軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

74話 秘密会議

瑛士達と別れ、俺らは場所をホテルの部屋に移した。

「さて、始めようか。実際に見て何か気になった点はあるかな?」

「ずいぶんポイントに余裕あるんだなぁと言うことと、ダンジョンマスターはあの家に恨みがあったのかなぁって思ったくらいですかね」

「ふむ。ポイントに余裕、とは?」

「転移罠の使い方が雑。一階層から宝箱が設置されている。あとは、たぶんですけどスポナーを使ってないんですよね。モンスターの出現がまばら過ぎたので。最初のうちなんて人が来なかったからポイントがカツカツな筈なのに、無駄が多過ぎます。ダンジョンが探索者に解放される前から、人の侵入があったのでは無いでしょうか」

1階層に転移罠が2箇所。これだけで4万ポイントも使うんだよな。

最初に配られた10万ポイントで使う内容じゃ無い。

ポイントが貯まってからに設置したとしても、4万使うほどの価値があるとは思えない。

それに、途中から転移罠が増えたとしたら俺のダンジョンの最初の部屋が大きくなった時みたいに話題になると思うんだよな。それがなかったってことは、割と序盤から転移罠が設置されていたんだろう。

「なるほど。その予想は概ね当たっているかもしれんな。実はあのダンジョン、できてすぐ中学生3人が中に入って行方不明になったという噂があるのだよ。

確かポイントは人が入っていた時間で入手できるんだったな。噂が本当なら、中学生3人分の余裕はあるんじゃないだろうか」

「そんな噂が……花の件といい、なんだかこのダンジョン物騒過ぎません?なんでこんな注目されてなかったんでしょうか」

ダンジョンで中学生3人も行方不明になっていたら、流石にニュースになると思うけど……いや、あくまでも噂でしか無い内容をニュースには取り上げないか。

ネットでも見かけなかったということは、ここら辺の地域に住んでいる人にしか流れてなかった噂だったのだろうか。

「その花の件があるからだろう。依存性のある花がドロップするなんて、公になったら困るのは国だ。だからこそ情報操作でもしてあまり注目されないようにしていた。

調べたところ、中学生3人がダンジョンできてすぐに行方不明になっていたのは事実だが、元々素行の悪い3人ということで、家出として処理されていた」

「本当に家出だと思われていたか、本当はダンジョンに入ったとわかっていたのに家出だと処理されたのか。どっちだと思います?」

「後者だろうな。噂の発生源はおそらく消えた中学生が所属していた中学校だ。子供の冗談が広まったと考えられる。正確性の薄い噂だからこそ、ここの地域以外の人にはあまり知られていない」

「しかし、その噂は本当だった。近くに中学校はあるみたいだし、下校中の生徒が3人がダンジョンに入っていくのを見たとかでしょうか」

「あり得ない話ではない」

普通に3人は本当に家出で、ポイントに余裕があるのはダンジョンマスターに人類の協力者が居るから、という可能性もある。

というか……

「ダンジョンマスターも行方不明で、中学生3人も行方不明だなんて、行方不明者が多いダンジョンですね」

「ダンジョンに関係しているかはわからないが、今年の5月ごろに女子高校生も行方不明になっている。こっちは自殺と見られているが、遺書も遺体も見つかっていない」

「自殺とされてるのに遺書も遺体も見つかってないってどういう状況なんですか」

「橋の上で女子高校生の靴と鞄が見つかったのだよ。川の中からその子の物と思われるスマホもな。だから警察は身投げだと予想している。しかし両親が自殺する理由がないと断言していて、現在も一応調査中という状況だ」

「攫ってダンジョンに無理矢理連れ込んでるとかですかね?動画を見た感じ繰上ならやりかねないですし」

5月といえば繰上の動画が上がった頃だ。

誘拐してそれがバレるのが嫌で姿を消したとか……?

「あぁ。申し訳ない。伝え忘れていた。繰上はダンジョンマスターではない。これは断言できる」

「は?」

「先月、広島県と山口県の県境にある山奥で、身元不明の遺体が見つかった。繰上には補導歴があり、遺体の指紋と繰上の指紋が一致したそうだ。

ダンジョンマスターが死ぬとダンジョンは消滅するのだろう?だから繰上はダンジョンマスターじゃない」

いや、だったらもっと早く言えよ。

繰上がダンジョンマスターという前提でこっちは色々考えてたんだけど。

そもそも、その情報、公になって無いよな?なんで知ってるんだよ。警察からなんだろうけど、情報を与えている警察は奈那さんにこんなに教えてもいいのだろうか。処分とかされない?

「繰上がダンジョンマスターじゃないなら、本当のダンジョンマスターは案外ダンジョンの近くに住んでいるかも知れませんね」

「家がダンジョンで埋まっているのは、その家の者に恨みがあったから。だとしたら近所トラブルの可能性が高い、ということか」

「えぇ。ダンジョンの場所を決める時、普通なら自分家の近く、交通の便が良い駅の近く、人が集まりやすい観光名所の近くなどを選ぶかと思います。実際にそういうところが多い。

けど、府中ダンジョンは駅も対して近くないですし、観光名所も近くにはありません。だとしたら近くに家があるんじゃないでしょうか。それに、近所ならダンジョンが出現した時の様子も見れるでしょう?」

あんなピンポイントに民家の1階がダンジョンになっていたんだ。偶然の可能性は低い。

理由があってあの場所にしたと考えるべきだ。

「……まぁ、この場では予想することしかできません。ダンジョン内にダンジョンマスターが居て、そいつを奈那さんが見たら真実に近づけるかもしれませんが、無理な話でしょう。それより、俺が頼んでいた例の動画、どうなりました?」

「そうだな。明日ダンジョンマスターがダンジョン内に居ることを願っていよう。

キミから貰った動画についてだが、場所はイギリス。ダドリーという地域のダンジョン前で撮られた動画だった。

青髪の女性はダドリーダンジョンのみで活動しているわけではく、イギリスにあるダンジョン全域で探索者活動をしているようだ。本人はSNSなどをやっていないが、向こうの探索者の間ではその見た目から人気が高い。それこそ無断で写真や動画を撮る者が多いくらいにはな」

イギリスか。

海外のダンジョンにはあまり詳しくないが、確かイギリスは元々日本以上に銃規制が厳しく、その影響で探索者も厳しい試験と調査を突破した者のみ武器の所持とダンジョンへの探索が許可されていたはずだ。

その試験に通ったということは、やっぱり向こうの世界の人間ではないのだろうか。