軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

151 新しい仲間が増えるみたいです?

リューの話はまだ続いている。

リューがケインと話をした翌日。

ギムさんの所へ行って話を詰めて、パーティーでのサポーターとしての活動は翌々日から開始したらしい。

全員で行っても無駄に人数が多くなって無駄が多くなる為、基本的に3人ずつ同行する形に落ち着いたとの事。

組み合わせはマリクル+アルル+クロorリコと、トリエラ+リュー+クロorリコ。必ず男子1人が居て、リーダーがいて、最後の枠はクロかリコが入る形だ。

とは言ってもいきなり遠征する訳ではなく基本的に日帰り、遠出する場合でも近場で2~3日から4~5日で帰ってくる距離で活動していたという話だった。

「それで、クロの話はケインが出て行ってしばらく経ってからかな」

ケインの根回しでギムさんのパーティーでサポーターとして活動するようになってからしばらく経った頃、クロがこっそりと家から抜け出そうとしてる所をたまたまリューが見つけたらしい。正確には家から抜け出してそのままどこかに行こうとしてるところに出くわした、との事。

「なんかクロの動きが妙に周りを警戒してる感じでさ……これはなにか怪しいなって思って、声を掛けたらなんかすげーびっくりして飛び上がってた」

何をしてたのか、どこかに行くのか、そう何度か問いかけてもクロはオドオドキョロキョロしながらしどろもどろと落ち着かない様子で。

それで少し強めの口調で問い詰めたところ、耳を伏せて諦めた様子で白状したらしい。

「『レンちゃの所に行く』って」

以前、これから先どうしたいのかとトリエラ達に聞いた時、クロは私と一緒に行きたい、と言っていた事を思い出した。

クロはずっと私の所に行きたいと、本気で考えていたらしい。だけど今一緒にいるトリエラ達と離れるのも、それはそれで憚られる。それに誰もこの群れから離れて行こうとしない。

猫獣人という種族は基本的に個人主義ではあるものの、それでもある程度の群れを作って生活する種族だ。それなりの理由がなければおいそれと群れから離れたりはしないのだという。だからクロもパーティーから抜けたい旨を言い出せず、我慢していたらしい。

それにクロはこの群れの中での自分の役割というものを理解していたし、自分が居なくなる事の影響もしっかりと理解していた。

だが、ここでケインが群れから出て行った。説得に耳も貸さず、あまつさえ群れの一部を連れて行ってしまった。ここでクロは、もし自分も群れから離れたいなら、それは別に構わないのだと判断したらしい。

とは言え 私(レンちゃ) の事は好きだけど、トリエラ達に対して情がないわけではなく、むしろ 私(レンちゃ) の次には好きだ。自分の気持ちを伝えて泣かれたり怒られたりするのは嫌だったクロはこっそり抜け出す事にした。……一応、置手紙は残していたとの事だけどね。

そんなクロの話を聞いたリューは呆れと怒りとが同程度には湧いたそうだ。かといって、かなりしょんぼりした様子のクロに対してここで叱りつけてもそれはそれでどうなのか、と思ったリューは宥めながら説得する事にしたらしい。

『クロの気持ちは分かった。だけど、黙って出ていくのはダメだ。ちゃんと皆に自分の気持ちを話して、了解を得ないと絶対後で後悔すると思う。オレも一緒に皆の事説得するからさ、だから一度帰ろう』

と、こんな感じの事を言ったらしい。

「リュー、一緒に謝ってくれて、色々助けてくれた」

「そうなんですか……よかったですね、クロ。リューも一緒に頑張ったんですね」

「いや、それは仲間の事だし、当然だろ?」

ちょっと照れた感じでそっぽを向くリュー。

うーん、なんだかリューはもう以前とは別人みたいに成長してるよね。本当に若さって凄い。

そんなこんなで家に戻った2人はしっかりとクロの想いを伝えて説得し、全員からの理解を得た上でパーティーから離れる了承を得た。

ちなみに一番ごねると思われたリコは特にごねたり騒いだりする事もなく、むしろクロの気持ちに理解を示した上で後押しまでしてくれたとの事。

『私も一緒に行きたいけど、今の私じゃ足をひっぱるだけで邪魔になっちゃうから』と、そう言っていたそうだ。ついでに『私の分もレンちゃんの傍にいてあげてね』とかなんとか言ってたらしい。

いやいや、私だって子供じゃないんだから、なにそれ?

その後はまたしてもギムさんに相談し、基本的に遠征にはクロが付いていく事と、場合によってはその遠征先でクロが抜ける事の了解を得たりと色々大変だったっぽい。

そうして活動を続けていくうちにギムさんが今回のゴブリン駆除の特別依頼を受けてきた。ギムさんがギルドで色々と話を聞いたりした所、もしかするとこの依頼元の町に 私(レン) がいるかもしれない、という話も持って。

「それで実際に来てみたら本当にレンが居るし、ギムさんってマジですげーよな!」

それでさっきのクロの私と一緒に行く、に繋がると。なるほどなー。

「あ、一応先に言っておくけど、無理なら無理で別に大丈夫だから! レンにも都合があるし、駄目だった場合は今回は諦めて、また出直してくるって事でクロも納得してるから。ほら、年齢の問題とかあるから、受けられる依頼内容の幅とかに影響でるってギムさんにも言われてさー」

