軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アボット領山岳地域

訓練場を出たパトリックは馬車工房に向かい、大型馬車を1台発注する。

色はアイスブルーである。

スネークス家には、黒い大型馬車が2台有ったわけだが、ワイバーンから翼竜に進化した今、1台の馬車に1匹という感じの体の大きさなのだ。

なので今回、王都にぴーちゃんは戻っていない。

スネークス領の屋敷で卵をひたすら温めているはずである。

そして、パトリックは北に向かう。目指すはアボット辺境伯領の山岳地域。

パトリックの悪名が響き渡っている地域である。

「スネークス辺境伯、ようこそ! 助かります!」

そう言って出迎えたのはライアン・アボット。

「兵の訓練はどのような感じで?」

と、パトリックが聞くと、

「弓と槍の訓練が主なのだが、どうにも統率がとれなくてだな」

と困り顔のライアン。

「編成は?」

「既存の部隊に満遍なく山岳民を入れて、各部隊に訓練させているが、反抗的な者が多くて」

「山岳民をばらけさせたのか? それじゃダメだよ。孤立して不貞腐れるでしょ? ある程度纏めて部隊に入れて、その中で競わせないと」

「纏めて部隊の中で反抗されるとキツイのだが」

「それは舐められてるんだよ。まあいい、手の空いてる部隊を集めて貰っていいかな。うちで鍛えるよ。そのための人員も連れてきてるから」

「うむ、とりあえず任せます。私は砦建設の方も見なくてはいけないので」

「あと、部族の集落で反抗的な所も教えておいて。シメてくるから」

「できれば殺さない方向でお願いしたいのだが」

「それは向こうの出方次第かな」

「閣下が去った後に暴れられても困るのだが」

「暴れる気力が無いようにすれば良いって事ね」

「えっと、そうなのか……な?」

♦︎♢♦︎♢

勢揃いした部隊の前に立つパトリック。

そこかしこで、

「あいつのせいで俺の村が……」

「よく俺達の前に顔が出せるもんだ。卑怯な方法で長を殺した癖に。訓練中に事故に見せかけて……」

「あの顔見るだけで、手が震えるのだが」

「嫌だぁ〜殺される〜」

などなど、声が上がるのだが、それを無視して、訓練が開始される事になる。

訓練所では8軍やスネークス領軍が散々やった、地獄のランニングが開始されたのだった。もちろんアボット辺境伯領軍も巻き込んで。

先頭をパトリックが、最後尾はトニングが受け持つ。

途中、意地でパトリックの背後まで全速力で走って来た山岳出身者達もいたのだが、パトリックがスピードを上げると、ちょっかいをかける事すら出来ずに引き離された。

ランニングが終わると、刃を潰した槍で訓練が始まるが、ここぞとばかりにパトリックに手合わせを願い出た山岳民達は、刃の潰れた槍で滅多打ちにされ、地面に転がる。

「お前らその程度の腕で、よく俺をどうにかできると思えたな……」

呆れ果てたパトリックの言葉に、反論すら出来ず、俯く山岳民。

ただ、北方面軍も同じく地面に転がっていたので、山岳民が弱いという訳ではないだろう。

2日ほどパトリックに訓練された兵士達。

その成果は、体力だけは有った山岳民に少しの自信を持たせ、山岳民をどこかで見下していた領軍に偏見を無くさせる効果はあった。

ただ、どちらからもパトリックが恐れられたのは言うまでもないし、パトリックが去った後、トニングが鬼教官と呼ばれたのだが、大した問題ではないだろう。