軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

王女メアリー

『(なんで)なの~!(なんで)なの~!』

あたしゃ、転生者だ。死んだと思ったら光が見えてそこに進んだら極楽浄土じゃない。

西洋人の顔が見えた。生まれた時に記憶があるタイプの転生だ。

思わず話してしまった。

『陛下!女の子でございます』

『妃よ。でかしたぞ!』

話す赤子はさぞかし気味が悪いだろう。大騒ぎだった。

『陛下、光輝いております。・・・聖女ではないでしょうか?』

『な、何だと、すぐに、鑑定、いや、もう少し母子休ませてから、お湯は・・』

『あなた、落ち着いて下さいませ・・・・』

『聖女だろうが、そうでなくても大事な我が子ですわ』

『うむ』

何を話しているか分からなかった。赤子の耳と脳では処理能力が追いつかない。

『しかし、ニャノ~、とは可愛い泣き声だな』

『ええ、可愛いですわ』

それからは大人しくしよう。

だが、赤子なので、昼寝し放題、ミルク飲み放題ですっかり意識が赤子になってしまった。

『フフフ、メアリー、ぐっすり寝ているわ。今日は女神教会に行きますわ。フランク、警備をお願いしますわ』

『はい、王妃殿下!当職の命にかけて!お守りします』

『声が大きいわ。メアリー、寝ているから・・』

『申訳ありません』

その後は分からない。貴族の家で寝ていたら森の中にいた。

やっぱり捨てられたか。あ、森の愉快な仲間達が籠をのぞいている。

鹿に、兎に・・・おい、アナグマだ。こいつは雑食性だ。怖い。

『(なんで)なの~!(なんで)なの~!』

『ギャア』

『ピー!』

泣いたら動物たちは大騒ぎだ。

その後、猟師さんに見つけてもらってゼークト領の孤児院に預けられた。

『まあ、立派な籠とお包みだわ・・・貴族の隠し子かしら・・可哀想に』

『ええ、なの~と泣いていました』

『では、ナノちゃんにしますわ。今日からナノちゃんね』

とナノちゃんだったが、4歳の時に。

『ほお、金髪、目はアイスブルーか。シスター、この子をもらおう』

とゼークト伯爵に引き取られた。

『今日からメアリーだ』

『はいなの~』

それがあたしの実親の記憶の全てだ。

今日、思い出したのはシスター様が王都に尋ねてこられたからだ。

・・・・・・・・・・・

「メアリー様、これがその時の籠とお包みですわ」

「ありがとうなの~。でも、様付けはいらないの~」

シスター様は孤児院長を引退し王都の親戚の家で暮らすと言う。

「年金も変わらず払うの~」

「有難うございます。なんて、立派に育ったのかしら」

手を振りお見送りする。

そういや、私の実親って誰なのだろうか?

「まあ、メアリー様、おすまし顔をして、どうなさったのかしら」

「マリーしゃん。メアリーはもうすぐ8歳なの~」

「まあ、生誕祭をしなければ」

「いいの。ご遠慮願うの~」

そうだ。ゼークト伯爵のタウンハウスを出てもうすぐ1年か。いろいろあったな。

☆☆☆王宮

「お母様!お母様!」

・・・ここノース王国では7年前にいなくなった王女殿下、メアリースチュアートの捜索が今でも行われていた。

時々、自称王女殿下が現れるが。

「王妃殿下、この子がメアリースチュアート様でございます。私が育ての親でございます」

「そう、ならば聞く。メアリーのお包みと乳母車は?どのような形かしら」

「はい、お包みは絹で・・・立派な乳母車でした」

「どのような泣き声でしたか?」

「はい、『オギャー』です・・・」

「そう、お帰り頂いて」

「え、この子は・・・」

すぐに分かった。お包みは絹ではない。暖かい布地で私の手縫い。乳母車は使っていなかった。

いくつかの情報は開示されていない。

「フウ、私の宝物は『なの~』と泣いていたのよ・・・」

「妃よ。すまない」

「いえ、いいのですわ」

だが、有力な情報が入ることになったわ。

「陛下!王妃殿下、緊急の謁見要請です。失われた王女殿下の事です」

「ベレッケ候よ。今日はおしまいだ」

「いえ、フランク卿です」

「何・・・・」

フランク、元護衛騎士が訪ねて来たわ・・

「グスン、グスン、陛下、王妃殿下・・・恥知らずにもどうしても伝えたいことがございまして参上いたしました・・・」

「フランク・・・そちだけの責任ではない・・が今日はどうした?」

「はい、メアリースチュアート様らしき方を王都で見つけました」

「「王都!」」

「まさか、王都にいたなんて・・」

「はい、確かに語尾に『なの~』とついて、聖魔法を使っておりました」

「い、いくわ。これから案内して!」

「妃よ。・・・落ち着け」

・・・俺はフランク、元騎士だった。メアリースチュアート様の籠が怪鳥にさらわれた・・・空だった。まさか、空から来るとは思わなかった。

「フランク、案内してくれるわよね」

「はい、今度は命に代えてもお守りします」

そうだ。数日後、陛下、王妃殿下がお忍びでトーマス商会で向かう。

「・・・なの~!」

と声が聞こえる。

「ハッ!ハッ!ハッ!なの~」

え、砂の入ったツボか・・・それを指で突いている。周りにはトーマス商会のゴロツキがいる。

「これが出来なければ見習いになれないの~」

「「「はい、姉御!」」」

『姉御』と呼ばれている。怪鳥にさらわれたメアリースチュアート様はご苦労をされて、裏組織で貫手を鍛錬されていた・・・・理解が追いつかなかった。

だが・・

【メアリー!メアリースチュアート!】

王妃殿下は一目で分かったようだ。

「何なの~、メアリーなの~」

抱擁をされた。

「グスン、グスン、母ですよ」

「ハニャ?」

・・・この日、貫手の指導をしているところを、感動の再会を果たしたが・・

年代記では。

下町でも高貴さを隠せないメアリーはただ者ではないと侠客トーマスに匿わていた。メアリーは庭で花の匂いを嗅いでいるところを母である王妃殿下に見つけられたと伝えられている。