軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

2.ハンター講習③

ちょっとー、やばい量の魔石がたまってるんですけどー。どうにかしてよー。

「原則、ダンジョンから出た際に所持する魔石は全てギルドに売ることが義務? え、お持ち帰りはダメなの? 収納して持っちゃってる俺って」

おっと、これはちょっとイリーガルな香りがするぞ。主に俺だけど。

現在収納してる魔石は、ゴブリン骨219個、ホブゴブリン骨244個、熊骨201個、狼骨35個だ。

魔石の買取価格は一番弱いとされるゴブリン、スライムクラスで1個500円らしい。ホブはそれよりは強いだろうけど、まぁ同じと考えてればいいか。

この2種類だけでも450個超えてるんですけど?

金にすると20万円を超えるんですけど?

「ぼろもうけやんけ!」

売れればだけど。

熊はそれ以上だろうし、狼はどうだろう。

「もしかして、ハンターっておいしい仕事?」

そんな甘い考えが頭をよぎった。美味しい仕事なんてこの世にはないんだけどね。

でも、稼げるなら家計の足しになるじゃん?

俺って今は学生だし。

どのみちあのダンジョンがある限り、俺が掃除をしなくちゃいけないんだし。

「ハンターになるしかねぇ」

坊さんにもなるけどな!

そんなこんなで数日たった。

父さんに相談した結果、俺はハンター講習を受けることになった。魔石を売るためである。せめてダンジョンの階段を隠したいが獄楽寺に金はない。稼がないとないのだよ。

「変わったのは、俺が大学を辞めたことくらいか」

毎日の掃除と万が一の時のための待機。俺がいないときに魔物があふれたらどうしようもない。父さんの【速読】スキルは戦闘に向かないものだし。

父さんは寂しそうな顔をしたけど俺はこの寺を継ぐ予定だったし、大学なんて肩書でしかないからさして気にしてない。

大学を辞めた俺は無職だ。自宅警備員ならぬダンジョン警備員だが、ダンジョンからは売り上げがない。レベルは上がるが実質ただ働きである。

ハンターになればこれも解決する。命がけではあるが。

「確かに、やる気の維持は大切ではあるがなぁ。守が心配だ」

「心配かけてごめんだけど、いつまでもダンジョンを隠せるとは思えないんだ」

父さんは不服のようだけど隠し事ってのは大抵破綻するんだ。モチベだけが目的じゃないさ。

「ご近所さんが犠牲になる前に、俺がハンターになって勉強してきちんと管理できる体制に持って行った方が良いと思うんだ。近所には園児の家族がいる。卒園生の家族だっているんだよ?」

「管理できる体制か。具体的には考えはあるのか?」

「魔石がどれくらい金になるのかわからないけど、その売り上げでハンターでも雇えればなって」

「なるほどなぁ」

ハンターになるのはダンジョンに入ってスキルをゲットしちゃえばなれるんだけど。ただハンターってのは危険人物でもあってさ。厳格に管理されてる。

俺みたいに100メートルを6秒で走れるような人外を放置はやばいからね。戦闘向けスキルを持つ奴なんて大量殺人も可能なわけだし。

そんなこんなでハンターになるなら講習を受けてハンター証を携帯する義務がある。これを破ると裁判なし一発で無期懲役。二度と娑婆には出られない。それくらい厳しく管理されてる。暴力は管理しないと罪なき人に被害が及ぶからね。それは理解してる。

「ハンター講習は週一でやってるらしいぞ。ここから一番近いのは船橋駅前だな」

父さんがPCで調べてくれた。講習は毎週水曜日らしい。そして今日は木曜日。ガッデム。来週まではお掃除だ。

「船橋かぁ……」

母さんが行方知れずになった場所だ。正直足が重い。

「ちょっと遠いが、北浦ダンジョンでも講習はやってるみたいだぞ」

「いや、船橋に行くよ」

「そうか」

父さんはそれ以上何も言わなかった。

そして迎えた水曜日の早朝。日の出前から俺はダンジョンに入っている。日中いないから普段よりも多めに間引くためだ。

そのせいもあって、今日だけでホブゴブ骨12、ゴブリン骨40体、熊骨5体、狼骨15体を間引いた。今日の分を合わせてレベルは9になっていた。一人前であるレベル10まであと一息である。

無許可ハンターがレベル9ってのは結構ダメな気がする。

魔石はゴブリン骨が519個、ホブゴブリン骨が294個、熊骨が221個、狼骨が80個。こうしてみるとかなりの数を間引いてる。いや多すぎでしょ。

休みなしで間引き続けるのは大変だ。やっぱりハンターを雇いたい。ぜひとも。

所持品は身分証と講習とハンター証発行の手数料で5万円。お高いな。

「行ってくる」

「気をつけてな」

寺を出て自転車で最寄り駅に向かった。家には軽トラがあるけど父さん用に残さないとだ。

船橋までは大網駅で乗り換えればあとは直通だ。電車に揺られること50分で船橋に着いた。

千葉県にはふたつダンジョンがある。船橋駅前ダンジョンと勝浦海底ダンジョンだ。講習はどちらでも開かれる。

ちなみに講習の予約はいらない。いつでもウェルカムなのだ。

「うーん、船橋は都会だなー」

ビルがにょきにょき生えてるもんな。九十九里は平原と海がウリです。おいでませ九十九里。

人ごみに巻き込まれつつ、船橋駅ダンジョンの入り口まで来た。ダンジョンの入り口の上に建物を作った。地上5階建ての立派なビルヂングだ。

通称、船橋ギルド。正式名称は『地下迷宮管理事務所船橋駅支部』なんだけど、そんな名はだれも使わない。ハンターを管理する組織から、ゲームとかからもじってギルドって呼ばれてる。

「さて、覚悟を決めていきましょうかね」

入口の自動ドアをくぐったらば立派な受付があり、受付嬢がふたり座っている。セミロングのふんわり巨乳お姉さんとショートカットのすっきりスレンダーお姉さんという印象だ。

受付嬢というのはやはり容姿が優れているのが最低条件なのか、美人さんだ。そして男はいない。イケメンとかイケオジがいてもいいとは思うけど、世のハンターは美人さんを求めているらしい。もろ手を挙げて賛成だ。

「えっと、ハンター講習を受けに来たんですけど」

「ハンター講習ですねー。予約はされておりますかー?」

「すみません、予約はしてなくってですね」

あれ、予約っていらないんじゃ?

「本日ですとー、10時、15時になっております。どちらも空きがありますよー」

ふんわり巨乳お姉さんに鈴の鳴るような声で説明をもらった。できればさっさと済ませたいので10時の講習を受けることにする。ダンジョンが心配なのもある。

「講習会場は2階の214室となっておりまーす。テキストなどは会場にございまーす。飲み物はオッケーですが食べ物はNGとなっておりまーす」

「あ、はい。ありがとうございます」

受付嬢にお礼を言って離れた。ふたりいるのに片方しか口をきいてくれなかったし、黙ってる方にはずっと見られてたし。こいつはどうなのかって品定めぽかったな。ギルドってコワイ。

階段を上がって2階へ。エレベーターもあるけど若者は歩くのだ。ハンターになってから身体が軽いものあるけどね。

2階は、いうなれば大学めいた作りになっていた。講習用の小部屋がたくさんあって、どこへ行けばよいのやら。

「214はどこだ」

階段脇にあるフロアマップで部屋を探せば、なんと目の前だった。中を覗いてみれば、先客が3人いた。どこからどう見てもブレザー服のJKが3人だ。栗色ロング、茶混じりセミロング、金髪ショート。授業はどうした。