軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第8話 田中、皇帝イカを食す

「そろそろ頃合いだな」

イカの表面が焦げ、身がぷっくりと膨らんでくる。

それを確認した俺は、懐から黒い液体を取り出す。

「先生、それはなんですか?」

「これは 醤油(・・) だ。もっとも市販のじゃなくて、ダンジョン産の素材で作った特別な醤油だけどな」

昔からダンジョンの物を食うことはよくあったが、焼いたり煮たりなどシンプルなものが多かった。

だけど最近は生活に余裕ができたこともあって、凝ったものを作ることも多くなった。

調味料も作るようになり、醤油も最近いい物が作れるようになった。含まれる魔素がいいアクセントになって食が進む。特に刺身に使うとかなり美味しいと俺の中で評判だ。

"そんなもんまで作ってるのかww"

"田中醤油発売しよう"

"田中醤油って実際にありそうな名前だなw"

"早く商標取らんとパクられるぞ"

"田中のパチモングッズ作る奴マジで許せんわ"

"パチモン駆逐するためにもたくさんグッズ出してくれ"

じゅうじゅうと焼ける皇帝イカ。

俺はその身に特製醤油を垂らす。イカの身に落ちた醤油はその身に染み込み、「じゅう」と火で炙られて香ばしい匂いを辺りに散らす。

「これで完成だ。さ、食べてくれ」

俺はイカ焼きを串で刺し、星乃と凛、そしてダゴ助に渡す。

今回は魔素抜き処理はしてないが、三人なら大丈夫だろう。コラボカフェではちゃんと魔素を抜く処理をした物を出す予定だ。

「それじゃあいただきます……あむっ」

まずは星乃がそれに勢いよくかじりつく。

皇帝イカの身は弾力があるようで「ぶちっ」といい音をして噛み切れる。

星乃はそれをもぐもぐと咀嚼すると目を輝かせて「おいしい!」と言う。

「田中さん、これすっごく美味しいですよ! イカの旨みと醤油の香ばしさが合わさって、いくらでも食べれるって感じです! もぐもぐもぐもぐ」

「ほんとだ、美味しい……! イカも美味しいですが、先生の醤油も凄い美味しいですね。市販の物よりずっと深みがあります」

星乃だけじゃなく凛もイカ焼きを絶賛する。良かった、どうやら上手くいったみたいだ。

ダゴ助も気に入ったのかバクバク食べている。

「うめー! こりゃいくらでも食えますよ兄貴! おかわりしてもいいですか!?」

「食い過ぎんなよ。焼いてない分は冷凍してコラボカフェで出そうと思ってるからな」

言いながら俺も皇帝イカ焼きを食べる。

うん、うまい! シンプルな味付けだけど、それが素材の良さを際立たせている。

ぷりっとした弾力が楽しくていくらでも食べれるって感じだ。醤油も味が濃いながらもくどくなく、飽きが来ない。これはコラボカフェでも人気が出そうだ。

"いいなあ"

"美味そうすぎる"

"よだれ出てきたw"

"早く開店してくれ!"

"てか俺たちも食って大丈夫なの?"

"まあそれはなにか考えてるでしょw"

"腹減りすぎた"

"マジで早くやらんと暴動起きるぞw"

"日本だけずるいよこれは(英語)"

"絶対日本行く!!(英語)"

"田中が日本だけにいるのはフェアじゃない!!!!"

"海外ニキも興奮しとる"

視聴者からの反応も上々だ。みんな食べたいと言っている。

イカ焼きはコラボカフェでも人気メニューになりそうだな。皇帝イカの出現というアクシデントには驚いたが、いい方向に転がってくれた。

ダンジョンの食材には魔素が含まれているので普通の人は食べることができないが……それに関しても対策は考えている。

魔素を完全に抜くと味は少し変わってしまうだろうが、そこは調味料とかでカバーできる。満足できるものは作れるはずだ。

「皇帝イカはしっかり冷凍保存し、コラボカフェで提供しますので期待してお待ちください。日程やメニューは固まり次第告知します。なにかメニューの案ややってほしいことがありましたらぜひコメントやメールで教えてください。参考にさせていただきます」

"楽しみすぎる"

"明日やれ"

"シャチケングッズもっと出せ!"

"リリたそとダゴ助のソフビも頼む"

"お、マジで食えるんかw"

"前食べてたダンジョンの猪とか食べたい!"

"ゆいちゃんの手料理は?"

"社畜専用エナジードリンクとかどう?"

"いいね"

"それだ!"

"やばい成分入ってそう"

"三日間眠気感じなくなりそう"

"いいから早くリリたその握手券を発売するんだッ!!!!!"

"それはマジ"

"いあいあ"

"邪神様も見とる"

" 白狼(ホワイトウルフ) ギルド全員分のアクスタくれ!"

凄い勢いでみんなの要望が流れてくる。

はあ……みんなそういうのが欲しいのか。いわゆる推し活とやらを俺はやったことがないのでこういった意見は助かる。

俺みたいなのを応援してくれる視聴者たちに恩返しするためにも、なるべく期待には応えたい。

「田中さん。頑張りましょうね」

「私たちもサポートいたします」

俺を挟むように立っている星乃と凛が、そう励ましてくれる。頼もしい限りだ。

足立も全面的にサポートしてくれるし、手伝いに来てくれる人がいるとも言っていた。

バイトもしたことがない俺がどこまで役に立てるかは分からないが、みんなの力を借りればきっと上手くいくだろう。