軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

マッチ

王国軍が戦闘を始めた頃、敵陣から少し離れたテントの陰に、4人の人影があった。

「とりあえず敵1人殺して、装備を奪って着替えるから、ちょっと行ってくる。3人はここで待機な」

パトリックはそう言って、普通に歩き出した。

巡回の兵もなく、普通に1人拘束し、首にナイフを突き刺し息の根を止めると、テントの陰に戻ってくるパトリック。

「よし、こいつの装備外してくれ」

パトリックに言われて、ミルコが外しだすと、パトリックは自分の革鎧を外し出した。

王国軍と領軍とでは、若干鎧の形状が違う。

特に違うのは、胸当てにある焼印だ。

王国軍は、国の紋章をモチーフにしている。

領軍は、その領地の領主の家紋を簡略化した焼印である。

帝国軍は、帝国の紋章だ。

パトリックは一応見つかった時の為に鎧を変えたのだ。

ウエスティン領軍の鎧を着込んで、

「じゃあ行ってくる。三人は見つからないように、走竜の所で待ってて」

軽く言い、テントの陰から出たパトリック。

何人かと行き違うが、誰もパトリックを不審に思わない。

いや、パトリックを認識できているかも怪しい。

皆さんの知り合いに、ものすごく陰の薄い人はいないだろうか?

その場にいるのに、何故か声を出したら驚かれたり、みんなに配るはずの物が、その人にだけ配られなかったりする人が、いないだろうか?

見ても意識に残らない人。

そんな人いるよね?

まあ、パトリックはそれに輪をかけて凄まじいのだが。

「ここかな?」

荷車が行き交う場所から、食料らしき物を運んできた荷車の、来た方向を予想し、そちらにあるテントを目の前にして、パトリックは呟いた。

中に入ると、樽や袋がかなり置いてある。

小麦と干し肉、ドライフルーツのようだ。

パトリックは、小樽に容れて持ってきた油を、小麦の袋にかけてまわる。

そして、この世界の人族御用達、火を付ける道具であるマッチに(ライターなどもちろんないし、庶民は火打ち石、少し余裕がある者は、マッチを使っている。)火をつけ、それで油のしみた袋に放り投げた。