軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ややこしい

ワイリー子爵領。

東にある領地で、ワイリー男爵の実家である。

東の田舎領地だが、それなりに潤っている領地であり、平和な領地である。

その平和な田舎領地がその日、混乱と恐怖に襲われた。

空飛ぶ漆黒の翼竜。

ワイリー子爵家の者たちは、それがパトリック・フォン・スネークスの使役獣だと知っている。

だが、領民たちは知らない。

逃げる領民、騒ぐ家畜。

漆黒の翼竜がワイリー子爵の屋敷に目掛けて、急降下していく。

ワイリー子爵の屋敷に、まるで襲いかかるように見えたことだろう。

翼竜の足に掴まれた馬車を不審に思った者が居たかは、不明である。

屋敷内に働く者達の叫び声に、様子を見に庭に出てきたワイリー子爵。

その目の前に降り立った、漆黒の翼竜。

そして翼竜の背から降り立った黒髪、黒い瞳の男。

「スネークス辺境伯閣下! いきなり物凄い登場ですな! 息子は元気でしょうか?」

と、多少声が上ずっているワイリー子爵。

パトリックは、翼竜の足に掴まれている馬車を指差しながら、

「ワイリー子爵殿、突然のこのような訪問、申し訳ない。国家の一大事ゆえ、許してほしい。あの馬車にアリシア第3王妃と、謀反に参加したキュリアル男爵家の家族が乗ってる。アリシア第3王妃の護衛と、キュリアル家を連行するための兵を貸してほしい。アリシア第3王妃を、プーの背に乗せてそのまま北に飛ぶと言ったら、アリシア第3王妃に猛反対されて、悩んだ末に1番近かったワイリー子爵に、迷惑承知で力を借りにきた。あと、ワイリー男爵は元気だぞ!」

と、説明を始めたパトリック。

一通りの説明を聞き、

「なるほど、事情はわかりました。協力しましょう」

そう言って快諾したワイリー子爵。

その後、半分潰れてた馬車から、アリシア第3王妃をなんとか救助し、キュリアル家の者たちは、多少怪我はしているが、命に別状無さそうなので、特に治療もせずそのまま別の馬車に放り込む。

「では、アリシア第3王妃様には、ここで一晩疲れを癒してもらった後、北のアボット辺境伯領へ、王都を通らずにお連れします」

と、パトリックと約束してくれたワイリー子爵。

「よろしく頼む。私はキュリアル男爵の家を調査した後、王都に飛ぶのですぐにここから出発します。後はよろしく!」

そう言って、プーの背に乗り上空へと消えたパトリックを見て、

「うちの息子、よくあんな人に仕えてられるな。ワシには無理だ。翼竜の迫力だけで、圧倒される」

と、つい本音が漏れたワイリー子爵に、

「私なんて、乗せられて空の上に拉致されたのよ? しかも2度目はオンボロ馬車の中!」

と、愚痴ったアリシア第3王妃。

「心中、お察しします」

と、深々と頭を下げたワイリー子爵だった。

なお、キュリアル男爵の屋敷に戻ってきて、屋敷の金目のものを全て、プーの背の籠に載せてから、

「プー、潰していいぞ」

と、パトリックがプーに言った。

東のキュリアル男爵家の屋敷が潰れた。

物理的に。