軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

セリ11歳〜イボ取り〜

「まぁ、ダリア様、また、お若くなられたのではなくて?」

お母様が夜会に出ると、あっという間に奥様方に囲まれる。

私とお母様とセージさん合作による化粧品は、今や、社交界の話題を掻っ攫っていた。

元々美しかったお母様。

しかし、年齢肌には勝てず、徐々にシミやシワ、吹出物や小さなイボなんかに悩まされていた。

それが、各種薬草を合わせた化粧水によって、薄化粧にも耐えうる美肌を手に入れた。

美白とイボ取りには、ハトムギ。

シミの抑制に、ユキノシタ。

殺菌と保湿に、ドクダミ。

たっぷりの良質なヘチマ水に、カミツレ等香りの良いハーブも加えると、匂いも使用感も良い化粧水が出来た。

その上から、良質のオリーブオイルを少量伸ばして水分の蒸発を抑えれば、プルンプルンのお肌の出来上がり。

この化粧品は、まだ市販されていない。

だからこそ、手に入れたい奥様方は、お母様と仲良くする必要がある。

私は、盛り上がる奥様方の側で、気配を消して様子を窺っていた。

社交界は、情報の宝庫。

皆さんの次に欲しがる商品や、売れ筋傾向、改善点に使用感。

私は、メモを取りながら人の間を縫って歩いた。

すると、少し離れた場所で、数人の奥様方が、難しい顔で話しているのが目に付いた。

その方達は、皆、王太子妃候補に名前の上がる少女達のお母様。

私は、そーっと側に寄ると聞き耳を立てた。

「まぁ…そんな酷いことをオダマキ殿下が仰ったのですか?」

「えぇ。娘も、もう耐えられないと泣いてばかりで。夫も、王家に再三辞退を申し出てくれているんですけど、返事は駄目の一点張りで」

「我が家も同じですわ。最初は、優しそうに見えましたが、気に入らないことが起こると癇癪を起こされるようで」

「ディオン家のセリ様が王太子妃候補から降りられた時は、皆、喜んでいたのに」

皆さん、沈痛な面持ちですね。

前々からオダマキ殿下の護衛に対しての横柄な態度は噂になっていた。

でも、まさか、自分の娘が蔑ろにされるとは思いもよらなかったのね。

しかし、貴女達、甘い、甘いわ!完熟の桃より甘いわ!

私が前世で受けた仕打ちを語って聞かせてやりたい。

やらないけど。

でも、私が退いたことで、かわいい女の子達が酷い目に遭うのも心苦しい。

奥様方の口から、次々と現在のオダマキ殿下の傍若無人ぶりが披露されていく。

二人だけの懇親を兼ねたお茶会に、側近候補の阿呆達を連れて来たかと思うと、まるで女中扱いでお茶を淹れされられたり、お菓子を配膳させられたり。

また、別の子は、無理矢理馬に乗せられて落下しそうになったり。

またまた別の子は、頑張って刺繍したハンカチを下手くそと罵られながら目の前で破られたり。

おい、王家、何故こんなの王太子にした?

護衛の方々も、見てないで止めろよ。

まぁ、止めたら止めたで、お家断絶とかなりかねないから仕方ないわね。

あらかた話し尽くして気持ちが少し落ち着いたのか、

「あっ」

話に夢中になっていた奥様方も、その内容が王家の悪口になりかねないと気づいたようで、ハッと我に返り背後を見回した。

私は、一足先に物陰へと体を滑り込ませたお陰で見つからずに済んだけど、お酒入れたグラスをお盆に乗せて配膳していた給仕の男の人が物凄い眼光で睨まれていた。

可哀想に。

しかし、オダマキ殿下、あんな可愛い子にまでそんな態度なの?

私が地味顔だから気に入らなかったのかと思ってたけど、元々クズだったのね。

ごめんなさい、皆様。

必ずや、この恨み晴らしてみせますわ!