軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

4.ギルド開設③

翌朝。墓地の掃除を済ませてダンジョンの掃除に移る。もう朝のルーティン化したよ。

で、昨日到達した4階に来た。

「なんでいるかなぁ」

収納したはずのワイトがいた。しかも骨のお供を連れて。物騒な剣と頑丈そうな金属の盾を持った骸骨が4体もいる。生前は屈強でしたってくらいぶっとい骨だ。

「あれか、無様に負けたから助っ人を頼んだのか?」

ずるい!

剣は、剣は怖いぞ!

でも見つけちゃったからには掃除せねば。

「傘と金剛杖の二刀流じゃ!」

右手に金剛杖、左手にビニール傘!

カッコ悪いとか言わない!

「剣が、なんぼのもんじゃい!」

すみません、強がりですめっちゃ怖いです!

でもこうして発破をかけないと足が勝手に逃げ出しそうなんだよー!

俺が煽ったからか、剣持ち骨が一斉に走ってきた。

「骨が走った!」

ストーンサークルの石を避けながら突進してくる。ガシャガシャうるせえ!

金剛杖を突き出すと骨は盾を構える。甘い。

ガツンと盾にあったタイミングで収納すると盾ごと骨が消えた。

【収納:スケルトンナイト×1】

「騎士かよ! 騎士道精神はどこに置いてきやがった!」

「クカカカカ!」

左右に別れた骨が同時に剣を振りかざす。傘に隠れるように身を屈めると【収納:魔法カース×1】と出る。

くっそ、いいコンビネーションだ!

右手の金剛杖で横薙ぎすると、騎士骨は当たらない位置まで下がった。

「学習しやがった!」

いきなり魔物のレベルがあがったぞ。

その間にもカースの魔法が飛んでくる。全て収納してるけどいちいち面倒だ。

ワイトに騎士骨が3体。騎士骨は俺を警戒して近寄ってこない。

ならばこうだ。

「ファイヤーボール放出!」

ワイトに向けてファイヤーボールを放出すれば、騎士骨が盾を構えて射線上に立った。

ボボンと爆発し、騎士骨が炎に包まれる。残りの2体も爆発に呑まれた。

「キィィィィィ!!」

掻きむしるような悲鳴が響く。

効いてる効いてる。倒せてるかわからないからファイヤーボールの追加じゃ。ファイヤーボール2発を燃え盛ってるところに放出する。

「うおっと!」

あっちからもファイヤーボールが飛んできた。傘をかざして収納する。ワイトはまだ生きているようだ。骨だから生きてるとは言わないけど便宜上ね。

10秒くらいで炎は消えた。そして騎士骨も消えた。燃え尽きたみたい。でもワイトはまだいる。騎士骨がガードしたから無傷っぽい。

「ギィィィィィイァァァァア!!」

ワイトが狂ったようにファイヤーボールを連発してくる。全部収納ですアザッス。

魔法が飛んでこなくなったからこっちのターンだ。

「やっぱ躊躇なくやれる相手だからこそ、だよな。カース放出!」

金剛杖をワイトに向けてカースを撃ってみる。ワイトの体が紫に光って、あからさまに動きが遅くなった。腕を振ってるけどやたら遅い。体感で半分くらいの速さになってる。

「カースって、動きを半分くらいに遅らせるのかも」

それって強くない?

さっきの騎士骨にかけたらスキップしながらでも対応できそうだぞ。

「ギギギィィィ!!」

「おっと、ワイト君が激怒してる」

【師走】で突っ込んでさっさと収納した。光の速度で経験値にする。

「レベルは、上がってないな」

まぁそう頻繁に上がらんでしょ。

【収納:魔法書ファイヤーボール×1】

【収納:魔法書カース×1】

【収納:なまくらの剣×1】

収納は増えた。なまくらの剣は騎士骨のかな。って駄剣じゃん。売れるかなぁ。

ワイトが毎回出てくるなら魔法と魔法書を収納しまくってもいいかも。ぼろ儲けじゃ!

【収納:ファイヤーボール×15】

【収納:カース×21】

【収納:魔法書、各2個】

【収納:なまくらな剣×1】

凱旋気分の鼻歌交じりで地上に戻った。

ちょうど雨もやんでたラッキーって思いながら墓地を歩いてると、檀家用の駐車場にまたも見知らぬ車がとまってる。田舎はご近所の車はすべて把握してるからよそ者はわかるんだよ。

