軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

78.岩塊の王

リトルロックドラゴンが来ていることに気付いてすでに逃げた人も多いようだが、それでもまだ結構な数の村人が残っている。

ドーズを捕らえようとしていた人や、リトルロックドラゴンを追い返そうとしている人だ。

負傷した知人や家族を運ぶため、残っているという人も多い。

こんなところで暴れられたら、とんでもないことになる。

リトルロックドラゴンには〖地響き〗のスキルがある。

大地を砕き、周囲を巻き込む範囲技だ。

威力は低いが、普通の村人ならどの道一撃だ。

俺はどうするべきか考えを纏めるため、リトルロックドラゴンのステータスを確認する。

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種族:リトルロックドラゴン

状態:憤怒(大)

Lv :24/55

HP :262/262

MP :93/117

攻撃力:183

防御力:248

魔法力:107

素早さ:54

ランク:C

特性スキル:

〖竜の鱗:Lv4〗〖ブレス強化:Lv2〗

〖HP自動回復:Lv2〗〖土属性:Lv--〗

耐性スキル:

〖火属性耐性:Lv5〗〖物理耐性:Lv3〗

〖魔法耐性:Lv4〗

通常スキル:

〖サンドブレス:Lv4〗〖噛みつく:Lv4〗〖岩爪:Lv4〗

〖自己再生:Lv3〗〖地響き:Lv4〗〖ストーンプレス:Lv6〗

〖クレイ:Lv1〗〖ドラゴンテイル:Lv1〗

称号スキル:

〖最終進化者:Lv--〗

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やっぱし、前回より遥かにパワーアップしてやがる。

ツインヘッドが可愛く思えてくる凶悪なステータスだ。

防御力で霞んで見えるが、攻撃力も恐ろしい。

唯一低いステータスは素早さだが、あれだって致命的なほど遅いってわけじゃねぇ。

マハーウルフよりは遅いが、普通の村人が走るよりはずっと速い。

素早さを補うだけの範囲攻撃を持ってやがるから殴って逃げるの戦法も通じねぇ。

おまけに村人もいるから、長引いたらどんどん巻き込んじまう。

最悪の状況だ。

ファーストコンタクトでドーズを殺すべきだったのだ。

いや、さっき突き飛ばしたときでも、殺す気でやっていればあの段階で卵を取り戻すことができていた。

ただの結果論だ。

ただの結果論だが、今の状態を思えば、そうと割り切れない。

ひょっとして俺は、これを機に村に馴染みたいという打算があったから、人殺しを忌避し、ドーズを野放しにしたんじゃないのか?

その結果が今なのではないのか?

「ガァァァァアアッ!」

頭の中のもやもやを取り払うように、俺は叫び声を上げる。

リトルロックドラゴンは俺を睨み、その延長線上に卵の残骸を発見する。

「ガァァアァオオオオオオオッ!」

大きく足を持ち上げ、地面を踏み付ける。

辺り一面が揺れるのを感じる。

一撃では済まない。

何度も、何度も何度も、リトルロックドラゴンは地面を足で踏み鳴らす。

一番警戒していた、絶対村の中で使われたくなかったスキル、〖地響き〗だ。

地面が割れ、何人もの村人がその割れ目に身体を引き摺り込まれる。

悲鳴、怒声が飛び交う。

足を挟まれ動けなくなりひたすらに助けを求める者、死んだ知人の身体を何度も揺する者。

祖父らしき男の治療をしていた子供が、泣きながら走って逃げて行く。

孫に手を伸ばす初老の男が、その体勢のまま数秒後こと切れる。

俺は地を蹴って翼を伸ばし、俺よりも二回り以上大きいサイズを持つリトルロックドラゴンに飛び掛かる。

リトルロックドラゴンの尻尾が俺へと伸びる。

俺は翼を傾け、降下してそれを躱す。

胴体の右側を抜け、加速で威力を上げた〖痺れ毒爪〗で身体の側面に大きな線を引いてやる……つもりだった。

早々と弾かれた俺の爪が宙に舞った。

俺は動揺しながらも、そのまま滑空を続けて間合いを取った位置で着地する。

リトルロックドラゴンのHPを確認。

ダメージはまともに通っていない。

どころか、すぐに自動回復に掻き消される。

俺は自分の持っているスキルを頭に巡らせる。

〖転がる〗、〖ドラゴンパンチ〗じゃ威力が足りない……。

〖毒牙〗?

いや、そもそも牙が通らないし、仮に状態異常を付加できても、俺程度の貧弱な毒なんか自動回復に打ち消されちまう。

〖くるみ割り〗なら相手の重量と合わさって可能性はありそうだが、リトルロックドラゴンを抱えて宙に飛び上がることなんてできるわけがない。

ない。

リトルロックドラゴンを突破できる手段が、何一つない。

背後は取った。

この隙に、何かできることは試しておきたい。

試しておきたいのに、まるで考えが頭に浮かばない。

俺が悩んで固まったその瞬間、リトルロックドラゴンが大きく足を浮かせ、激しく地面を踏み鳴らす。

再び辺りが揺れ、地が裂ける。

後ろ足近くにいた俺はまともにその衝撃を受け、大きく吹っ飛ばされる。

咄嗟に宙で身体を丸めて、頭部を地に打ちつけることだけは回避できた。

〖転がる〗が習慣づいていたお蔭だろう。

が、丸めた身体を伸ばして体勢を戻し、リトルロックドラゴンへ目を向けたとき、岩の塊が俺へと迫ってきていた。

リトルロックドラゴンの尻尾だ。

「ゴボォッ!」

くらった瞬間、頭が真っ白になる。

自分の口から血が出ていて、俺はその飛沫を目で追った。

岩塊の鞭が、俺の身体を弾く。

〖攻撃力:183〗は伊達じゃねぇ。

攻撃、防御、どちらも今まで俺が見た中でダントツだ。

何度も危ない橋を渡ってきた自信があったが、それでも高火力をモロに身体で受けたのは、思えば今が初めてだった。

舌の端を自らの牙で噛み千切り、ぶっ飛びそうな意識を何とか持ち堪える。

顔を上げて睨んだ先にいるリトルロックドラゴンは、さっきよりもずっと大きく見えた。

再び岩塊の鞭が持ち上げられ、動きの鈍った俺を目掛けて振り下ろされる。

避けようとして足に力を入れたとき、急激な鈍痛が俺の腹に響いた。

さっきくらったダメージが重すぎる。

麻痺していた痛みが返ってきて、一気に俺の身体を貫いたのだ。

激痛に意識が割かれ、回避が遅れる。

もう駄目かと思ったとき、リトルロックドラゴンの動きが止まる。

首をぐるりと回し、俺から目を離す。

「退くなぁっ! あの闇竜に加勢するんだぁ!」

「俺達の村だろうがぁっ!」「効くかはわからんが、討て、討ちまくれぇっ! どこか柔らかい部位があるかもしれん!」

グレゴリーを先頭に、武装した村人達が各々の武器をリトルロックドラゴンに向けているのが見えた。