おー、そこまでちゃんと話し合ってるのね。

「話は分かりました。私個人としてはクロがパーティーに加わるのは別に構いません。ただ、ウチのリーダーは私ではないので、私の一存で勝手に決めると言う訳には……」

ちらりと横目で台所の方を見やると、やや下の方に視線を向けながらリリーさんが腕を組んで少し考え込んでる様子だった。あ、目が合った。

「……」

え、何? なんで黙ってこっち見てるの? って、次はクロの事を見て……また少し考え込んだかと思ったら、その次は横のアリサさんの方に顔を向けた。

「任せるよー」

「そう? それなら……うん」

なにこのツーと言ったらカーって感じのやり取り。愛? 愛なの? あ、すみません。腐れ縁ですね、ハイ。

……そんなに睨まなくてもいいじゃん。

「コホン。それでは気を取り直して……えーと、クロさん、でしたか? それともクロちゃん?」

「どっちでも大丈夫」

「そうですか、じゃあクロちゃんで。そうですね……クロちゃん、貴女は何ができますか? 得意な事は?」

「うー?」

「あー……すみません、オレが代わりに答えますんで、いいですか?」

「構いませんよ、じゃあちょっとこっちで話を……」

……リューが台所の方に連れていかれてしまった。って言うか、クロ……自分の事なのに説明できないのは、流石にちょっとどうなの……? って言うかいまだにしがみ付いてるのもどうなの?

「クロー、こっち来てー」

「むー」

「『むー』じゃなくて。自分の事だろー? ほら、早く! ……レンはいなくなったりしないから、ほら」

「うー……わかった……」

あら、クロも行っちゃった。それにしてもリュー、気分屋で扱いづらいクロの事をよくもまああそこまでうまく動かせるよね。流石に私でもあそこまで上手く扱うのは難しいのに……これもリューの成長なのかな? 違う?

台所の方でリリーさん・リュー・クロによる質疑応答のような面接のような三者面談が始まると、アリサさんが晩ご飯を運んできた。パン、ポテサラ、焼いたオーク肉! あと野菜スープ。うん、美味しそう。

料理を運び終わるとアリサさんはそのまま空いた席の一つに座った。

「アリサさん、さっきのリリーさんとのやり取りってなんだったんです? 任せるって?」

「あー、私はどっちでもいいから、後の判断は全部リリーに任せる、って意味だよー」

「なるほど?」

「私達の間では難しい事を考えるのは昔からリリーの担当だったからねー、後はリリーに任せておけば大丈夫だよー」

「アリサさんはそれでいいんですか?」

「いいのいいのー。でも一応言っておくと私も考えてない訳ではないからねー?」

「……そうなんですか?」

「……その間は流石にちょっと傷つくものがあるねー……。でもそうだねー、私の考えとしては仲間に入れてもいいかなーと思うよー?」

「そうなんですか?」

「うんー。理由としてはいくつかあるけどー、先ずレンさんの傍に信用出来る人を置けるっていうのがひとつー、次に単純に人数が増えれば出来ることが増えるって言うのがひとつー、でー、あの子、猫獣人だし、装備とか見た感じだとスカウト系だよねー? ってなると、索敵とかを任せられる仲間が増えるって言うのも大きいねー」

……お、おう。想像以上にしっかり考えてるって言うか、観察眼とかもちゃんとしてたのね……。いや、一緒に活動してきて分かってはいたんだけど、こうしてちゃんと口にされるとより実感が湧くというかね?

「犬猫系の獣人、特に猫獣人のスカウトは気配を消すのもちょっと次元が違うって聞くからねー。他にもいくつか理由はあるけど、大きいのだとこの三つかなー」

「……」

「うーん、その驚いた顔もちょっと傷つくよー……。ちなみにリリーも同じくらいの事は普通に考えてると思うよー? だからあの面談はクロちゃんの能力と意思の確認くらいの意味だと思うなー」

「そうなんですね……」

「そうなんだよー。あ、終わったみたいだねー」

あ、リリーさん達がこっちに来た。

「あれ? まだ食べてなかったんですか?」

「え? 皆で一緒に食べますよね?」

先に食べてても良かったけど、2人だけで食べるのもちょっと味気ないしね。

「あー、そうですね、それじゃ続きは食べながらにしましょうか」

「そうしましょう」

「そうしよー!」

と言う訳で話の続きは食事しながらという事になった。

結論から言うと、リリーさんはクロの加入は賛成。主な理由はアリサさんとほぼ同じ。

現時点でもスカウトの役割はノルンとベルが担ってはいるんだけど、2匹の言葉を理解できるのが私だけなのでどうしても役割配置の自由度が減るという問題があるのだ。でもここにクロが加わると私を経由しなくても情報のやり取りができるようになる、という事だそうで。なるほどなー。

他にも二手に分かれて活動する事も視野に入れているとの事だった。そもそも今の3人だと私ひとりが制限年齢未満なので、討伐系を受けているとどうしても変な目で見てくる連中もいるのだ。他にもアリサさんの実戦経験を積む意味でも敢えて2人で動く方がいい場合もあるとの事。まあ、他にも色々あるらしいんだけど、ここでは割愛。

「それじゃクロは加入決定、という事ですか?」

「そうなりますね。ほら、クロちゃん」

「レンちゃ、よろしく!」

「えっと、よろしく…?」

という事で新しい仲間が増えたよ、やったね?

「よかったな、クロ。迷惑かけないように頑張れよ!」

「頑張る! リューも、色々ありがと!」

「おう! へへっ」

直球でお礼を言われて照れるリュー。イイハナシダナー。

「これで二手に分かれて活動したりも出来るようになりましたね。クラン内での編成としては基本的に私とアリサ、レンさん達とクロちゃん。あと、場合によってはノルンさんとベルちゃんも別行動がとれるようになりますし、運用の幅がかなり広がりますね」

「ああ、なるほど……」

リリーさん、色々考えてくれてたんだなあ。

「……そうなると分隊名というか、クラン所属の各パーティー名も考えないといけませんね」

……そう来るか。

「名前……格好良くて可愛い名前……」

ああ! リリーさんがまたドツボに!