軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

170 でも私よりやらかしてるっぽい人がここにいるよ

そうこうしてるとアリサさんとクロが帰ってきたので私の魔法について説明して情報共有しておく。ちなみにノルンとベルはまだ帰ってきてないけどね……2匹はベルの訓練って事で私が籠った後すぐくらいからずっと出かけてるらしい。

「いやー、レンさんの便利さは留まるところを知らないねー」

「アリサ、それもう私がやったから」

「あれー?」

うん、相変わらず2人は仲が良いね。まあいいんだけど。

ちなみにアリサさんのお月様の周期はリリーさんとほぼ同じらしい。

元々はかなり違ってたらしいんだけど、2人で冒険者を始めてから同じタイミングで祝福を受けたり効果が切れたりしているうちにだんだんとずれて行って、今ではほぼ同じタイミングになったそうだ。

なので、今現在のアリサさんも絶賛お月様である。まあアリサさんの方はリリーさんと違って症状がかなり軽いから、無理しなければ冒険者活動が出来るとかなんとか……逆に言えば無理は出来ないって事なんだけど。

だというのにアリサさんはクロと一緒に暇つぶしがてらの狩りに行っていたと言うんだから、ちょっと頭が痛くなる。大事になっても困るので軽く苦言を呈しておいた。ちなみに常習犯らしく、リリーさんはもう諦めてるらしい。

「いやー、そうはいうけど暇でねー? 無理が出来ないからジョージさんとも訓練できないし、かといって大人しくジッとしてるのもねー」

なるほど、これは止めるつもりない奴だ! 正に暖簾に腕押し……! リリーさんが諦めるのも納得の右から左……!

よし、それなら好きにするがいい!

「わかりました、それじゃあ自己責任で」

「あれー? いいのー?」

「ええ、好きにしてください。自己責任ですから」

うん、自己責任で好きにしていいよ。もう私は関与しない事にしたから、怪我しても治してあげない。

急に突き放しだした私の態度に何か思うところがあったのか、小声でリリーさんに話しかけるアリサさん。

「……リリー、レンさんなんだか怒ってないー?」

「……普通は怒るでしょ」

「……それはそうかもだけどー」

「……私は知らないよ、自業自得だよ」

「……今後はなるべく大人しくしておくようにするよー」

「……私に言われてもね」

「……うぐぅ」

反省でも何でも好きにしてくれー、私はもう知らん。

「あの、レンさん?」

「なんですか?」

「そのー、今後は気を付けますー……」

「そうですか」

「はいー……」

……仕方ないので、この件については今後を見て判断する事にしますかね……。

まあいいや、気を取り直して色々渡してしまおう。丁度全員そろってるし。

という事でお籠り中に作ったあれこれをみんなに渡していく。あ、野営用の小屋とかそこそこの大きさだから、外に出てやってるからね、一応。

「……離れていても会話が出来るんですか? これで?」

「あまり遠いと使えませんけどね」

「でもこの中継塔を使えば距離は伸びるんですよね?」

「中継塔を中心に半径1kmくらいですね」

「じゃあ直線に並べれば最大で約4Kmですか……うーん……」

通信機について説明したらリリーさん、腕を組んで考え込んでしまった。まあ色々な活用法思いつくだろうから、どうやって使うか考えてるんだろう、多分。

「この野営用の小屋便利だねー」

「中も凄い! ベッドふかふか!」

「本当に俺も貰っていいのか?」

順番にアリサさん、クロ、ジョージ爺さんの反応である。そりゃ便利使いする為に作ったからね、この野営小屋っていうか……うん、コンテナハウスって呼ぶことにしよう。

ちなみに爺さんには四畳半の方もあげたので2倍喜んでいた。狭い所では三畳の方を使うけど基本的には四畳半の方を使うつもりっぽい。うんうん、好きにしておくれ。なんて眺めてたら爺さんのコンテナハウスがにゅるりとどこかに消えてしまった。あー、これ【アイテムボックス】か。やっぱり持ってるよね、長生きしてるみたいだし。

なおこのコンテナハウス、各個人の寝床とは別にキッチン小屋と風呂場小屋とトイレ小屋も用意してあったりする。流石にこっちは爺さんの分は無いけど。

「しかし嬢ちゃん、そっちの離れても会話できるやつはもっと作らんのか?」

「あー……それ、実はワイバーンの魔石使ってるんです。距離を延ばす塔の方も一つ作るのに三つも使うので、今後も色々と作りたいものとか出て来るでしょうし、折角の高品質の魔石を使いすぎる訳にもいかないといいますか……」

