軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

39.秋田ダンジョン狂騒曲②

駅に戻ってすぐにふたりと合流して遅めのお昼に。秋田に来たらきりたんぽでしょ。

なので有名なお店に突撃した。

「どうだったー?」

「怪しさしかないですね」

きりたんぽ鍋を突きながら説明する。鶏がらスープがしみしみの比内地鶏が最高なのにクソみたいな話で申し訳ない。

「で、結局どーするのよ」

「ギルドに行って話を聞きましょう」

当事者たるギルドの話も聞かねば片手落ち。

秋田城跡ダンジョンはその名の通り秋田城跡公園にある。駅から見たら海の方角だ。

歩くには遠いので駅からタクシーで向かう。

「今日は雪がひでーからダンジョンには誰もいないんでねーがな」

中年の運転者さんがそんなことを言う。雪がひどけりゃダンジョンにも来ないか。

タクシーから降りれば一面雪景色。そして吹雪。でも白狼のブレスよりはマシかなって。

「どこからどこが公園?」

智がそう言っちゃうくらい白の世界だ。

「あそこに灯りが見えるので、ギルドがあるかもしれません」

「寒いから早く行くわよー」

「瀬奈さんを冷やすわけには行かない」

でも雪はももの高さまで積もってる。非常に歩きにくい。

「雪も収納できるのかなって、できた」

あっさり収納しました。しかも見た感じ100メートル四方くらいきれいに雪が消えてアスファルトが見えた。この辺りは駐車場らしいね。

「わー、雪も収納できちゃうのねー。幼稚園で雪を出したら子供たちが喜ぶかもねー」

「それいただきです。幼稚園も冬休みだから正月の餅つきの時に雪遊びもやりましょう」

そうと決まればこのあたりの雪を全部持って帰るぞ。ひゃっはー。

「雪はすごいけど歩きやすくなったね」

風もあって雪が横から降ってくるので傘ではなく防水性の防寒着にニット帽だ。首にネックウォーマーないしマフラーなので少々顔が痛い。目出し帽もありだけど通報されちゃう。

「あの建物がギルドでしょう」

京香さんが前方の平屋の建物を指している。周囲の建物はそれしかないので疑う余地もないけど。

「雪宿りもかねて行ってみましょう」

雪を収納しながら4人でてくてく歩いて向かう。芝生があって普通に公園だ。建物はよく公園にあるような、ガラス張りで中が良く見えるものだったけど、暗いのかよく見えない。

「もしかしてお休み!?」

「こうも雪が降ってちゃハンターも来ないわよねー」

「ダンジョン管理からすると休みなどあり得ないのですが」

「でも大雪でギルド職員がこれないとか?」

「おおよそギルドには仮眠室があるのでそこで待機するとは思うのですが」

ガラス製のスライド扉がある入り口前まできて4人であーだこーだ言いながら中をのぞく。風除室があって寒い空気が入らないようにしてる。その奥に大きな空間があって、さらに奥が少し明るい。

「誰かいるかもね」

「中に入ってみよーよー」

智がドアを開けて中に入った。その奥は自動ドアみたいだけど開かないようで、困った顔をこっちに向けてる。

「あかないー」

「もしかしたらインタロックがかかっているかもしれません。中に入ってこちらのドアを閉めましょう」

3人で中に入ってスライドドアを閉めると自動ドアが開いた。

「へー、すごい仕組みだね」

「外気を入れたくない施設などで使われる設備ですね」

「よく考えられてるわねー」

4人揃って自動ドアをくぐる。人気はない。広い空間で、ゲートも見えるからここが待合所っぽい。ってことは奥の明かりはとみると、カウンターがあっておばあさんがぼんやりこっちを見てる。

「こんな雪の日によー来たもんさね」

感じは悪くなさそうなので「こんにちはー」とあいさつしつつ歩いていく。カウンターにいたのは頭にお団子を乗せた小柄なおばあちゃんだった。声をかけてみようか。

「今日はお休みなんですか?」

「大雪の日はハンターも雪かきに行ってダンジョンには来ないさ」

「あ、雪かき!」

「ハンターだって普通の生活があるさね。で、あんたがたはどこから来なすったさ」

「千葉の獄楽寺から来ました」

「まーこんな時期に遠いとこからわざわざ来たんけ。なーんもないとこだけど、ゆっくりしておいき」

おばあちゃんはポットから急須にお湯を入れ、お茶を出してくれた。カウンター近くに丸テーブルと椅子があるのでそこに座る。香りが濃い。一口飲むとお茶の味がじゅわっと広がる。うまー。

「あ、美味しい」

「檜山茶さ。うんまいだろ?」

「おいしーですー」

「落ち着きますね」

「おとーさんも好きそう」

折角なのでお茶請けをだす。収納に入れとけばいいから大量に持ってきたよ。あんこ入りヨモギ餅と常に倒産状態のあの電鉄のぬれ煎餅だ。

「おばーちゃんも一緒にたべようよ」

智が手招きする。智は自分に自信がついてからはコミュ強者だ。

「あらいいのかい?」といいつつもおばあちゃんがテーブルに来た。ジャージに唐草模様のどてら姿だ。椅子が足りないので収納から取り出す。

「あれま、手品みたいだねぇ」

「似たようなもんですよ。ところで、おばあさんってギルドの職員だったりします?」

「アタシがギルド長だねぇ」

おばあちゃんがギルド長だった。酒田吉江さんといい、 御年(おんとし) 72歳。今日はギルド職員も雪かきしてるのでおひとりで留守番だって。危ないじゃん。

「その御年でハンターも兼ねてるなんて、すごーい」

「アタシはもともと市の嘱託で公園管理をやってたんだけど、地下の保管室に下りる階段だと思ってたらダンジョンだったんさ。降りてみたらへんてこな声がしてスキルを得てねぇ。変だなーって思って調べたらダンジョンてやつでさ」

瀬奈さんの驚きにもおばーちゃんは「なんてこたぁねよ」とカラカラ笑う。この余裕は見習うべきだな。

「おばーちゃんはなんでギルド長なの? もっと若い人がやればいいのに」

智がほっぺを膨らませて文句を言う。

「現役のころは経理やってて帳簿もわかるからってギルドに回されていつのまにかギルド長にさせられちゃって、貧乏くじをひかされちゃったのさ」

フフッと笑うおばーちゃん。そうは言うけど楽しんでるっぽいな。

「んで、こんなとこに何しに来たんさ」