軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

人類初 中編

パトリックは、アストライアを呼び、屋敷内で魔法が使える者をホールに集めさせた。

もちろんその場にはしっかりとソナも居る。

現在、王都スネークス家で働く者はかなり多い。

エルフは、アストライアの紹介で来た者達が数人、ドワーフは厩務員や御者、屋敷の保全要員として雇った者がかなりいる。

その中で魔法が使える者は僅か3名。

「アストライアは確か風魔法使えたよな?」

パトリックがアストライアに尋ねると、

「はい、自分が放った矢のスピードを上げたり、方向を少し操る程度ですが」

「エルフはどれくらいの割合で魔法が使えるんだ?」

「そうですね、だいたい2割から3割ほどでしょうか。風魔法が使える者、水魔法が使える者、光魔法が使える者と、家系により違いますが」

「なるほど。では、ドワーフは?」

「だいたい同じです。火魔法が使える家系や土魔法の家系とありますな。ちなみに私は土魔法で、屋敷の壁の修繕をしとりますが」

「私は火魔法を使って鍛治をしとりますな」

「3人、ちょっと見せてくれるか?」

「では!」

と、アストライアが矢をすごいスピードで放ち、途中で軌道を曲げるという技を見せた。ドワーフ達も火魔法のファイアーボールを投げる者と、土魔法のアースニードルという、地面に針が出る魔法を見せてもらう。

「ふむ、やはりエルフやドワーフは、魔法名だけで発動する訳だ」

「はい、覚えるまでは前文が必要ですが、覚えてしまえば、必要ありません」

「じゃあ、デコース兄、やってみて」

「「「「え?」」」」

4人の声が揃う。

「お館様、人族は魔法を使えませんが?」

アストライアが言うが、

「うむ、‘今までは’そう言われてきたな」

「ま、まさか?」

「ああ、さっき見せてもらった、デコース兄、ファイアーボールを」

頷いてデコースが、掌を突き出して叫ぶ。

「我が掌より射出せよ! ファイアーボール!」

チュドーン‼︎‼︎

「な⁉︎」

「ここここ、これは一大事ですぞお館様!」

「うん、そう思ったから皆に見てもらった、間違いなく魔法だよな?」

「大きさはドワーフが使うファイアボールよりも小さかったですが、間違いなくファイアーボールです‼︎」

「こりゃ大変な事になりますぞ。人族の魔法使いなど、この国、いいえ、この大陸初ではないかと!」

「だよな。俺も聞いたことないし、見るまで信じられなかったからな」

「それはそうでしょう! 今見たのにまだ信じられませんから! でも一体なぜ? デコース殿はドワーフの血が入っているのでしょうか?」

「いや、カナーン家には人族の血しか無いはずだ」

「デコース殿! 一体いつから使えるようになったので?」

アストライアがデコースに聞く。

「いや、いつからと言われても、ふざけてやったら出たので、いつからと言われたら4日前かな」

「つまり4日前に初めて試した訳ですな。するともっと以前から使えた可能性も有る訳ですか。これは魔法学者達は慌てるぞ。太古より人族は魔力を操れないと言われてきたから、前提からひっくり返るわけだ、ジジイどもの慌てふためく様子が想像できてワクワクしてきた!」

「アストライア…本性が剥き出しになってきてるぞ。いつもの冷静さはどうした?」

「はっ! お館様、申し訳ございません。魔法学者どもに、私の風魔法は血筋の割に貧弱だと罵られた事がございまして、奴らが大嫌いでして…」

「まあ、良いけどさ。とにかくデコース兄には、何発撃てるのかや威力はどうかを検証して貰う。3人はアドバイスなどを頼む。そして明日、陛下に報告に行く事にする。デコース兄もいいね? 明日の昼ごろ迎えに行くから。他の者は陛下より発表あるまで、他言無用! 良いな?」

「「「はい!」」」

その後、色々試した結果、デコースのファイアボールは前文を唱え無ければ発動しなかったし、魔力をどう溜めてもドワーフのファイアボールには及ばないが、近い威力にどうにかと言った程度であった。回数もドワーフの8割程度で魔力が切れてしまった。

「まあ、人族でこれだけ出来れば充分かな?」

「ですな。というかハーフドワーフの魔法使いよりは使えてます」

「ならばかなり良い結果なのかもな」

と、その場は解散となったのだが、

その日の夜、パトリックとソナの寝室で、2人の裸のレスリングごっこが終わった後、腕枕されたソナがパトリックに小声で、

「ねぇ、パット。デコース殿って先日誕生日だったのよね?」

「ああ、先日30歳になった」

「私、デコース殿が魔法が使えるようになった理由が分かる気がするんだけど」

「ソナもか? って俺にそっちの知識を教えてくれたのはソナだからなぁ。俺もあの噂が理由かなぁとは思ってる。この世界って成人も早いし、結婚も早い。街には安い歓楽街も多い。多分、条件を満たせる人族が居なかったんだろうなぁ、てかあの都市伝説、本当だったんだな」

「「30歳まで童貞なら魔法使いになれる」」

2人の声が揃った。