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婚約者が意外な人と浮気していました!? ~他者を傷つけておいて幸せになることは不可能です~

作者: 四季

本文

その日は突然やって来た。

「あーん! はぁい、食ぁーべてぇー」

「おいおい、甘やかしすぎだろ」

「いいじゃなーい、あたしたちラブラブなんだからぁ」

「ったく、仕方ないな。じゃあ食べてやるよ」

買い出しの帰りにたまたま寄った喫茶店。そこで目撃したのは、婚約者である三つ年上の彼ザインツが私の友人である女性ラランといちゃついている光景だった。二人はそれぞれスプーンを手にしていて、色の異なるパフェを互いに食べさせあっていた。

「ザインツ……それは一体何をしているの?」

想定外の展開に思わず声をかけてしまったのだが。

「ローズ!? な、なな、なぜここにッ!?」

途端に青ざめるザインツ。

「あらぁ、ローズじゃない」

「ラランはラランで……これは一体どういうことなの?」

悪しき行いがばれ青白い顔になっているザインツとは対照的にラランは余裕の面持ち。

「バレちゃったら仕方ないわね……あたしね、彼、ザインツと愛し合っているの」

「……友人の婚約者に手を出したの?」

「知らないわよぉ、友人の婚約者だとかそんなの。愛しい人を愛しく思う、そんなの普通でしょ」

「そういう問題じゃないわ……」

「なんにせよ、あたしたち愛し合ってるの! 邪魔しないでくれる? 婚約者にだって、あたしたちの愛を壊す権利はないわ!」

さすがに納得できなくて「ララン、酷いわ」と言葉を投げると、ラランは苛立ったような顔になり「うるさいわね、黙ってちょうだい」と返してくる。そしてそれから少しして、自分の分のパフェを投げつけてきた。想定していなかった行動、避けることはできず、クリームやら何やらを浴びることとなってしまう。

「あー、おかしっ! 真っ白じゃない? ベタベタで汚いわねぇ! そーんな姿じゃ婚約者に切り捨てられても当然ってものよ! クリームまみれの汚い女を誰が愛するの? ふふっ、情けないわねローズ。あーっ、汚い汚い! ベッタベタで不潔な女!」

髪から服から、色々、汚れてしまったけれど。

行くべき道は確かに存在している。

彼の行動に問題があると判明した以上、決めなくてはならない。

「ザインツ、申し訳ないけれど……婚約は破棄とするわ」

はっきり告げた。

「ま、待ってくれ! 勘違いだ!」

「こんな酷いことをする女性を好きだなんて残念だわ」

「違う! 愛しているのはローズだけだ!」

「嘘ね、いちゃついていたじゃない」

「そ、それは……け、けど! 違うんだ! 絶対に、絶対に……違う!」

「もうこれ以上話すことはないわ」

「頼む! それだけは! それだけは、やめてくれ! 婚約破棄だけは!」

彼が何を言おうが無駄だ。私の心は変わらない。浮気され、しかもその浮気相手から失礼なことをされ、それでもなお大人しくすべてを受け入れ黙っているなんて不可能。私という人間はそこまで寛容ではない。

「さようなら、ザインツ」

「ま、待っ……」

「手続きについては後日連絡するわ」

「あ……う……そん、な……い、い、いやああぁぁぁぁぁぁッ!!」

あの後私と彼の婚約は正式に破棄となった。

ザインツとラランからは慰謝料を取ることに成功。

そこで話は一旦終結。

ザインツは婚約破棄にショックを受け泣いていたらしい。一方ラランはというと、最後の最後まで自分は悪くないと主張し続けていたそうだ。

でも……自業自得ではないか、原因を作ったのは彼らなのだから。

彼らが裏切り行為に手を染めていなければ、私だって、婚約を破棄する必要はなかった。

「ローズ! いたいた、ちょっとこの書類について聞きたくてさ」

「ええ、いいわよ」

「ここなんだけど……どういう書き方? こっちか、こっちか。どっちが分かりやすいと思う?」

あれから三年。

良き人と結婚した私は忙しくも楽しい日々の中にある。

彼は土地の管理を仕事としている人だ。

なので私も今はその手伝いをしている。

最初は知らないことがたくさんあったけれど、勉強しているうちに段々色々なことが分かってきて、今ではある程度どんなことにでも対応できるようになっている。

「そうね……ここ、こうすれば? どうかしら。変?」

「あ、そうか!」

「それでこっちをこう書けば、いいんじゃない?」

「本当だ! 段が揃って綺麗に見える!」

そうそう、そういえば、だが。

ザインツはというと、あの後ラランとは破局し、その後別の女性と婚約したそうだ。だがその女性を放置して他の女性と遊んでいて、それが原因となりまたまた婚約破棄されることとなってしまったらしい。

で、以降も、同じようなことを繰り返していて――ある時ついに女性に刺されこの世を去ったそうだ。

同じ過ちを何回も繰り返していたということは、あまり反省していなかったのかもしれない。

だが私としてはどうでもいいことだ。

彼がどうなろうと私には無関係。

彼が落命したのも彼自身の行いのせいなので可哀想とも何とも思わない。

一方ラランはというと。

ザインツと別れてからお金持ちの男性を死に物狂いで探すようになったそうなのだが、そうした行動の中で怪しい男性に引っかかってしまい、やがて男性が犯した罪の罰を代わりに受けるよう仕組まれてしまい処刑されてしまったそうだ。

その件に関して、ラランに非はなかった。

それは確かなことだったようだ。

だが、男性に上手くはめられてしまったために、ラランは罪人に仕立て上げられてしまったようである。

欲するものを求め続けていた彼女だが、結局得られないまま、この世を去ることとなった――ということだったようだ。

◆終わり◆