軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

128 ひとり反省会と旅立ち

と言う訳で翌日であります。

二人はもうお仕事にお出かけ。人は働かねばご飯が食べられないのである……! いや、実家だしそんなにあくせくとしなくてもいいと思うんだけど、それはそれ、これはこれ、らしい。真面目だ。

ちなみに今の私は朝御飯を頂いた後にちょっと庭を散歩させてもらって、家の外に問題なく出られるかどうかを確認した後に、間借りしてる部屋へと戻ってきた所。

うん、外出は問題無かった。これで悪い意味での引き篭もりからは脱出できる。

さて、最大の問題が解決した所で今日は一人反省会であります。ってなわけでベッドの上で胡坐なぞかいて座り込んでみる。ついでに腕も組んでみようか。あとしかめっ面してみるのもいいね、深刻っぽく見えるかもしれないし。

……と、おどけるのはここ迄。ちゃんと真面目に考えないと。

まずは今回暴漢に襲われた件について。まあ、ぶっちゃけて言っちゃうと危機感が足りてなかったと思う。あとちゃんと出来てたようで全然警戒心も足りてなかった。

落ち込んでた時は全部ベクターさんの所為、なんて言ってみたものの、私自身がこの辺りしっかりしてなかったのも非常にダメダメだったよね。

いやまあ、だからと言って全部自業自得だったなんて言うつもりはないけど。当然ベクターさんにも不備はあった。けど、親方から護衛が付いてるという話を聞いた後にベクターさんに連絡をとってもらって確認する位の事はしておくべきだった。これは完全に私のミス。

でも何より問題だったのは私自身の警戒心の薄さと危機感不足だったと思う。原因は……慢心かな、やっぱり。

前世の記憶を思い出してからはある程度自重を放り投げつつも自分の安全を最優先にして行動していたつもりでは居たし、なんだかんだといって問題は回避できていた。それが無意識の慢心に繋がって、どんどん行動に隙が増えてしまった原因じゃないかなあ、と。

曲がりなりにもそれなりに問題を回避してしまっていたと言うか、問題に直面してこなかったからと言うか……お陰で今回危機的状況に陥ってしまった訳だけど。

とは言え今回は最悪の状況は避けられたし、こうして反省する機会にも恵まれたのは非常に有り難い。怪我の功名とでも思っておこう……幾らなんでも二度目は無いだろうし、本当に運がよかった。LUK値低いのに良く助かったな、とは思うけど。

……さっき確認したらとうとうLUK1になってたけどな! 畜生!

気を取り直して、まず大前提としては今回の事を踏まえて、今後の行動は一層慎重にする事。そして一人で行動しない事。

前者は、流石にあれだけ危ない目に遭った以上はいくら私でもちゃんとすると思いたい。

後者に関しては、野外では当面の間はノルンかベルのどちらかと必ず一緒に行動する事。これは今考えている対策が取れるまでは必須。

街中での行動に関しては、リリーさん、アリサさんとパーティーを組む事になったので安全は上がる筈。とは言えベルを連れて歩くのは必須だけど。ノルンは大きすぎて悪目立ちするからね……ちらりと横目でノルンの方を見つつ謝罪しておく。マジでごめん。

野外の街道等の移動には基本馬車を使用する。これに関しては街の出入の際も仕舞わず、文字通りの常時使用。入街税をケチるよりも身の安全の方が大切だからね。御者に関しては街の外ではゴーレムを使うけど、街中ではアリサさんかリリーさんに頑張ってもらう感じかな。馬ゴーレムに関しては諦める。

出来ればもう何人か信頼できる仲間が欲しいなあ……トリエラ達に打診してみようかな? ……でもあっちも大変だろうし、今のところ上手く回ってるみたいだし……んー、これは無しか。それに仲間を増やすとなるとリリーさん達に確認しないと駄目だし、後で相談かな。

そして、一旦王都からは出る方向で。正直言って人が多い所は怖い。だから王都を出てハルーラ辺りの田舎で暫くまったりと過ごしたい。

さて、行動方針はこんな所かな。まだまだ決めないといけない事や気をつけないといけないことは沢山有るけど、一応は、と言う事で。

次は諸々の対策その一、毒。

これに関しては、実は現状でも問題がなくなり始めてたりする。いや、襲われた翌日にステータスを見てみたら毒耐性スキル増えてたんだよね、LV1で。

で、翌日から不眠症っぽくなっちゃって、寝る時に睡眠ポーション使う様になったでしょ? どうにもそれが毒判定だったみたいで……今、LV3まで上がってるんだよ。

つまり、安全を確保した状態で毒判定のポーションとかを飲むようにしていけば自然とレベルが上がる、と言う訳でして。なのでこれからはLV10を目指してちまちまと服毒します。

