軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

021 幼女の幼女による幼女のための不意打ち

今日ものんびり馬車に揺られてエルザちゃんのトークにお付き合い。同乗してかれこれ二日は経つけど、良くそんなに話題続くね。正直尊敬する。

そういえばエルザちゃんが暴露したお陰で【洗浄】魔法もばれた。まあ【洗浄】自体は習得難度が高いとはいえ、それなりに使い手が居る魔法だからそれは別にそんなに問題はない。寧ろ他のスキルも合わせて、私はものすごく便利なヤツ、と思われたようであれから護衛の二人がやたらとこっちを見てる。一体何を期待してるのか。止めて欲しい。あと胸見すぎ。

護衛達の会話がちょっと聞こえたけど、「そう簡単にスキルが覚えられたら苦労しない」とか「無理やりにでも」とか、興味深いのやら物騒なことやら……こういう人達とパーティー組むとか、絶対無理。街に着いたら係わり合いにならないようにしないと。

で、スキルが~って言葉にちょっと興味が湧いたので、二人のステータスを覗いてみました。

実際、スキル習得というのは難しい、と孤児院で聞いた覚えは確かにあったから。でも私は森の引きこもり生活で割りとぽんぽん覚えてた。なのでそのあたり、どのくらい覚えられるものなのかって言う基準がよくわからなかったので、参考に出来ればなーって思ったのだ。

ちなみにこの世界では他人のステータスを見る方法は極々限られている。スキルで覗こうと思えばかなりスキルレベルが高くないと無理らしい、と誰かが言ってた。ちなみに【鑑定】はLV5辺りからステータスを見れるようになる。私は9だからぎりぎり足りてるね。……ん? ぎりぎり?

それはさておき、二人のステータスご開帳~

【名前】キンブル

【種族】人族

【職業】Dランク冒険者

【年齢】31歳

HP 250/250

MP 12/12

STR 12

VIT 13

DEX 4

AGI 5

INT 4

MGC 4

CHA 3

LUK 5

【スキル】

強撃 LV1

【名前】ジギー

【種族】人族

【職業】Dランク冒険者

【年齢】30歳

HP 300/300

MP 10/10

STR 13(+4)

VIT 14

DEX 3

AGI 4

INT 4

MGC 4

CHA 3

LUK 4

【スキル】

剛力 LV2 STR+4

え、なにこれ。しょぼっ。

ええ? こんなものなの? ステータス自体は、なんていうか、うん。一部がお察しというか予想通りというか。でも真っ向から戦ったら私普通に負けるね。でもね、スキルレベル低っ! 年齢考えるとかなり長く冒険者やってるはずなんだけど、それでこれ? え、冒険者って……

いやいや! 多分この二人が特別アレなだけのはず! そうじゃないと私のあのスキル、いきなりLV5とか、ちょっと色々とショック。なるべく気にしないようにしてたのに!

余りに不安なので念のためニコルさんもこっそり見せて頂くことに。

【名前】ニコル

【種族】人族

【職業】商人

【年齢】29歳

HP 180/180

MP 50/50

STR 9(+2)

VIT 11

DEX 10

AGI 7

INT 15

MGC 8

CHA 9

LUK 9

【スキル】

生活魔法 LV3

目利き LV4

値切り LV3

交渉 LV5

サバイバル LV2

剛力 LV1 STR+2

耐性:空腹 LV1

耐性:疲労 LV1

あっれー? ニコルさんのほうが強くない? どういうこと?

謎が増えてしまった。年少組は見るのは止めておいた。一応ステータス覗き見るのはマナーが悪いとされているし。

と、そんなことしてるうちに今日の野営場所に着きましたよーっと。

水のお礼に相乗りさせてもらえることになったとは言え、流石に何も手伝わないなんて事はない。という訳でご飯の準備。前回の揉め事以降、食事当番は私になった。他のみんなは馬の世話とか野営の準備してるからね。このくらいはするよ。具材切って鍋にお湯だばー、野菜どーん、オーク肉どぼー。味の調整は最後。うん、こんなものでしょう。

割と大雑把に作ってる結構手抜き料理だけど、みんなには好評のようで。私的にはかなり手間隙省いてるんだけど他の人には凄い手際がいいように見えるみたい。まあ【料理】のスキル、LV7だしね……

ちなみに鍋はニコルさんの持ち物。私は小鍋しか持ってないので。食材を提供しようとオーク肉取り出したら目を丸くして驚いていたけれど、凄い喜ばれた。

あ、ちなみにオークはノルンが凄いがんばってやっと倒したってことにしておいた。面倒はいやだよ。

「うーん、今日もすっごくおいしい! ね! お父さん! おいしいね!」

「ああ、そうだな。美味しいな」

うん、相変わらずハイテンションだね、エルザちゃん。でもそれ、かなり手抜きしてるんだよ。そんなことわざわざ言わないけど。

複雑な気分で居るとロイド君がフォローを入れてくる。

「いや、本当に美味しいですよ、レンさん。凄い手際もいいし、今度教えてもらえませんか?」

ええ? それはちょっと面倒くさい……

とまあそんなかんじで食事が進んでいくとエルザちゃんが余計なことを言い出した。

「お姉ちゃん、なんでずっとフード被ってるの? そんなに美人さんなのに勿体ないよ!」

ぎゃー! 余計なことを! エルザちゃん、ココと同じで私よりも背が低いからフード被ってても顔が丸見えなのだ。でもね、エルザちゃん? わざわざ隠してるんだから色々と理由があるとは思わないかな? それと、そこまで美人さんじゃないよ?

