軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ワイリー男爵領での事

翌日、ワイリーとパトリックは朝から養鶏場に向かったのだが、

「ワイリー…アレ…何?」

「これはお館様にしては異なことを。鶏でしょう?」

人の腰ほどの高さがある鳥が、飼育員を追いかけ回し、それを領兵が槍の刃先が無いモノで叩いて追い払う光景が見られた。

パトリックはこの世界の鶏をちゃんと知らなかった。

いつも丸焼きなどで食べているのが、この世界の鶏だと思い込んでいた。実は産まれたてのヒヨコだった事を今知ったわけだ。

「あ、ああ、そうだな。鶏だ、うんうん、鶏だったな…」

「はい。奴らホント凶暴でして、餌を撒いても餌より人間の方に寄っていくし、飛べないだけで脚は速いし、ほとほと困っているようなのです」

「逃げ出したりは?」

「周りの囲いの板を割る程の力は無いので、逃げるまでは無いですが、脚を突かれ生傷が絶えないようです」

「となると、人間を舐めてるだけか。ふむふむなるほど。ではビビらせれば良いわけだ。よしビビらせようか」

♦︎♢♦︎♢

養鶏場の横に黒い馬車が到着した。

「プー、ペー、食べちゃダメだぞ」

「ギャー!」「ギュギュッ?」

「うんうん、空から襲う感じでいいよ。それを飼育員が守りに来て追い払うって段取りだから、槍持って人が出てきたら、慌てて逃げるような芝居してね」

「「ギャッ!」」

「飼育員もいいね? 君達が実は強くて鶏を守っていると思わせる作戦なんだからね」

「ハハハイッィ‼︎」

「そんなにビビらなくても、君達に怪我させたりしないから!」

「お館様、ワイバーンを見たら普通こうなりますよ?」

「ちゃんと言う事聞くんだけどなぁ」

その後、恐怖で泣き叫び逃げ惑い震える鶏達。

ワイリー男爵領産の鶏の鶏冠はこの後青く変化し、動き回らずに小屋で隠れるように生活するようになったため、身に脂が乗り、筋肉が落ちたため柔らかくなった。

ワイリー男爵領産の青鶏の誕生の瞬間である。

飼育員からも、飼育しやすくなったと好評であった。

なお、養鶏場の上空を飛ぶ2匹のワイバーンを見て、逃げ惑う領民と、それを必死になだめる領兵という光景も見られ、ワイリー男爵領でも、スネークス辺境伯は死神であると語り継がれる事になる。