軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

17.5階へ②

5分ほどすると、泣きじゃくっていた智が「ほぇ?」と顔を上げた。

「あれ? 守はなんであたしを抱きしめてるの?」

「レイスの魔法にかかっちゃってた」

「え、まじ? あ、何か涙が出てるし」

「覚えてないのか……」

【フィアー】にかかってる時の記憶はないのか。マジで質悪すぎませんか?

「戻ったか。まだ5階でこれだと、このダンジョンの難易度的には6だなここは」

「零士さん、普通は、レイスってどれくらいの階で出るもんなんです?」

「レイスはランク12の魔物で、数種類の魔法を使ってくる。ランクの割に凶悪な魔物で、俺が知っているダンジョンでは10階あたりで見かけた。ランク3のダンジョンだったから難易度30だな」

「難易度30……」

何それ、美味しいの?

「自分のレベル×熟練度と比較して、それよりも大きければまぁ妥当って判断するのよ」

「あ、そうなんだ。そーゆーの全然知らないから、智がいると助かるよ」

「ふふん、もっと頼っていいのよ?」

智が嬉しそうなのでヨシなのだ。

「おっと、来たぞ。マミーだ」

零士さんが大蛇丸を構えた。横道にある穴から包帯でぐるぐるの人型のナニカがわさわさ出てきた。ざっくり30体くらい。動きは緩慢だ。

よく見ると包帯がズレてるヤツもいて、ミイラみたいにカッサカサの皮膚がコンニチハしてる。

「うわっ、ミイラじゃん!」

「こいつらは毒がある噛みつきと爪が主な武器でタフさが売りだ。まずは嬢ちゃんのスキルが効くか試そう」

「よし、やるぞ! 【大いなる祈り】」

智が合掌してスキルを使う。強いやつで容赦なしだ。

マミーの身体がまばゆく光って、そして包帯もろともボロボロ崩れていく。やっぱり魂みたいな白い煙が上がって天井に消えていく。

思わず合掌した。よき未来でありますように。

「マミー30体くらいが一発か。相変わらずえげつねー威力だな」

大蛇丸を肩に担いだ零士さんが呆れ顔だ。

「あたしにはこれしかないんで!」

「これに魔法も使えて幸運バフもちだろ? 引く手あまただぞ?」

「ふふーん、レベル15で【戦歌】を覚えてバフが増えました! 味方全員のくじけぬ精神を呼び起こして力が3割増しになるんだって!」

「それもぶっ壊れだな。守、ちゃんとガードしてやらんと本当にヤバいぞ、嬢ちゃんのスキルは」

「ガンバリマッス」

智がどんどん強くなってる件。俺も頑張って置き去りにされないようにしないと。

「おっとマミーの追加だ」

「じゃあ俺が行きます」

いつの間にかマミーが15体ほど湧いてた。投げ網でさくっと収納。

【収納:マミー×16】

【収納:綺麗な包帯×16】

綺麗な包帯? なにそれ。マミーが付けてた包帯なんて恐ろしくて使えないんですけど。あとで京香さんに見てもらおう。

「また来たな。通路全部にマミーがいて、集まってるんじゃねえか?」

通路の奥からマミーがぞろぞろ歩いてくる。朝の混んでる駅のホームみたいだ。

「この際だ、色々試すぞ」

「智、【ファイヤーボール】を撃ってみて」

「おっけー! 【ファイヤーボール】!」

なぜが指鉄砲の構えからバキューンと撃った【ファイヤーボール】はマミーの群衆の真ん中あたりで爆発し、周囲のマミーをなぎ倒した。が魔石になっていない。周囲のマミーに踏みつぶされてようやく魔石に変わった。

「1発じゃ無理みたいー」

「マミーはタフさが厄介なところだ」

零士さんが闘刃を飛ばして数体を斬り飛ばしたけど、まだ動いてる。こらキツイな。近づいてきたやつは投げ網で収納する。

「こんな時にレイスとか来たら手が回らなくなりそう。智のスキルは必須だね」

「おっと、ワイトも来たぞ」

包帯軍団の向こうにデカい骸骨が見えた。しかも3体も。すかさず傘を広げると、ファイヤボールが3発飛んでくる。智の前に立つ。

「智、スキル」

「りょ。【大いなる祈り】」

智のスキルで見える範囲の魔物が消えた。ワイトもろともだ。

「マミーのタフさを考えると、ほんとえげつない威力だね」

「守の収納スキルの方がえげつないでしょうよ!」

「お前らふたりともえげつねーんだぞ? っとまた来たぞ」

レイスが壁を抜けてきたので速攻で網を投げて収納した。こいつだけは許さん。

またマミーがぞろぞろやってくる。

「多いなぁ」

「スタンピードってわけでもなさそうだし、厄介なフロアだ」

「その代わりレベルが上がるのは速そうね」

というわけで、殲滅じゃー!

マミーを 駆逐(収納) しながら通路を歩いていくと、一番奥に階段があった。

「今日はこの階で止めといた方が良いな」

零士さんの意見には賛成なので、もう戻ることにした。途中でワイト君やら憎きレイスやらが出たので収納した。魔物多すぎ問題。

本日のリザルト!

【収納:魔法『フィアー』×4】

【収納:魔法『ファイヤーボール』×24】

【収納:魔法『カース』×16】

【魔法書:フィアー×4】

【魔法書:サイレス×4】

【魔法書:キュア×1】

【魔法書:カース×5】

【魔法書:ファイヤーボール×5】

【綺麗な包帯×215】

【マミーの魔石×353】

【ワイトの魔石×11】

【レイスの魔石×5】

新しい魔法書をゲットしたけどマミーが多かったから綺麗な包帯が多い。何に使えるんだろ、これ。俺にも鑑定スキルが欲しい。でも京香さんを頼れるのでない方が良いか。

「お疲れ様ー。無事でよかったわー」

「おかえりなさいご主人様」

ダンジョンを出て母屋に戻れば妊婦瀬奈さんとメイドなりきり京香さんがすぐに来た。ふたりのほっとした顔を見ると、心配かけてるなーって申し訳なく思う。帰ってくるのは当たり前でキチンと儲けてこいって言われるくらいには強くならねば。

「ちょっと色々あるんでお茶しながら話がしたいです」