「おやエルザ、お嬢さんは美人さんなのかい?」

「うん! すっごい美人! 綺麗で可愛い! なのにずっとフード被って隠してて、勿体無いよ! ね!」

いやいや、別にそんなことないからね?

「へえ、嬢ちゃんそうなのか。ちょっとフードとって顔見せてみろよ」

護衛の二人まで話に乗ってきた。ニヤニヤと下品な表情でこっちを見てる。あと私の胸も見すぎ。子供相手に! 変態か!

「いや、ちょっと色々とありまして……」

言葉を濁しつつなんとか回避できないか試みていたら、エルザちゃんが凶行に走った。

「えいっ」

「あっ」

私の隙をついてフード取ってくれた。ひぎゃああああああああ!

「これは……」

「……」

ニコルさん、これはって、なんですか? ロイド君も真っ赤な顔で黙ってこっちを見てるし。

「おいおい、マジか」

「ひゅー!」

馬鹿2人死ね。あと胸見すぎ。死ね。

っていうかなにこの反応。なんか想像してたのと違う。

「ね! 凄い美人さん! ね!」

エルザちゃんしつこい。でもここまで連呼してて、その上誰も否定しないって事は、もしかして私は本当に凄い美人さんなの? いや、整ってるとは思ってはいたけど、この反応を見る限り、かなり? ……ちょっとまって。それってまた別の厄介事の種になるんじゃ……?

そこまで思い至って慌ててフードを被り直した。

「あー! なんで隠しちゃうの!?」

待って待って待って待って待って! なんだか色々拙い気がする! 特に護衛2人の視線がかなりやばい。値踏みするような、なんというか……ねっとりとした目つきというか……あ、エロイこと考えてる目付きだわ、これ。キモッ!

と言うか、生理的な嫌悪感が凄い。私の中身おっさんだし、ノンケのおっさんがむさい野郎共に熱い視線向けられるとか、何の拷問? もう無理。色々無理。やっぱり男とそういうのはどう考えても無理。女として生きるのは無理だわ、私。

しっかし、そういう視線は直ぐ分かる、なんて良く聞いてたけど、本当にわかるものなんだなあ……

……そんな感じで微妙な雰囲気のまま食事が終わった。

「なあ、嬢ちゃん。この護衛の仕事終ったら俺達と組まないか?」

食事の後片付けをしていると、護衛の、キンブルのほうが声を掛けてきた。

「いくらテイマーでも女一人じゃ色々物騒だろ? 俺たちと一緒なら色々助けてやれるぞ?」

「そうそう、俺達こう見えてもCランク目前なんだぜ」

……色々、ね。胸を見ながらじゃなかったらもう少し説得力があったかもね。というかCランク目前? 本当に? あのステータスで?

「お気持ちは有り難いですけど、ご遠慮しておきます」

「おいおい、そんなこと言うなよ、な?」

「いえ、ご迷惑をおかけするわけにはいきませんので。お二人は討伐や護衛を主軸に依頼を受けていらっしゃるんですよね? 私まだ11歳ですから、討伐依頼は受けられません」

「「は!?」」

「「「11歳!?」」」

……そんなに驚くところかな、ここ。

ギルドの登録は10歳から出来る。それは冒険者ギルドも同様だ。但し、他のギルドと違って冒険者は命の危険がある依頼も少なくない。特に討伐系は魔物や魔獣と戦う文字通りの命がけだ。その為、冒険者ギルドでは新人や駆け出しの死亡率を下げるために討伐系の依頼は13歳以上でなければ受けられないと定められているのだ。13歳未満の仕事? 別に冒険者の仕事は魔物退治ばかりじゃない。街の雑用や薬草の採取も立派な仕事だし、他にも色々な仕事が沢山ある。報酬はそう多くはないが命の危険は少ない。

でも私はまだ11歳。討伐系の仕事は出来ない。そして13歳未満の冒険者を討伐に連れて行くことも禁止されている。破れば最悪の場合、ギルドを除名される。

つまりはそういうことだ。

と、いうのは建前。私はこんな連中と組たくない。どうせ酷いことするつもりでしょう! 薄い本みたいに!

「そういう訳ですので、他を当たってください」

何とか有耶無耶に出来たようで、今日はもう就寝することに。

ちなみに私は自分のテントで寝てる。なぜかエルザちゃんも一緒に。まあ、この子と一緒ならあの二人がなにかしてくるという事もないだろうから、いいんだけどね。

朝になって出発準備。もう少し寝たい。

あくびをかみ殺しながら用意をしてると誰かがこちらを見ながら呟いた。

「……11歳か」

うるせー!