「……なるほど、そういう事か」

ワイバーンの魔石なんて普通はこんなに沢山まとめて手に入らないものだからねえ……。また次にここに来るのはいつになる事やら。

「ふむ……そういう事ならいい事を教えてやろう」

「いいこと? ですか?」

「ああ。高品質の魔石が欲しいんだろう?」

「ええ、まあ、そうですね」

「よし、じゃあまずこれを見ろ」

そういって手のひらを広げて見せてくる爺さん。

「手のひら?」

「うん。で、これをこうする」

そういうとゆっくりと手を握りこんで、握り拳を作った。そしてそのまま私の方に突き出してくる。

「この拳の上に手を乗せろ」

「? はい」

言われるままに爺さんの握った拳にぺたりと自分の手を被せる。……なんだこれ?

「よし、じゃあ魔力の流れをしっかりと感じ取れ、いいな?」

「魔力の流れですか? ええと、【魔力感知】を使う感じでいいですか?」

「ああ、それでいい」

なんかよくわからないけど、とにかく言われたようにやってみるしかなさそうなのでやってみる事にする。

「……どうぞ」

「じゃあ始めるぞ」

そのままじっとしていると爺さんの握り拳に向かって爺さんの身体中から魔力が集まって来る。そのまま観察していると、集まった魔力が爺さんの拳の中で不思議な動きをして……? ……あれ、これって魔力を圧縮してる? という事は【魔力圧縮】? いやでも普通に【魔力圧縮】を使うのとは動きが全然違う。

そのまましばらく魔力の流れを感じ取り続けていると、徐々に魔力の動きが無くなっていく。

「……よし、こんなもんだろう。もう手を放していいぞ」

「あ、はい」

言われるままに私が手を離すと、爺さんは握りこんでいた拳をゆっくりと開いていく。そうして開かれた手のひらの中にあったのは……。

「……魔石?」

「これが【魔石生成】だ。魔力の動きは覚えたな? やってみろ」

え? え? ちょっと待って、魔石って作れるの? え、マジで?

「どうした? 早くやってみろ」

「ちょっと待ってください、魔石って作れるんですか?」

「誰でもという訳にはいかないが、出来る奴は出来る。俺が見たところ、嬢ちゃんは多分出来ると思う。そっちの3人は無理だろう、俺の勘だがな」

「そんな適当な……」

「いいからほら、早くやってみろ」

「はわ……ちょ、ちょっと……」

「ほれほれ」

……とまあ急かされながら試してみたところ、作れちゃったんだよ、魔石。えー、マジでー?

だけどステータスにもしっかりと【魔石生成】の文字が。マジかー……しかも固有スキルの並びのところにあったので、そういうレア度のスキルだって言う事実にまた頭が痛くなってくる。出来る奴は出来るって、そういう意味だったかー……。

「生成する時に込める魔力で属性はいくらでも変えられる。ちなみに俺がさっき作ったこれは全属性だな」

「なんだかもう、滅茶苦茶ですね……」

「そうは言うが覚えておいて損はないぞ? 嬢ちゃんの魔力強度なら品質は間違いなく高品質以上、魔獣で言えばワイバーンよりも上の筈だ。問題があるとすればかなりの魔力を消耗する事だが、でかいのが欲しい時も別に一度でやる必要はない。自分で生成した魔石なら後からいくらでも大きく出来るからな、暇な時に余った魔力を無理しない程度に消費して行けばいい。寝る前とかな」

この【魔石生成】で作った魔石の利点はいくつかあって、一つは今爺さんが言ったように自分で作ったものは時間を掛ければいくらでも育てて大きく出来る事。もう一つは製作者の魔力に非常によく馴染む為、私のような魔道具や魔法の装備を作る生産者にはとても使いやすい高品質の素材として使える事だ。

ついでに言えば寝る前に【魔石生成】を行って毎日魔力を使う事で、魔力量の成長も望めるらしい。

とは言え本当に大量の魔力を使うので、かなりきつい。私の魔力3000超えてるのに、今この小指の先の直径1~2cmサイズの魔石を作っただけでもう魔力が200くらいしか残ってないというね……。

「嬢ちゃん達もそろそろここを立つ頃だろう? 俺からの最後の餞別というやつだ」

いやうん、凄くありがたいけどね? 時間さえかければいくらでも高品質以上の魔石を入手し放題っていうのは正直頭おかしい話だし。だけどこれは流石にやりすぎじゃないですかね? いや、確かに覚えておいて損はないけど、これはなあ……?

