軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第11話 ダゴ助、潜る

――――時は少しさかのぼり。

三上に下層へ先に行かれたダゴ助は、同様に下層に行き、深層へ至る道を進んで……はいなかった。

「うおおお! ここはどこだ!?!?!?」

ダゴ助は完全に迷子になり、ダンジョンの中を 彷徨(さまよ) っていた。

このダンジョンは砂浜や海、湖などの場所が多い。ゆえに開けており迷う可能性は普通のダンジョンよりは低いと言える。

しかしそれでも下に向かう道は岩陰などに隠されていることが多く、探索経験の少ないダゴ助では下に続く道を中々発見できないでいた。

「どこだ! ここか!?」

"だから違うって!"

"さっきもここ来たやろw"

"草"

"探索者向いてないなあ"

"あー! だからそこは戻る道だって!"

"そっちじゃない! 逆!"

"また同じ罠かかってるw"

"落とし穴にこんなに引っかかる配信初めて見たw"

"だからそっちじゃないんだって!!!!!"

"指示厨大発狂配信"

「ぜえ、ぜえ……疲れた……」

モンスターというモンスターに襲われ、罠という罠に全部かかったダゴ助は息も絶え絶えの状態で歩く。

この調子で進んでいたら、いずれ体力が尽きてしまう。そうなれば大物と出会っても討伐できるか分からない。

「このままじゃ駄目だ……なにかしねえと」

意地でも負けたくないダゴ助は周りを見ながら必死に考える。

しばらくそうしていた彼は、なにかを思いつき手をポンと叩く。

「そうだ、そうすりゃいいんだ。俺はやっぱ天才だな!」

ダゴ助はそう言うと近くの海に向かって走り出す。

"なんだ?"

"どうせロクな案じゃねえぞw"

"ダゴ助頑張れ! データくんに負けるな!"

"データくんww 悪口の火力が高いw"

"データくんの配信も見てるけど、あっちは深層着いてるぞ。急げ!"

"まあ二人ともコメント見れてないから応援しても届かないけどねw"

"田中ァもまだ気づいてないの?"

"あっちのコメント欄でまだバラされてないからな"

"ここの視聴者統率取れすぎてて怖い"

ダゴ助は海にやって来ると、ボシャン! と勢いよく飛び込む。

そして器用に水をかくと、そのまま海底めがけて泳ぎ出す。

"お、潜った"

"なにする気?"

"泳ぐのはやっっ"

"一応魚人だからな"

"シーサーペントより、ずっと速い!"

"おいやめろ"

ダゴ助はどんどん深く潜っていく。

いくら覚醒者だったとしても、ここまで深く潜ることはできない。しかしダゴ助の体は海の中に適応している、むしろ地上よりも深海の方が機敏に動くことができる。

(ダンジョンは深ければ深いほど強えモンスターが出んだろ? だったら水の底でも変わんねえ! ここならあのメガネも来れねえし、俺の独壇場よ!)

ダゴ助は心の中でほくそ笑む。

彼の考えはあながち間違っておらず、深くに潜れば潜るほど魔素濃度は上がり、モンスターも強力なものが出現するようになる。

更にダゴ助が潜っている場所は深層に繋がっており、図らずも彼は深層へと到達してしまっていた。

「 がば(さあ) 、 べべびばばべ(出て来やがれ) ぶべえぼんぶばーばび(強えモンスターたち) !」

"なんて?w"

"がぼがぼ言われても分からんぞ"

"悪い。ガボガボ語はさっぱりなんだ"

"日本語でおk"

"「出て来やがれ強えモンスターたち」って言ってるよ"

"えっ"

"分かるの!?"

"キッショ、なんで分かるんだよ"

"唇の動きで分からない?"

"分かるかww"

"読唇術自信ニキすご"

ダゴ助は威勢よくがぼがぼ言いながら潜る。

すると海の底から大きな影が近づいてくる。

「……ん?」

その大きな影は物凄い勢いで接近してくると、牙を剥いてダゴ助に襲いかかってくる。

ダゴ助は急いで臨戦態勢を取ろうとするが、それより早くその影は噛みついてくる。

「ぶばあ!?」

ダゴ助は身をよじってその攻撃をなんとかかわす。

しかしその襲撃者は今度はその長い尻尾を振り回し、ダゴ助を攻撃する。

「ぶぼっ!!」

避けきれずその攻撃を食らうダゴ助。

しばらく吹き飛んだダゴ助は水中で何回も回転したせいで、目を回しふらふらする。

"なんだこいつ"

"こいつシーサーペントじゃん!"

"Sランクモンスターじゃん。いつのまに深層に来たんだ"

"いやでもダゴ助の方がランクは上だろ? 勝てるよな?"

"最近運動してないし、体力も結構使ってるからどうだろうな……"

"#ダゴ助働け"

ダゴ助はなんとか水中で体勢を立て直す。

すると再びシーサーペントが牙を剥き襲いかかって来る。

「 ごばぼぶ(んなろう) ……!」

ダゴ助は拳を構え、それを迎え撃つ。

シーサーペントの噛みつきをギリギリまで引き付け、回避する。ダゴ助の手足の指には水かきがあり、人間よりも水中で自由に活動できる。

それを使い上手く回避したダゴ助は、隙だらけとなったシーサーペントの頬を思い切り殴りつける。

「 ぼばあ(おらあ) !」

『ギィ!?』

頭部に物凄い衝撃を受け、苦しそうな声を出すシーサーペント。

ダゴ助はもう一発食らわせようと再び拳を構えるが、シーサーペントは尾びれを返して海の底に逃げようとする。

(こいつ……! 逃してたまっかよ!)

せっかく見つけた大物を逃すわけにはいかない。

ダゴ助はなんとか逃げるシーサーペントに追いつくと、尻尾にしがみつく。

「 ごばばべば(捕まえた) ! ばばばばいべ(離さないぜ) !」

"おいおい大丈夫か!?"

"引っ付いて草"

"どうなるんだこれ"

"ドローンくん頑張って追ってくれ"

"どこまで逃げるんだw"

尻尾にダゴ助を引っ付けたまま、深海へ逃げるシーサーペント。

こうしてダゴ助はシーサーペントと共に深層の奥に迷い込んだのだった。