軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第3話 田中、餌付けする

ペットのショゴス、リリの配信は大盛況で、夕方には視聴者数が二億人を超えていた。

まさかダンジョンに行かなくてもこんなに人が集まるなんて、驚きだ。

リリパワー、恐るべし。

"リリたんかわいいよはあはあ"

"リリちゃんに食べられたい"

"お手々ちっちゃくてかわいいね……"

"[\220000]今月の給料全部です。リリ様にお役立て下さい"

"[\50000]もっと貢ぎたいですが、今日はこれくらいで……クソ! 稼げない自分が憎い!"

既にリリには根強い信者ができていた。

ペット動画で伸びてる人もいるけど、そういう層も取り込めたということだろうか。

まあリリは普通のペットじゃないんだけど……。

「てけ……」

「どうした? 腹でも減ったか?」

「りり!」

リリは俺の問いに元気よく返事する。

もう夕方だし、腹も減るか。ご飯の準備をしなくちゃな。

"リリちゃんお腹ぺこぺこなっちゃったか"

"まあ自分の体千切ってたし、エネルギー足りなくなるよね"

"ていうかしょごたんはなに食べるの?"

"なんでも食べれそう"

"わいを食べてもいいんやで"

"リリちゃん強火ファンももういるのか(呆れ)"

"配信中にファンクラブ五つできてたぞ"

"オタクの行動力、ヤバすぎる"

ご飯にするなら配信を切ろうと思っていたけど、視聴者たちはリリがなにを食べるかに興味を持っているみたいだ。食べるシーンも配信したほうが喜んでくれそうだな。

リリも配信をストレスに感じてないみたいだし、もう少し続けてもいいか。

「リリは基本的になんでも食べます。野菜も魚も金属もなんでも食べますが、やはりお肉が一番好きみたいです」

俺は冷蔵庫から薄切りの豚肉を出して持ってくる。

「色々試しましたが、特に生肉が好きみたいですね」

「りっ! りっ!」

リリは肉を見つけると物欲しそうにぴょんぴょん跳ねる。まるで犬みたいだな。

「お座りだ。待て」

そう言うとリリは物欲しそうな目を向けながらも言うことを聞いてペタリと座る。

俺はしばらく待てをした後、「よし」と許可を出す。

「りりっ!」

リリは肉に飛びつくと、お腹の部分を口のようにぱかりと開いて、肉をむしゃむしゃと捕食する。口には凶暴そうな牙がずらりと生え揃っている。

その見た目は正直少しグロい。あれだ、前にテレビで見たクリオネの捕食シーンみたいだ。

"言うこと聞けて偉いねえ"

"お肉むしゃむしゃで草"

"うちの犬より賢いやん!"

"主従関係完全に構築できてて草"

"ほら、モンスターだから強い相手には従うようできてるんだよ"

"ああ、なるほど……"

"リリたんグロかわいいね、はあはあ"

"いあ! イア!(名状しがたき言語配列)"

"アメリカ軍はこんなかわいい生き物に敗北したのかい? 冗談だろ?(英語)"

"まあ強いのは日本じゃなくてシャチケンだから……"

「あ、後はこれも好きですね。こっちもあげてみましょうか」

そう言って俺はプラスチックに入った液体状の食べ物……『ちゅーる』を取り出す。

猫や犬のおやつとして有名なこの食べ物だけど、試しにあげてみたら凄い食いつきがよかった。

「りり! りり!」

ちゅーるをリリの前に出してみると一瞬にして食いついてペロペロと舐め始める。やっぱり食いつきがいい。俺も食べてみたくなってしまうほど美味しそうに食べるな。

"ちゅーるはショゴスも夢中になるのか……すごいな"

"ウチの猫と同じテンションで食べてて草"

"ちゅーるの美味さは万国共通なんやね"

"ほしい物リスト公開してください! 1000個送ります!"

"[\10000]ちゅーる代です。ご査収ください"

"美味しそうに見えてきた……俺も買おうかな……?"

一瞬にしてちゅーるを食べ尽くしてしまったリリは「けぷ」と満足そうに息を吐く。

一気に食べたせいか体全体がぷっくり膨らんでしまっている。

「美味しかったか?」

「りり、まんぞく」

「はは、そりゃよかった……ん?」

俺は耳を疑う。

今、言葉を喋らなかったか?

「リリ、ちょっと喋ってみてくれ」

「たなか、すきー」

「あ、そりゃどうも……って、やっぱり喋ってる!?」

"シャベッタアアアアアアアア!?"

"んぎゃわいいいいいいいいい!!"

"ええええええっ!?!??"

"マジ!?"

"頭良すぎるだろ!"

"成長著しいな"

"ていうかなにか喋ってで『田中、好き』っていうの尊すぎる……画面の前で今拝んでる"

"わいも田中に好きって言われたい"

"最後までブレないな……"