……我ながら頭おかしいな。

ちなみにアルコールも毒判定らしい。お酒スキーなのに酔えないとか……いや、幾らでも飲めると考えると有りなのか? いや、でも……うーん。

一応意識してスキル効果を弱めたりも出来るみたいなので、この辺りの事は臨機応変に愉しもう。

対策その二、危険回避。これに関しては警戒系や探知系の上位スキルの習得と強化を目標とする。

……と、言いつつこっちも既にスキルが増えてたんだけどね。毒耐性同様に、翌日に。

増えた警戒系のスキルは【危険察知】と【危険回避】でどちらもLV1。探知系は【気配探知】のLV1。後は【隠身】の上位の【気配遮断】でこれもLV1。うん、欲しかった所が全部増えてる感じ。

あ、あと【隠身】下位の【忍び足】もおまけの様に増えてたかな。こっちは初っ端からLV10だったけど。まあ【隠身】が既に10だから、後から覚えた下位スキルがカンストしててもおかしくは無いんだろう、多分。

何はともあれ欲しかったスキルは一通り揃ってるみたいなので、後はレベルを上げるだけ、と。うん、楽でいいな。

ちなみに【危険察知】は、危険を感知するとなんかきゅぴーん! って来るスキル。【危険回避】の方は勝手に体が動いて回避したりするらしい。なんだか逆手に取られて逆にピンチになったりしそうだな、こっちは……ちょっと気をつけておこう。

【気配探知】は生き物の気配に特化した【探知】、と言えばいいのかな? 特化してる分、効果は非常に高いらしい。【気配遮断】は文字通りの効果。隠れてのスナイプが捗るね。

新しく増えた補助系スキルはこの位かな?

……実は一つ、大問題が有るんだけどね……いや、【魔性】スキルのLVが1上がって2になってましてね。

襲ってきた連中に顔を見られた時、どうにも誘惑状態にしてしまったみたいで、経験値が入ったっぽいんだよね……取り敢えず常時【偽装】と【隠蔽】を全開で使うようにして、眼鏡の【偽装】と【隠蔽】の付与のレベルも上げて……これでなんとかなって欲しい。あ、念の為【気配遮断】も付けておこうかな。

そうそう、【偽装】と【隠蔽】はそれぞれLV1ずつ上がって7になってました。一応これも報告。

対策その三、戦闘力強化。これ大事。

先ずノルンとベルの強化。と言うか、これは私のテイム系スキルの強化かな。とは言ってもこっちも何時の間にやら増えてたんだけど、【従魔同調】と【従魔強化】と言うのが増えた。

【従魔同調】は文字通り従魔の五感と同調して視覚や聴覚を借りたりするスキル。偵察に出た従魔の情報を自分で感じ取れるのは地味に便利だと思う。

【従魔強化】は従えた従魔の全ステータスを上昇させる強力なスキル。私は今LV1なので上昇率は10%。ノルンは元からステータスが高いから、10%上昇ってかなり凶悪な気がする。

後、衣類に付着してた残留毒物を【解析】してたらいつの間にか【毒薬調合】とか言う物騒なスキルが増えてた。これは作成した毒物の効果を高めたり出来る危険なスキルだったりする。正直、使いどころに困る……逆に効果を弱めたりも出来るみたいなので、毒耐性のレベルを上げるのに活用する感じ?

そうそう、スキルが一気に増えた事にも驚いたけど、もう一つ驚いたのは魔力系のステータスが急増した事。元々最大MPは2100あって、その時点でもリリーさんの十倍以上だったりしたんだけど、今はなんと3600。一気に1500も増えて仰天。更にMGCも一気に200上昇して、910に。とうとう四桁に手が届く所に……

うーん、スキルが増えたのは何となく、危機的状況を脱したのが原因じゃないかと思ってるんだけど、MPとMGCに関してはマジで意味が分からん。

前もピンチ切り抜けたりした時にスキルが増えたり一気にLV上がってた節があったんだけど……こっちは本当に何でだろう? うーむ……一応頭の片隅にでも覚えておいて、そのうち調べてみよう。

対策その四、装備強化。これが最重要項目。

私自身の近接戦闘能力の強化は諦めた。運動神経だとか戦闘センスだとか、そう言うのが完全に無いと自覚しました。なので、その辺りを補う装備を作ろうと思います。端的には防具。それも私が扱える防具。

とは言え私は見ての通り小柄で非力。多分だけど……成長してもこれ以上はあんまり変わらないんじゃないかと、諦めの境地でもあったりするのです。うん、背はもう諦めた。

体格的体力的に重装系の鎧は無理。【重量軽減】の付与で何とかするにしても動きを阻害したら何の意味も無くなる。私、一応素早さは高い方だから、そっちに影響でるとあんまり宜しくない。

だからと言って私に使える鎧が無い訳ではないのだ! 元々構想を練っていたものを予定を繰り上げて造る事にしました!