「細かい事は気にするな!」

あ、はい。そうっすね。

……ちなみに爺さんの勘の通り、リリーさん達は作れませんでしたとさ。

「うー……レンちゃ、わたし全然出来ない……」

「【魔石生成】なんてスキル、聞いた事ないですよぅ……」

「リリー、クロちゃんも、もう忘れようー。これは知らない方がいいことだよ、きっとー」

「そうだねアリサ、もう忘れよう……私達は何も見てもいないし聞いてもいない、何も知らなかった……うん、これでよし!」

「うー!」

「おー!」

うーん、前向きだね、三人共。

「そうじゃないとレンさんとは付き合っていけませんよ」

……いや、なんかもうほんとすんません。

とまあ、そんなトラブルのようなそうでもないような一幕があったりなかったり。

その後の話し合いで、今使ってしまった魔力の回復待ちとかこの温泉地で好き放題やった後片付けとか、そういった諸々を済ませてから出発しようという事で、ここを立つのはリリーさんが回復した翌日の朝という事に決まった。こればっかりはね……怪我でも病気でもないから回復魔法もポーションも効かないのだ。

そして私の魔力の回復はポーションなどを使わずに自然回復待ちする事になったので、私がする事と言えばのんびりと温泉に浸かることくらいだったりする。

そんな訳なのでみんな揃ってゆったり温泉タイムだ。

「ふぃー……」

うーん、いい湯だなあ……やはりここに魔法の扉を置いて行くべきか、非常に悩ましい。

なんて考えてたらクロがじーっとこっちを見ていた。そういえばここに来てからというもの、一緒に温泉に浸かってるとこうして私の方を見てる事があるなあ?

「クロ、最近お風呂の時によく見てきますけど、私に何か気になる事でも?」

「うん」

一つ頷くと私の正面に寄ってきて手を伸ばして来て……。

「浮いてる」

私の胸に下から手を当てて上下にふよふよさせながらそんな事を宣った。ああー……。

「おお……ぽよんぽよん」

「クロちゃん! そういう事したり言ったりしちゃだめでしょ!」

「なんで? リリは浮いてない、アリサは少し浮いてる、わたしぺったんこ……」

「だから! 言っちゃダメだって!」

「なんで?」

「いや、ほら……そっちにジョージさんがいるでしょ? 他の人がいる時はその、ごにょごにょ……」

「じゃあみんなしかいない時ならいい?」

「いや、それは、うーん……って、レンさんもクロちゃんのそれ、止めさせてください!」

あー、実はこの会話の最中、クロってずっと私のおっぱいぽよぽよしてるんだよね、これが。ふとジョージ爺さんの方チラ見してみたら明後日の方に顔向けて知らない振りしてるし……もうなんだ、面倒くさいから好きにしてくれぃ。

「リリーさんにお任せします」

「もー! なんで私がこんな……!」

なんかプリプリ怒りながらクロの事を抱えて私から離れていくリリーさんであった。

「リリ、浮かないから悔しい?」

「クロちゃん!?」

クロ、それは言っちゃダメなヤツ……!

そうして風呂上りの夕食後、クロに対してリリーさんの怒りの情操教育が始まったのであった……。がんばれリリーさん! それはそうと今日のご飯も美味しかったね!

ん? ご飯の準備? 相変わらずリリーさんがやってるよ、と思わせて今は体調不良なのでアリサさんが代わりにやってたりする。献立は基本的にごった煮スープと白米、あと焼いた肉。ちなみにアリサさんが当番の時の肉担当はクロらしい。まだクロ1人に全部は任せられないから、少しずつ手伝わせてるんだそうな。決して楽したいからではないとはアリサさんの弁。本当かなぁ?

とまあそんなかんじで数日のんびり過ごしているうちにリリーさんの体調も落ち着いたので、いよいよここから移動する事になったのだった。