立ちそうだもんなー」

アドバイス冒険者が感心しているのを聞いて、俺とミシシアさんは胸を張る。どうやらリーザスさんは赤の他人から見ても『腕が立ちそう』であるようだ。誇らしい。俺達が誇ることでもないが。誇るべきなのはどちらかというと、今ちょっともじもじしてるリーザスさんの方ではあるんだが。

それから、俺達はアドバイス冒険者から色々と聞いて、このダンジョンの簡単な地図も教えてもらった。どうやら、リーザスさんもラークの町のダンジョンにはそう何度も入った訳ではないようなので、道にはあまり自信が無かったらしいのだ。だからこそアドバイス冒険者がありがたい。ありがとうアドバイス冒険者。

「それにしてもなんだか感慨深いねえ。パニス村のダンジョンの賑わいが伝わって、こっちのダンジョンまで賑わってるようなもんだもん!」

「ね。まあ、ご近所さんには気持ちよく居てもらうのが一番だしな……」

ミシシアさんとしてもなんか感慨深さがあるっぽいが、俺としてもそうだな。好循環が生まれてるなら喜ばしいことである。

「さて……えーと、じゃあ……『おじゃましまーす』」

まあ、俺達はこのラークの町ダンジョンに人を大量に呼び寄せた張本人、とも言えるだろうから、このダンジョンには敵意を持たずに居てほしい。よろしく!仲よくしようぜ!

さて。

「おじゃましまーす……」

そういう訳で、俺達はラークの町のダンジョンへと突入した。

「……中も結構人が居るもんなんだなあ」

「いや、普段はこんなことは無いはずだぞ。やはり、パニス村でスライムを買い取ってもらえるからスライムを生け捕りにしよう、という冒険者が増えてこの結果なんだろう」

ダンジョンの中も冒険者達がちらほら居る。これは、浅いところはスライム一匹居ないかもなあ。

「まあ、今回の目的はスライムじゃないからな……よし。アスマ様、ミシシアさん。2人とも、油断しないように。いざとなったらすぐに逃げてくれよ」

……まあ、ね。うん。今回、俺達はこのダンジョンの様子を見に来た訳だ。

つまるところ……最深部に居るであろう、ダンジョンの主に会いに来た。だから俺達は、このダンジョンを進めるところまで進んでみるつもりなのである。

「了解です隊長!」

「分かったよ隊長!」

「……その『隊長』というのは、何なんだ……?」

いや、ほら、気分って大事じゃない。ね。

そうしてリーザス隊である俺とミシシアさんと隊長ことリーザスさんが進んでいくと……びっくりするほど、魔物が居ねえ。

「わー、全然何もいないねえ」

「そうだな……粗方冒険者達に狩り尽くされた後なんだろう」

なんというか、元々は魔物がそこそこ居たダンジョンだろうに、今となっては何も居ねえ。びっくりするほど、何も居ねえ。

元々が魔物メインのダンジョンだったんだろうなあ、っていうのは、『道が単純』ってところにも如実に表れている。迷路になっているでもなく、トラップがあるでもなく……つまるところ、魔物が居なくなった今、本当に只々何も無いダンジョンと化しているのである!

「これなら踏破も簡単かもよ!」

「いや、だとしたら他の冒険者達が既に踏破しているだろう。……アスマ様のアレがあるから、戦闘になってもそうは問題ないと思うが、油断は禁物だ」

「まあ、楽に行っちゃったらアスマ様のアレの出番がないもんね!」

『アレ』については、出番がない方がいいと思うんだけどね。まあ、どうせどこかでは強い魔物に出くわすだろう。多分。

……それにしても、他所のダンジョンってなんか、落ち着かねえなあ……。なんか、友達の家に遊びに行った時のそわそわ感に似たものがある。まあ、ダンジョンを友達の家扱いすると、ダンジョン側からも友達の家側からも文句が出そうではあるが……。

そのままそわそわと進んでいくと、流石に魔物が出てくるようになった。

「ああ、ヘルハウンドだな。大丈夫だ。これなら俺一人で対処できる。下がっていてくれ」

「うわああああ!小型犬じゃねえヘルハウンド初めて見た!」

「あんまりかわいくない!あんまりかわいくないよ!アスマ様!」

「下がっていてくれ!」

……まあ、魔物の処理は主にリーザスさんにお任せした。流石は元王立第三騎士団所属の騎士。強いね。実に強い。

おかげ様で俺とミシシアさんは『今のはヘル中型犬だったね』『犬種は何だっただろう』『けんしゅって何?』みたいな話をしながらのんびりしていられるのだが……。

「あっ。何か居るからやっちゃうね」

「えっ?」

ミシシアさん、雑談しながらヒョイと弓を手にすると、そのままサッと矢を番えて、物陰にむかって矢を放った。えーと、放物線を描くようにして飛んでいった矢が、見事、障害物の裏側に命中、という離れ業なんだけど……ミシシアさんはミシシアさんですげえなあ。

「おお、ゴブリンか」

リーザスさんが物陰を見に行って、『もう大丈夫だぞ』と手招きしてくれたので、俺とミシシアさんは喜び勇んでそちらへGO。

「おおー、これがゴブリン」

「ああー……エルフの里の傍によく居たなあ。懐かしいなー」

そこで死んでいたのは、小鬼、という言葉が相応しいかんじの魔物であった。まあ、どう考えても『悪』側ですね、というかんじの見た目ではあるが。

「ねえリーザスさん。ところでこいつも何かの素材として売れたりするの?」

「うーん……肝を薬の材料にしなくもないが、特に何ということも無いように思う。俺がダンジョンに潜っていた頃は、ゴブリンは仕留めてもそのまま捨て置くものだったな」

「そっかー」

なんか勿体ない気もするが、しょうがないね。まあ、ゴブリンには安らかに眠ってもろて……。

そんなかんじでひたすら進んでいった。時々魔物が出てきてはリーザスさんに処理され、時々ミシシアセンサーに引っかかった魔物がいきなり狙撃されて死に……みたいなかんじだった。俺は何も働いていない。『これ何!?』『今の何!?』みたいなのをひたすらやってただけである。まあしょうがないね。

で、そんな調子だったんだけど……流石に、最奥ではそうもいかない訳だ。

「……ここが最奥だろうな」

緊張する俺達の視線の先には扉。そしてその扉の隙間から覗いてみると……『最後の部屋』と言わんばかりの豪華な部屋と、その部屋いっぱいに翼を広げたドラゴンが居る。

「よし。じゃあ例のポーション飲んだらガスマスク着用ね」

「分かった」

「分かった!」

……まあ、ドラゴンも流石に毒ガスしこたま吸ったら死ぬやろ。