軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

63.池袋アラグネシルク大作戦⑥

お昼休憩後にまた下を目指して森を歩く。

「魔物が出なければ散策気分でいいんですけどね」

「虫取りみたいでいージャン」

「虫やっつけの間違いでしょ?」

美奈子ちゃんと葉子ちゃんの気の抜けた会話を聞きながら巨木の森を歩くこと10分。頭上の木々から毒蜘蛛が落ちてきた。

「ハッケーン! ウリャ!」

葉子ちゃんが投げた矢が毒蜘蛛に突き刺さると爆発した。ミサイルみたいだなもう。

その爆発が号砲で、アラグネ2体が巨木に姿を現す。毒蜘蛛はもちろんたくさんで30体以上いる。

「熱烈な歓迎だねっと」

【鎮魂の鐘】で麻痺させてしまっちゃうおじさんする。物騒な蜘蛛はしまっちゃおうかねぇ。

【収納:アラグネ×2】

【収納:毒蜘蛛×34】

また普通のアラグネだ。アラグネとは30体以上遭遇しているけど変異体には会えない。

「そう簡単に遭遇はしないよね」

「あ、また!」

「ヤルゼー!」

ひたすら地道に狩っていく。まれにアラグネの集団にカマキリやらトンボも混ざってて戦闘もカオスだ。ケガはするけどポーションを使う程度ですんでるのは、俺たちがそこそこ強いのと人数が少なくて逃げ回れるからだ。ハンターが多いと魔物も相手を見つけやすい。あと、巨木が隠れ蓑にできるものあるかな。葉子ちゃんは巨木に隠れながら矢を飛ばしてるし。

「毒蜘蛛の数が多いな」

遭遇したアラグネはちょっと大きな感じがして、そしてお供の数が体感で倍だった。あたりかもしれない。

「でもやることは一緒」

【鎮魂の鐘】で麻痺させて落ちてる蜘蛛たちをすぐに収納。

【収納:アラグネクイーン×1】

【収納:毒蜘蛛×58】

ひゃっはー。予想よりも早くゲット!

経験値にしたらちゃんと【クイーンシルク×1】になってた。スタンピードじゃないから墓地ダンジョンには出てこないけど、目的達成だ。

でも口には出さない。ドローンに背を向けて手でふたりにOKマークを作る。入手したって知られるとダンジョンを出た際に面倒ごとに巻き込まれそうだ。いまさらって言われそうだけど、騒動が大きくなるのは避けたい。配信してない時間帯で出して確認しよう。

「いまいるのが23階で15時過ぎですね。帰るにはちょっと早いです」

「狩るゾ!」

美奈子ちゃんが時間を調べれば、葉子ちゃんは狩り足りないと主張する。

「夕方までにつけば夕飯の準備も間に合うな」

食材の下処理はしてきたからね。基本は調理するだけだ。はらへったと騒ぐ大人にはおはぎでも食べててもらおう。

「21階に戻りつつフロアを回って狩ろうか」

方針は決まった。あとは気楽なロスタイムだ。ダンジョンで気楽はないけど、入手しなきゃって焦りは無くなった。それだけでも気分的に違う。

「首置いてけ」

「ドッカーン!」

ふたりは本能のままに戦っていて楽しそうにも見える。相手が人よりも大きな虫なんだけどね。なおふたりが倒した魔物からもドロップがあった。

「ヤッター!」

葉子ちゃんがぴょこぴょこ跳ねてる。ドラゴンフライから【炎の息吹のスキル書】をゲットした。

ラビットフットを持ってこれだけ倒してやっとゲットだから、確率は相当低そうだ。

なお、美奈子ちゃんと葉子ちゃんはレベルが上がった。美奈子ちゃんがレベル24で葉子ちゃんが21だ。

「次で新しいスキルを覚えます」

美奈子ちゃんが嬉しそうにはにかむ。レベル25ともなるとレアというかとんでもないスキルになる、らしい。レベル20で覚えるスキルもすごいやつって聞くけどね。

那覇さんもレベル25は越えてて、やはりトンでもスキルを覚えたとのこと。教えてはくれなかったけど。

「確率操作ってソシャゲでは言われることがあるけど」

ガチャで外ればっかり続くと叫びたくなるアレのこと。課金額で枠が決まってるとかまことしやかに語られるけど真相は闇だ。

で、アラグネクイーンがまた出た。お供の毒蜘蛛の数で判断できちゃうんだ。

【鎮魂の鐘】で麻痺させてしまっちゃうおじさんという一連の流れ。

【収納:アラグネクイーン×1】

【収納:毒蜘蛛×51】

経験値にすればちゃんと【クイーンシルク×1】。うーん、これをどうするかも相談だな。下手に『在庫あります』なんてことが知られると変な奴らにまとわりつかれそうだ。いっそスポンサーに売った方が厄介払いできるまであるな。

『レベルが上がりました』

俺までレベルが上がった。これでレベルが28ですがな。レベル30で何を覚えるんだろ。また寺関係なんだろうけどさ。

「日本で一番レベルが高いハンターってどれくらいなんだろ」

ハンター講習の時に京香さんから聞いてたのはハンターランク300だ。熟練度が10とすればレベルは30だろう。年も変わってるから31になってるかも。

「レベルが高いのは【魔法少女】ですかね」

「まーた変な名前のハンターがいるんだね」

俺が知ってるユニークスキル持ちは、【勇者】豊川、【黄金騎士団】那覇さん、【アイアンビューティ】ビッチさん、【ヒグマ】羅さんと、行方知れずの【盗賊】唐津だ。なんだかんだで半分は知ったのか。俺も【作務衣】とか呼ばれてるし。

「ユニークスキル持ちで年齢不詳の幼女です。【魔法少女】と言うよりは【魔法幼女】がしっくりきますね」

「あれ? ハンターって18歳からなれるんだよね?」

「ハンターになったのはアラフォーの時だって噂ですね」

「なんで幼女!?」

「スキルを使ってみたら幼女になって元に戻らないそうです」

なんぞそれ。呪いだったりする?

関わりたくない感じ。

「そろそろいいころ合いですね」

時刻は17時ちょい前。いまは22階。階段を降りればすぐだ。

「じゃ戻って報告だ」

鼻歌交じりで魔物を蹂躙しながらキャンプ地に戻れば、そこにはリラックスしてる【アマゾネス】のお姉さま方がいた。

なんでおるんや!