それは、乗り込み式のゴーレムアーマーである。即ち人型機動兵器、ぶっちゃけロボットとも言う。

うん、前々から言ってた作りたいと思ってたものその二だったりするんだけどね。

尚、作りたいものその一は精巧な自立稼働型のアンドロイド。こっちは【オートマタ作成】スキルのレベル上げていけば普通に造れる気がするので、追々。

ちなみに作りたいものは今の所その三まであったりする。そっちはまだ内緒。

え? 何でロボットなのか? そりゃあ、前世の私のお仕事がそっち関係だったからだよ。人型ロボットの兵器転用とかそう言った感じのお仕事。詳細は省くけどね。

詳しく知りたい? イヤだよ、面倒臭い。もう生まれ変わって別人なんだから、なんだっていいじゃない? 知識は便利だから活用するけど。

で、ゴーレムアーマーの繰り上げ建造だけど……本当はもっとスキルとか素材とか揃ってから造る予定だったんだけどねえ……野外活動中にノルンとベルを私の護衛として拘束しっぱなしというのも、二匹の成長にはあんまり宜しくないから、已む無し。

仕様の詳細は追々決めるとして、取り敢えず決める事はこんな所でいいかな?

色々と反省したり対策を練ったりした後は数日かけて色々と準備。主に食料の買い込みだとか、色々な資材やら素材やら買い集めたりとか。後、商業ギルドでお金をおろしたり? うん、また凄い金額増えてたよ……

ついでにアルノー工房に行って挨拶したり、親方に頼んで卸業者の所に連れて行ってもらって、色々な鋼材大量に購入したりもしておいた。ゴーレムアーマーを造るとなると鋼材はどれだけあっても困らないのだ! 最低限、搭乗部周りは総ミスリル製にしたいので、ありったけのミスリルを購入して驚かれはしたけど、仕方ないのである。目立たないようにするって言ってたって? いや、これは流石にまだ投資の範疇だと思う、多分。

そんな感じで色々な準備に忙しくしている内にあっという間に出発の日になりましたとさ。

そして出発当日。

と言うか、既に城門の外に出てたりするんだけど……何故かお見送りの方々が多数。

トリエラ達は数日前に挨拶しておいたのに居るし、それに併せてかシェリルさん姉妹も居る。後はギムさん達のパーティーも居るし……ちなみに工房の人達は居なかった。流石にお仕事が忙しかったみたい。

そういった面々と改めて挨拶を済ませると、最後の相手が登場。なんとベクターさんである。態々来たのか……暇なの? ちゃんとお仕事しなよ。

尚、ベクターさんパーティーの人とは挨拶は無し。別に親しい訳でもないし、顔見知り程度だし。ニールに絡まれても面倒だし、何も問題は無い。

「なにも王都を出る必要は無いんじゃないかい?」

「いえ、一度切り替えようと思いまして」

「なるほど……そう言うのであれば、暫く別の所で活動するのは確かに有りだね」

「はい……ベクターさんには色々としてもらったのに、すみません」

色々と反省したのでベクターさんにもそれなりに対応しないとね、面倒だけど。私も悪かった事だし、仕方ない。

「いや、あの件に関しては、僕も連絡不足が悪かった訳だしね……こちらこそ申し訳ない事になってしまったと……」

「あの件に関しては私の危機感が足りてなかったのも大きいと思いますので、そんなに謝らないで下さい」

「……そう言って貰えると、少し助かるかな」

「いえ、孤児上がりの癖に調子に乗っていた私にも問題が有ったと思います」

さて、この辺りでちょっと匂わせておこう。

「……君は、孤児だったのかい?」

「ええ、まあ……孤児も、色々大変なんです。生活とか、色々」

「そう、だろうね……」

「はい……孤児院なんて何処も似たようなものでしょうけど、私の所は個人経営と言うかなんと言うか……出資者が居るので、そちらの意向で色々と……国営だとまた違うのかもしれませんけどね」

「出資者の意向? ……なにかあったのかい?」

「さあ?」

にっこり笑顔で誤魔化す。これで何か思い至って調べたりとかしてくれれば儲け物かなーって、ね。もしこれで仮に問題を解決してくれたとしても、こちらからお願いした訳じゃないので貸し借りは無し、なんてずるい事は考えてないよ? まあこっちも大分貸してるから、それでチャラにして貰えるとありがたいかな、とは思うけど。

ここで色々明言しないのは、この場にトリエラ達も居るからだったりもするし、仮にベクターさんにしっかり頼んだとしても上手く行くとは思っても居ないからだったりもする。上手く行けばいいなあ、って程度の保険かな。もし今度ベクターさんに会った時に何か情報でも貰えたらラッキー?

私の意味深な台詞を聞いてベクターさんは少し考え込むような顔をしていたけど、直ぐにいつものイケメンスマイルに戻ってしまった。相変わらず胡散臭い笑顔だこと。

「レンさん、そろそろ行きましょう」

「あ、はい」

いいタイミングでリリーさんが声を掛けてきたので、最後に軽く会釈して馬車に乗り込み、出発。

本日も晴天、良い旅立ち日和。さて、これからどんな事が起きるかな?