作品タイトル不明
39.秋田ダンジョン狂騒曲④
外は常に暗いので時間が分かりにくいけどもう夕方だ。
おばーちゃんには明日朝また来るねーと伝え宿へ向かう。さすがに雪の中を歩く距離ではないのでタクシーを呼んでもらった。
宿は秋田市内にある小さなお屋敷だ。離れに温泉もあるらしい。
「結構年季が入ってるね」
「その代わりに宿全体を貸し切れました」
料理に定評があって温泉があって宿そのものを貸切れるからそこに決めたと、うちのメイドさんが主張してる。当然お風呂も貸し切りなので4人で入るつもりらしい。
「まぁまぁ大雪の中ありがとうございます」
仲居さんらしきおばさんが対応してくれる。上着を脱いだらメイド服の京香さんにも驚かない。またも事前連絡をしたのだろう。
通されたのは12畳と10畳を合体させた和室だ。床の間もあって掛け軸も飾られててすごく落ち着く。子供のころはあの裏にお化け除けのお札があるって信じてたなあ。地獄へ繋がる穴があるんだぞって脅かされたこともあったな。後でこっそりのぞいてみよう。
「ふーやれやれねー」
「まずは風呂です」
「守、着替えー」
「おっけー」
収納してあった各自の荷物を取り出す。それぞれスーツケースやボストンバッグにまとめてある。
「浴衣もあるのねー」
タンスにあった浴衣を瀬奈さんが体に当ててる。おっぱいもそうだけどおなかが大きくなってきてるので裾が足りなくなりそう。
各自着替えを持って浴場へ向かう。軋む木の廊下を歩いて離れへ。寒いけど雪景色と廊下という風情が大変よろしい。
当然男湯と女湯で分かれているけど。
「貸し切りなので守君も女湯」
メイドさんに腕を確保されて連れ込まれた。
脱衣所は5人入れば込み合う広さだ。洗面台もひとつで、宿泊客も多くないってことかな。
「行くわよー」
ぽぽいっと脱いじゃった瀬奈さんが浴室に入っていく。メイド服の京香さんが一番時間がかかりそうと思いきやぱぱっと脱ぎ終えてる。智もするするっと脱いでて俺が出遅れた。
「脱がすわよ?」
「自分でやるから」
俺もパパっと脱いだ。4人ともタオルなしのマッパである。ピッチピチが視界いっぱいで眼福だ。
浴場に入ればむわっと湯気に包まれる。暖かいのは助かる。
洗い場が3つしかなくて一度に洗えない。
「守くん洗ってー」
すでに椅子に座ってスタンバイ状態の瀬奈さんに強請られる。むちむちのお尻が椅子からはみ出している。揉みしだき、いやマッサージしてあげたい。
よし、ご奉仕いたしましょう。
「お客さん痛くはないですかー」
「ああぁん、ばっちりよー」
頭から体の隅々まであわあわにする。お腹もだけどおっぱいもさらに大きくなってるような。
「次は私」
「最後があたしねー」
長女から次女三女と流れていって、俺はというと、3人がかりでウォッシュされた。
「守くーん、浮気はだめよー?」
「おちんちんに話しかけないでくださーい」
「じゃあ直接守君に聞きますね」
「そこに自我がないのでこしゅこしゅされると」
「元気になりすぎよ。このこのこの」
「あ”---」
体も心も目も楽しんだぞ。混浴はいいものだ。
さて夕食だ。料理がいいらしいので非常に楽しみだ。部屋食なのでのんびり待ってると運ばれてくる。ステーキがメインでだまっこ鍋、ハタハタの焼き物、お新香、あきたこまちの白米にデザートの生あんころもしだ。
「秋田牛とダンジョン肉のステーキが並んでる」
「どちらも自慢の特産なんですよ」
中居さんは自信たっぷりに言う。匂いからしておいしいのが確定してる。せっかちなおなかがグーと鳴る。
「「「「いただきます!」」」」
家でなくとも挨拶は同じ。
「肉が柔らかい!」
「口で溶けるわー」
「肉は飲み物だった」
「どっちの肉もおいひー!」
おいしいときは食事は静かになるときもあるけど、騒がしい時だってある。おいしいときはおいしいって言いたいじゃん。
料理は全部おいしかった!
翌日も大雪だ。いつもの習性で朝5時には目が覚める。智も同じようで、熱いお茶をもって離れの廊下でまったりすることに。空気は刺すように冷たいけど、音もなく降り続ける幻想さで相殺された。
しんしんと降り続けてて、積雪が60センチを超えたらしく、景色は真っ白だ。
「こんな雪を見るのは初めて」
智が景色を眺めながらしっとりしてる。ふぅと白い息を吐く横顔は、すっかり大人になってる。かわいいから美人に脱皮しかけてるなぁ。
「あー、ふたりでしけこんでるー」
「お風呂で致してないから許しましょう」
瀬奈さんと京香さんも起きてきた。
4人でぼへーとお茶してたら瀬奈さんがくしゅんとくしゃみをしたので撤収することに。
朝食をとったらギルドへ向かうが、除雪が間に合わないようで、腰くらいまで雪が積もってる。
「除雪しながら行こうか」
風もないので駅まで歩いていくことにする。
宿の周りを除雪して、もちろん屋根もね。宿の周囲だけは雪がなくなった。
「降ったばかりのきれいな雪をゲットだぜ」
雪を収納してアスファルトが見える道を駅まで歩く。
「守、便利すぎ」
「雪国にひとりはほしーわねー」
「守君はひとりでいいです」
背後からそんな声が聞こえる。俺が除雪してるからか、その後を歩いてくる人がぞろぞろ。お役に立ててるね。
駅周辺は除雪こそされてるけどぐちゃぐちゃなのでそのぐちゃぐちゃも収納しといた。戻ったら海にでも捨てよう。
駅からはタクシーで秋田城跡まで。公園も真っ白なので雪はすべて収納した。ギルドの周りもすっかりきれいだ。
「おはよーございまーす!」
智が元気よく挨拶すれば、カウンターからおばーちゃんがひょっこり出てくる。
「おばーちゃん、はやいね!」
「アタシはここに泊まったさ。この雪では家と往復すんのもてーへんさ」
泊りだったらしい。ご苦労様です。