軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

56:マジでダメトリオ?

部屋に来られたデメトリオさんに何か飲みますかと伺うと、ふるふると顔を横に振られました。

「カサンドラ」

「……かしこまりました」

一体なにがどうかしこまったのか分からないけれど、カサンドラさんが部屋から出て行ってしまった。しかも、本日はこれで失礼しますという言葉とともに。

「八百屋の店主が言っていたことが、ずっと気になっているんだが……」

「おじさん?」

豪快な笑い声とぽよんとしたお腹のおじさんを思い出していると、デメトリオさんが真剣な瞳でじっとこちらを見つめてきた。

「彼の息子と恋仲だったのか?」

「はい? ケネスくん?」

「ん」

ひまわりのような瞳がふるふると揺れていて、物凄く不安そうな表情だった。

まさかデメトリオさんがこんな風に嫉妬してくれるなんて思ってもみなくて、心臓がギュムムムムムと締め付けられて、感情の整理が大変だった。

「リオ」

「っ、久しぶりにそう呼んでくれたな」

あれ? そうだっけ? と考えたけど、思い出せなかったので愛称問題は横に置きたい。ただ、こんなに嬉しそうに微笑むんなら、もうちょっと意識して呼びたいなとは思った。

「ケネスくんは十歳です」

「じゅ、十歳か!」

明らかにホッとしたデメトリオさんが愛おしすぎて、頬が緩んでしまう。

「あとは俺の高圧的問題か……」

「あっ、ごめんなさい!」

あのとき、ああは言ったものの、デメトリオさんの対応はそこまで間違っていないと思う。確かに高圧的だったけどピッタルーガさんには覿面だったし。

国王陛下やおじいちゃんがああいう態度だったら、ギャップというか裏の顔を見てしまったようで引くけど。デメトリオさんはそもそもそんな感じの人だし。

フォローというわけではないけど、思っていたことを伝えた。いい意味としてだったんだけど、伝え方が悪かったのか、デメトリオさんが地面に埋まりそうなほどに凹んでしまった。

そういえば、図書館でも高圧的な対応だったことを恥ずかしがっていたっけ。

「あの、出会ったときからわりと高圧的というか、無愛想でしたよ?」

「ぬ、ぐっ……」

「別にそういう人が好きというわけではないんですが、デメトリオさんは気にならなかったので……あれ? 何が言いたいのか分からなくなりました」

「えぇ?」

デメトリオさんから、薄らっと持ち上げようとしたのになんでだ!という抗議があったけど、いや本当になんでなんだろう?

「んーまぁ、とにかく、好きですよ」

結構雑にまとめてしまったけど、デメトリオさんの萎みかけたメンタルはちょっと復活したらしい。

「こいつ、マジでダメトリオだわ。とか思ってないのか?」

「あはははは! 思いませんって!」

デメトリオさん、実は『ダメトリオ』気に入ってるんじゃ!?