「嫌な予感しかしねえ」

昨日の今日だし、またギルド関係かな。車が違うから先生と勝浦さんではないな。

「急いで戻ろう」

速足で本堂に戻ると、本堂前でお参りしているおばさんを見つけた。近所にいても違和感のないおばちゃんだ。ちょっと隠れて様子をうかがう。

「おやおや、君が坂場守君かな?」

視界に入ってないはずの俺に向かっておばちゃんが顔を向けた。この人もやべー人だったー。

「えっと、はいそうです」

仕方ねえよ、隠れててもばれてるんだもん。絶対にギルドの人だわ。

顔も見ても印象に残らない系の人だ。CIAとか、 忍(しのぶ) 人だよこれ。

「アタシは船橋ギルドの副ギルド長をやってる大多喜というものさ。お父様はご在宅かしら?」

おっと、いきなり上から2番目が来ちゃった。ひとまず入ってもらおう。

父さんを見つけて席についてもらう。

「獄楽寺の住職をやってます坂場司です」

「船橋ギルドの副ギルド長をやっております大多喜と申します。あ、これはお土産です」

すちゃっとお土産を出してくる。

むむ、できるなこのおばさん。なぜ千葉なのに東京ひよこなのかはスルーしよう。先生と勝浦さんはお土産なんて持ってこなかったぞ。

「いらっしゃった用件は、ダンジョンについてですかな」

「えぇ、話が早くて助かります。昨日うちの小湊と勝浦が来て話をされたと思いますが、詳細を詰めなければなりませんので」

「ふーむ。守だけでは無理そうですが……幼稚園の送迎があるのでその後でもよろしいですかな?」

「はい、お忙しいところ突然お伺いして申し訳ありません」

「いえいえ、ダンジョンの放置はできんでしょうしねぇ。守、頼んだぞ」

「任されたー」

父さんが出て行った。そして残されて気まずい俺。

「さて守君。君は墓地ダンジョンについて、何か知ってることはあるかい?」

「知っていること、ですか?」

うーん、骨が出てくるダンジョンくらいの認識だな。わざわざ聞いてくるてことは、なんかあるんだな。よし、知らないものは知らないと正直に話すべし。

「骨が出てくるくらいです。あと4階まではありました」

「4階!? 何か出たかい?」

「ワイトってやつとお供に騎士骨が出てきました」

「ワイト……まさか、戦ったのかい?」

「戦いましたよ。魔法を使ってきてびっくりしました」

あれは驚いたよね。魔法なんて初めてだもん。

「4階でワイトかい……ワイトってのはランク20の魔物なんだよ。カースって魔法を使ってくるんだけど、これが厄介でね。それがパーティーを組んでたとなると、ランク40はないと厳しいはずさ」

「魔物のランク……ってなんですか? あ、講習では聞きましたけど」

「魔物のランクってのは、強さの目安さ。これくらいのランクでないと勝てないって目安のね。相手が複数ならその合計さ。君ならランク9の魔物までは勝てそうだって判断するんさ」

おっと、俺のレベルが知れちゃってるじゃん。あのふたりが報告したんだろうけど。しかし、あいつらはレベル40でないと厳しい魔物なのか。割と楽に勝てたのはスキルのおかげってことだな。さすがは仏様だぜ。

「あ、そうやって判断するんですね。ちなみにですね、レベルが上がって10になりました」

「なんだって!? レベル10だってぇ!」

「ちょうど昨日、小湊先生と勝浦さんが帰った後にダンジョンの掃除をしたらレベルが上がりまして」

「なんてこったい……」

大多喜さんが頭を抱えてしまった。サーセン、へへへ。

「ワイトが出るんじゃ、ギルドは設置してもらわないと危なくって仕方がないね」

「ワイトといえば、その、倒したら魔法書を落としまして……」

「魔法書ぉ!?」

「あ、これです」

収納からファイヤーボールとカースの魔法書を取り出す。書というか、巻物に近い感じ。古そうな紙が丸められたものだ。よくわからない文字で何か書いてあるけど、たぶん魔法の名前だと思う。

「むむむむ、本物だねぇ……なんの魔法だかわかるかい?」

「ファイヤーボールとカースで、ワイトが使ってきた魔法です」

「カース! ファイヤーボールは割と見つかってるけど、カースはほとんど出回らないもんだよ!」

「結構レアなんですね。SSRより上かな」

いいことを聞いたぞ。もう一個あるし、なんなら一日ひとつはゲットできそうな勢いだ。

魔法書を売ればゲートの設置費用を賄えるんじゃ?

とらぬ狸のなんとやらだけど、金のめどはつきそうだ。

「これがいくつかあれば、ゲート設置の費用になりませんかね」

「売ってもらえるのかい? って複数あるのかい!?」

「今ならもうひとセット!」

じょんっと効果音付きで収納から残りを出した。大多喜さんは大きな口を開けて「おわあー」とよくわからない言葉を吐いた。

ファイヤーボールは150万円、カースは500万円で買い取ってもらえた。合計1300万円なり。ゲート設置費用をまかなえた上にお釣りも来そうだぞー。

その後、スペース的な調査のためにダンジョン入り口に連れて行った。小さなビニールハウスにびっくりしてたけど中を見て納得した顔に変わった。

「外側から見えないようにと雨対策を安く仕上げるって寸法かい。いいねぇ。ギリギリだけどゲートも置けそうさね」

階段周辺の寸法をチェックする大多喜さん。電気工事とかほかにもあるけど、ゲートを置けさえすればどうにでもなるそうだ。

ゲート設置ができてギルドを立ち上げるところまで出来たら、あとはうちが管理していけばいいんだとか。書類とかいろいろあるみたいだけど、それは父さんに丸投げだ。

ダンジョン掃除が俺、事務仕事が父さん。役割分担さ!

「せっかくダンジョンに来たから、ちょっと中を見てもいいかい? 墓地ダンジョンは初めてだからね」

「1階なら危なくはないんでいきましょうか」

階段を下りてダンジョンへ。大多喜さんは入り口から動かず、でも墓石やら周囲の土塀やらをスマホで写真と動画を撮ったりしている。報告書にでもするんだろうか。

「かなり狭いダンジョンさね。これなら中に存在する魔物の数も知れてるねぇ」

「体感で小学校の校庭くらいですかね」

「そんなに小さくはって、ああそうか、ここは土地に余裕があるからねぇ」

「船橋のような都会基準はやめてください」

田舎ハラスメントやぞ!

知らんけど。