軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

50.入学式と佐渡島スタンピード④

「さて、現地組と寺組を分けなければいけません」

ということでまた非常招集だ。

父さん、俺、奥様3人、零士くん、美奈子ちゃん、柏兄妹、京子ちゃん、ポニーにAチームだ。なんでか浦河姉弟もいる。ポニーの4人は不安な顔をしてるけど、美奈子ちゃんはやる気満々なのはなんで。師匠に似すぎでしょ。

「俺がいければそれで片が付くんだが」

「師匠を世間に見せるわけにはいかないって」

スタンピードよりもやばい事態を引き起こしそうだし。却下で。

「向こうに行くのは俺と京香さんになるけど、俺は踏破するなり収納するなりでダンジョン入り口には行かないとだけど京香さんを単独にできない」

自衛隊の人だって完全に信用できるわけじゃないしさ。

「当然だな……こっちは俺が何とでもするから、そっちに必要な人員をそろえるべきだ」

かといって、連れていくにしても。京香さんが佐渡に向かう以上は瀬奈さんにいてもらわないとギルドの管理が危うい。

「Aチーム、佐渡へ行け。京香の護衛と魔物の撃退だ」

師匠の一言に、Aチームがお互いの顔を見あう。不安だよね。

でも彼らが来てくれるなら安心できる。

なら、彼らの不安を解消すればいい。因果応報だ。

「Aチームには必要な魔法とかスキルはすべて渡すよ」

「そうですね。配信する以上、地上ユニットの設置は不可欠です。私も守君と降下しますので、5人には【飛翔】の魔法は覚えていただくとして、降下中の空中戦を考えますと、【ファイヤーボール】【サンダー】は最低限で、ブレススキルもいくつか覚えてもらいましょう」

「ちょ、京香さんが下りるなんて考えてもないんだけど!?」

危険が危ないとかのレベルじゃないんよ。俺ならスキルでどうにでもなるけど。

「配信するのは決定事項です。私は守君に抱っこされて下りればよいだけでは?」

「かわいく首を傾けてもダメなものはダメです!」

「配信しながらダンジョンを行けば守君の無事がわかりますし、踏破の瞬間という研究材料にもってこいの映像が残せますし、利点しかありませんが?」

「首を逆に傾けてもダメですが?」

「ギルド職員の生き残りがいるかもしれません。彼らの救出には現地に乗り込むしかありません」

「ぐぅ……」

それを言われるときつい。

結局、丸め込まれてしまった。

それはそれとして。明日は市船の入学式があって、卒業式同様、俺は呼ばれてるんだよね。でも行けなくなった。

緊急事態でいけない。それは当然なんだけど、それだからこそ誰かが行くべきと思う。これくらいは問題ないんだと、見せてあげないと。

「智は、俺の代わりに入学式に出て話をしてほしい」

「な、なんでよ! そんな場合じゃないでしょ! こっちが優先に決まってるじゃない! あんたはあたしが寺の最終兵器だって言ってたじゃん!」

テーブルをバンバン叩く智に怒られた。でもね。

「智は、後輩に言ってあげたいことがあるんじゃない?」

智が言葉に詰まった。

「そ、それは、まぁ、なくはないけど。でもそれとこれとは比べられないでしょ!」

「大人のギルド長の言葉ではなく、卒業したてのハンターとして、何か話をしてあげてほしいんだよね。大変な思いをした智だから言える言葉が」

智だから話せることが。たぶんそれが大事なことだと思う。

「智ー、守くんの代理でいってらっしーゃい」

「瀬奈おねーちゃんまで!」

「なんかよくわかんねーけど、オレに任せとけ!」

「師匠もいるし、わたしも葉子もいるし」

「おーアーシにまかせロー!」

京子ちゃん、美奈子ちゃんと葉子ちゃんまで。

「入学式って言っても午前中には終わるんだし、帰ってきてもこっちはたぶん終わってないと思うよ」

そもそも始まってもいないし。

「……わかったわよ。行ってくる」

「ごめんね智」

「そこは『ありがとう』でしょ!」

べしっとデコピンを食らった。

その会議の後、Aチームの5人は準備のために寮の部屋に集まっていた。おやつのせんべいをかじりながらのパーティ内会議だ。

「卒業してすぐにスタンピード対応かー」

「それな」

ポニテ館山のつぶやきに大柄マッチョの市原が合いの手を入れる。5人とも、何かを言いたそうにしているが言いよどんでいる雰囲気だ。

「こんな時にアレだけどさー、俺、めっちゃやる気なんだよな」

ぼそぼそっと語るツーブロックの野田がせんべいに手を伸ばした。バキッと割ってがりがりかじる。

「俺もさー、なんかワクワクしちゃってよ」

「武史もかよ」

細マッチョの千葉が賛同すると茶髪イケメンの一宮がパチンと指を鳴らした。

「危険なのは間違いねーんだろうけどさー、師匠が俺らを指名したんだぜ? ポニーじゃなくって、俺らだぞ? ンなもん燃えるしかねーじゃん」

千葉が熱く語る。今まではポニーの後塵を拝していた。それが並んだのかもしれないのだ。

胸の奥が熱くなるのは仕方がない。

「それな。結局、寺にいても同規模のスタンピードが起きるんだろ? あっちに行っても危険度は変わらねーじゃん」

市原が続いた。彼らに寺から逃げるという選択肢は存在せず、はやる心の言い訳を述べている。

「そもそもハンターなんて命がけだし」

「ダンジョンに入るのもヘリで突撃するのも一緒だろ」

「ほんそれ」

「配信どころかテレビに映るかもよ?」

「モテ期到来か?」

「俺にも彼女ができるかもしれねー!」

「やったぜ!」

「これで、守さんに今までの恩が返せるかな」

「こんなんじゃ足りねーかもだけどな」

「ダンジョン野郎Aチームの名を全国に轟かせねーと!」

「やってやんぜ!」

「「「「「おぅ!」」」」」