軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

30.秋のハンター祭り 午前の部④ 射撃

『さぁ気を取り直していきましょう! 次の競技④は午前中最後になる射撃です! 物陰から出てくる的に当てて点数を競います!』

会場には4つの跳び箱が用意され、それを物陰と見立てるようだ。

跳び箱の後ろには円盤型の的を持った生徒10人が潜む。

『選手入場!』

クロスボウを持った4人が歩いてくる。葉子ちゃんと太田ちゃんがいて、あとは名前を知らない男子だ。

『飛び出してくる的は10個! 的には丸が書かれており、中央が10点満点で合計100点満点です! 過去の最高記録は37点ですが、これを抜く記録が出るのでしょうか!!』

4人が現地でじゃんけんをして順番を決めてる。勝った人が順番を選んでいくスタイルだ。

最初と2番目が男子で3番目が太田ちゃんでトリが葉子ちゃんだ。嫌な予感が止まらない。

『さぁ、1番最初は八潮選手です!』

彼がラインが引かれている位置に立つ。向かうは4つの跳び箱。校舎に向かって射つので観客に向かうことはないはず。

跳び箱から一斉に的が出る。

「くっ!」

八潮くんは焦りからか矢を落としたり見当違いな方向に放ったりと散々だった。でもいくつか的には当てたのでよかった。

『八潮選手は25点です! 拍手ー!』

パチパチパチパチと拍手がなる。派手さがないからか拍手もおとなしい。

『続いては三郷選手です!』

次なる男子は八潮君を見てたからかじっくり狙っていた。それでも的は外しまくってる。そもそも当てるのが難しいんだな。

『三郷選手は27点です! 拍手ー!』

次は太田ちゃんの番だ。

「太田、ガンバレ!」

「がが頑張ってみる!」

ちょっと気弱な太田ちゃんだけど葉子ちゃんに送り出されてぐっとクロスボウを握った。ラインに立って的を待つ。

「焦らない焦らない」

太田ちゃんは念仏のように繰り返す。そして的が出ると太田ちゃんの顔が変わった。目が鋭くなり狩人になった。

「そこ!」

迷いなく矢が放たれる。銃弾並みの速度で放たれた矢は的に当たり貫通した。「おおお!」と観客もどよめく。そりゃそうだ、矢の速度じゃないもん。

「こっちも! そこ! ここも!」

正確に的を 射(・) 抜(・) い(・) て(・) い(・) く(・) 。

『これはすごい! すべての的を射抜きました! これはすごい点数になりそうです!』

アナウンスも興奮してる。

太田ちゃんはやり切った笑顔で葉子ちゃんのそばに戻った。

「全部あてたよ!」

「やったナ!」

笑顔で迎える葉子ちゃん。いいねぇいいねぇ。

『おっとこれはすごい! 太田選手の記録は55点! 記録を大幅に塗り替えたぁぁ!!』

「「「「おおおおおお!!」」」」

沸き立つ歓声に両手を小さく挙げて「やったー」と喜ぶ太田ちゃん。表現も控えめだ。こんなところも彼女らしい。

『次は柏選手です! 先ほどは男子を投げましたが、ここでもミラクルを見せてくれるのでしょうかぁ!?』

「さーて、アーシの腕を見せてヤンヨ!」

トリの葉子ちゃんがラインの前に立つ。ただ、クロスボウは地面に置かれたまま矢だけを手に持ってる。

『おおっと柏選手! クロスボウを持たないままです! どうしたのでしょうか!?』

アナウンスも困惑してるけど、柏ちゃんは全弾当ててさらに真ん中を狙ってるな。矢が遅ければまげて狙うのも簡単になるからだろうね。

「イイゾー」

的が出ないので葉子ちゃんが催促する。すると恐る恐るといった感じで的が出てきた。

「イックゼー!」

葉子ちゃんが軽く投擲した矢は弓なりで飛んだが的までは届きそうもない。

「まずはソコ!」

葉子ちゃんが指を立てて的を指すと、矢が急加速急旋回して的に突き刺さった。

は?と観客がどよめく。

「どんどんイクゼー!」

葉子ちゃんがぽいっと投げた矢は指に誘導されるように的へ向かい突き刺さる。会場は静まり返り、矢が的に当たる音だけが響く。あまりに常識外で声も出せないでいた。

最後の矢も的に命中すると葉子ちゃんは右手を天に突き上げた。

「全弾命中! スケ兄、やったゼ!」

葉子ちゃんは葉介君がいるであろう場所に向かってピースサインを向ける。

『えええっと、集計ですがーーーキタキタキタ! 来ましたぁ! 77点! 柏選手、最高記録をさらに塗り替えました! 【投擲】【射撃】スキルの常識を覆す大記録です! 素晴らしい!』

「すげぇ!」

「何が起こった!?」

「すごいぞー!」

「ウォー!」

『これで午前の部を終了いたします! 午後は13時から開始します!』

会場は賞賛と困惑の声と拍手に包まれ、午前中の競技が終了した。