軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

93話 魔法陣

向こうの料理が無いと進めない魔法陣を置いて困るのは探索者なので、俺は今作った29階層と28階層の場所だけ入れ替えてそのまま残すことにした。

修正が入るまではこのままにしておこう。

今日はもう帰ろうとしたんだけど……縦に2個並ぶ魔法陣を見て思った。

1階層に飛ばされる罠を仕掛けたんだから、ダンマス用の魔法陣要らなかったな。隠遁者スキル使えば誰にも見られないんだし。

残してても別に問題ないけどなんか気に食わないからダンマス用の方消すか。

その前に、じっくり魔法陣を観察してみる。

なんとなく、今までちゃんと見たことなかったなと思って。

魔法陣は丸と三角と四角で構成されており、文字が入っていないから今まであんまり意識してなかったけど、よくみると模様が違うんだな。

魔法陣が描かれてる素材なんだろう。光の粒が集まっている感じだ。触っても特に指につくことはなく、少しも消せそうにもない。

「魔法陣って設置した後から模様を変更できる?」

『回答。できません』

「設置する時に好きな模様にできたりは?」

『回答。できません』

なるほど。

好きな模様にもできないってことは、模様はランダム生成されているのではなく、ちゃんと意味がある模様になってるのかな。

「魔法陣の模様はどうやって決まるの?」

『回答。お答えできません』

向こうの文字関係してないし、もしかしたらって思ってたけどダメか。

魔法陣の模様をたくさん集めれば法則性わかるかな。奈那さん……に相談するまでもなくあの人なら模様が違うことくらい気づいてそうだな。

何も言ってこないってことは一切進んでいないか、なんとなくは法則性を掴んでいるか。

最近気になったことは全部奈那さんに任せすぎな気がしてたから、魔法陣のことは別に言わなくていいや。

でもその際だから気になったことは全部AIに聞いておこう。

「魔法陣を踏まない、以外に魔法陣を回避する方法ある?」

『回答。あります』

あるんだ。

……なんだろう。

「魔法陣の上にカーペットを置き、その上に乗ったら魔法陣は発動する?」

『回答。発動いたしません』

発動しない方法を早速見つけたけど、これは魔法陣を踏んでない判定だよな。

「なら、魔法陣の半分が隠れるようにカーペットを置き、片足は魔法陣、もう片方はカーペットに乗った状態なら発動する?」

『回答。発動いたします』

「魔法陣の半分が隠れるようにカーペットを置いて、両足ともカーペットの上だったら?」

『回答。発動いたしません』

少しでも魔法陣に触れてなきゃくちゃいけないのだろうか。

でも靴を履いている時点でそもそも触れてはいないんだよな。

「魔法陣が砂で覆われていたら?」

『回答。発動いたします』

「完全に覆われている状態でも?」

『回答。発動いたします』

するんだ。

カーペットと砂の違いはなんだろうか。

「魔法陣を覆っていたのが土だったら?」

『回答。発動いたしません』

これはしないのかよ。砂と土って大して変わらないだろ。

他にも色々質問をしまくってみたが、回避できるスキルがいくつかあることくらいしか、わかることはなかった。

とりあえず暇な日にダンジョンで使えるカメラを持ち込んで、いろんな魔法陣の記録を撮ってみようと思う。データはあればあるほどいいしな。

ということで、一通り質問し終えた俺はダンマス用の魔法陣を消して、隠遁者スキルを使い、1階層に人がいないのを確認した上でもう一つの魔法陣を踏んだ。

すぐに視界が切り替わる。

1階層に来れたな、と思ってたら階段の方から声が聞こえてきた。

上から男性探索者4人組が降りてきたみたいだ。

彼らは環境変化がないノーマルな練習場に入っていった。

ダンジョンに来るにはだいぶ遅い時間だと思うが、この時間の方が人少ないし練習場目当てならちょうど良いんだろうな。

暇だし動画のネタになるかもしれないから、このままスキルで姿を隠したまま様子を伺ってみよう。

練習場を作ってからもうだいぶ経つし、目新しいものはないんだけどね。最初と変わったことと言えば、有志によって、入り口付近にバインダーとボールペンが置かれたくらいだろうか。

練習場が人でいっぱいだった時に、ファミレスみたいに名前を書いて予約しておく用だ。誰かが置いた。探索者的にあった方が便利そうなので自治厨扱いにはせずに、そのまま放置してる。

ただ、お正月とだけあって、昼夜関係なくダンジョンに人が少ない。バインダーをチラッと覗いたけど全然名前が書かれていなかった。

ノーマル練習場の方にはさっき入っていった4人組含めて10人しかいない。

「正月にもダンジョンかよ」

「お前らだって俺らと大して変わんないだろ」

「そりゃあな。今日は探索もしたのか?」

「11階層を軽くな」

「今日くらいは水に濡れたくなくてさ。チュートリアル層スキップできたら良いんだけどなぁ」

「あー、わかる」

「俺らも正月だから今日は練習場だけ」

今入っていった4人が他の人たちと仲良さそうに話している。全員顔見知りみたいだ。町田ダンジョンの常連なんだろうか。

「いくら投げたらスキップ機能つけてくれると思う?正直100までならだせる」

クリアできたらもうスキップできるし、100って……100万か?そんな貰えないわ。

「……ガチか?」

「当たり前だろ。21階層の攻略をさっさと進めたいのに、チュートリアル階層のせいで攻略時間が短くなってる。今はまだいいが、これから先に進むにつれ泊まりも必要になってくるだろ?いずれ限界が来る。だったら金を出してでも時間短縮したい。時は金なりってな」

「なるほどな。じゃあ俺も出すわ。100は流石に無理だから……マックスで50くらいか?ただ、まっちーが金に靡くとは思えないんだよなぁ……」

「たしかに」

「いっぱい投げてもしつこいってキレられそう」

「わかる」

流石に課金してる人にキレないって。よっぽどのことじゃない限りは。

「けど、流石に合計150万は無視はできないんじゃないか?」

「わからんぞ。今までだってそういう投げ銭全部無視されてたからな」

いや、150万は無視できない。

金に靡くどうこうじゃなくて、シンプルにそんなに投げられてるのに無視するんだってマイナスイメージがつくからだ。

「投げ銭で要求聞いてくれる時もあれば、反対の事し出す時もあるから難しいわ」

「ほんと、あの人の基準がわかんない」

「要求聞いてくれなったら大金が無駄になるのがな……」

「もっと作戦を立ててから計画的に投げるか」

「やっぱり使うなら一気だよな?」

「そりゃあな」

この人達が配信に多額の投げ銭をする前にせめてスキップする手段は存在していることくらいは言った方がいいかもしれない。

スキップ方法は一度バレたら終わりの部類だけど、チュートリアルで時間稼ぎしなくても良い程度にはポイントが稼げるようになってるからな。

それに、投げられてからスキップ方法に気づかれたら、金に靡いたと思われかねない。それは嫌すぎる。

まだモンスターが街中で出せないようになったことは言ってないから、それを伝える時についでに言おう。