軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

30.秋のハンター祭り 午後の部 第二試合①

『最初っからハプニングがありましたが!』

『続けて第二試合に行きたいと思いまぁす!』

『佐倉選手、四街道選手、会場へ移動して下さい!』

アナウンスがかかり、智と美奈子ちゃんが刀を手に歩き出す。智の髪形はいつもと同じだけど美奈子ちゃんはポニテ風の零士くんみたいな髪型になってる。

まねたな?

『さぁ改めて両選手の紹介です!』

『まずは佐倉選手ですが、桜前線という3人組で活動しておりますがこの3人が全員曲者でして!』

『対戦相手の四街道選手に加え午前中に無双した柏選手も同じく桜前線です!』

『なお、午前中の部の配信では、柏選手に【トリックスター】というあだ名がついております』

おっと、葉子ちゃんにあだ名がついたぞ?

すごいんじゃないかこれ。智と美奈子ちゃんにもつきそうだな。

『佐倉選手に話を戻しますが、今日は大太刀と呼ばれる長い日本刀を持っています!』

『今どきの戦うメイドの装いですがスカートが短いのが気になりますねー』

『そこはそれ、アイドルのスカートにありがちな短パンをはいていると思われます!』

『対する四街道選手も桜前線で活動しており、本日は高い位置で髪を縛っていることも相まって、まさに剣豪という雰囲気です!』

『手にするは黒と白の刀! セーラー服と相まって脳を焼かれる男子が続出すると思われます!』

『わたしも男子の脳を焼いてみたい!』

紹介の間に美奈子ちゃんも智もストレッチを始めた。

『さて裏情報ですが!』

『ハンターにはランキングがありまして!』

『その中でもルーキーランキングのハンター未満クラスで1位! ルーキークラスで2位の佐倉選手はレベルは24!』

『ハンター未満クラスで2位、ルーキークラスで3位の四街道選手はレベルは16!』

『なお、ルーキー1位は、横に座っている坂場ギルド長です!』

「俺のことに触れる意味あった?」

『『ありません!』』

レベル24と16とアナウンスがあって、会場がざわざわし始めた。スマホで調べたのか「まじだ!」「俺より高いって嘘だろ!?」って叫びも聞こえる。

マジなので受け止めて欲しい。

ちらっと配信を確認したけど

――巨乳セーラー服に刀! 俺の性癖ズドンじゃねえかよッ……

――くそー、現地で見たかった!

――大太刀メイド最高!

とかレベルそっちのけで阿鼻叫喚だった。

『両選手ともに高校生とは思えない能力を発揮しております!』

『お叱りを承知で申し上げますが、ハンター未満クラス、つまり全国に6つあるハンターコースの高校生の1位と2位が対戦するこの試合は、事実上の決勝戦です!』

美奈子ちゃんが【裁き】【白鶴】を、智が【羅刹】を抜き、相対する。

「なんかすごいことになっちゃってる」

「まー、あたしらこの恰好だしさ」

「わたしは全力を出せるの、嬉しいけど」

「美奈って、師匠に似てきたよね」

「ふふ、愛ゆえね」

『始めてください!』

「ハッ!」

「いくよ!」

開始と同時に智と美奈子ちゃんが間合いを詰め、斬りかかる。刀が触れあった瞬間「リーン」と風鈴のような音色が奏でられた。予想外の音に会場が静まり返った。

『ななななんでしょう、この透き通るような音は!』

『坂場ギルド長! ご存じですか!?』

あれ、俺に振るの?

「あの音は【 定(さだ) の鈴】って言うみたいですよ?」

『さだのすず、ですか?』

『風鈴みたいな音で綺麗ですね!』

「ある刀鍛冶作成の刀同士を合わせるとこんな音が鳴るって聞きましたよ」

『そうなんですね!』

『聞きほれちゃう!』

実況のふたりは知らないからのん気だけど、知ってるだろうあのふたりはどうかなー。

来賓席の大多喜さんと足利さんの顔が引きつってる気がするぞ。

大多喜さんが俺を見て叫んでる。「この音は【定の鈴】……あんたねぇ!」って感じかな。

足利さんは横に控えている若い女子になにやら耳打ちしてる。こりゃばれたな。

中継のネット配信でも。

――【定の鈴】だと!?

――嘘じゃね?

――さすがにありえねー

――どうなんだ現地民!

――現地観戦組だけど、綺麗な音が聞こえてるよ

――こちら現地民。来賓席にいる勝浦のギルド長が【鑑定】持ちに見させてるっぽ。反応からすると 当(・) た(・) り(・)

――おっぱいの揺れがたまんねー

――高校生にそんなの持たせるか?

まぁそうだよね。

美奈子ちゃんと智は止まらない。美奈子ちゃんが二刀を隙間なく繰り出して智は防戦一方だ。絶え間なく透き通るような風鈴の音色が会場に響き渡ってる。とても刀で打ち合ってる音じゃない。

「くっ!」

智が攻撃を受けると同時に【羅刹】を振り切って力で美奈子ちゃんを吹き飛ばす。10メートルほど後方に飛ばされた美奈子ちゃんはごろごろ転がってすぐに立ち上がった。

『佐倉選手、四街道選手をふきとばしたぁぁ!!』

『人間て、飛ばせるんですね……』

「「「「うぉぉぉぉ!!」」」」

明らかに前の試合とは隔絶したレベルで、会場は雄たけびで満たされた。

「やっぱり智はすごい!」

額に汗かく美奈子ちゃんがとてもいい笑顔になった。

「あたしは剣のど素人なんだから少しは手加減してよ!」

「手加減したらあっという間に負けちゃうじゃない! 師匠に怒られちゃう!」

美奈子ちゃんが地面を蹴って智に肉薄する。一瞬で間合いを詰めたからスキルを使ったはず。でも智は反応して美奈子ちゃんの攻撃をなんとか受け止めた。

「はぁぁ!」

そこからまた美奈子ちゃんの連撃が始まる。

薙ぐ、突く、足技まで繰り出して追い詰めるようとするけど、智はレベルから来る身体能力でそれをなんとか捌いてる。でもギリギリだ。

「ちょ、わ、あぶっ!」

「くっ! 当たらない!」

「当たったら死んじゃうって!」

「智なら大丈夫!」

「なわけないでしょ!」

言い合いながら打ちあうふたり。

『四街道選手が攻めるッ!』

『左で突いて右でああああ実況が間に合いません!!』

『すみません黙ります!』

おい実況!

実況が匙を投げた。

タイミングを見計らった智の一撃で美奈ちゃんがまた後方へ飛ばされる。

「そこッ!」

空中で一回転して着地寸前、美奈子ちゃんが右手の【裁き】を振る。白いブーメラン状の何かが発射された。

「って【闘刃】じゃん!」

智が【闘刃】を避ける。そして【闘刃】が実況席に飛んでくる。

「マジか!」

『はぇ?』

『何か、向かってきます! うわぁぁぁ!』

実況席を飛び出してビニール傘を広げて【闘刃】を収納する。実況席から数メートルの地点だ。あぶねー。

「なんか出た!」

「な、なんだあれ」

「【闘刃】じゃねえか!?」

【闘刃】にざわつく会場。

「ちょっとまったぁぁ!!」

大多喜さんが会場に飛び出してきた。