軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

717.破壊の獣

アロとトレントと別れ……空の上を真っ直ぐに飛んでいた見つけたのは、一面に広がる砂漠であった。

『……ハレナエの方が先に見つかったか』

アーデジア王国とハレナエの国の距離間は近い。

ハレナエの国自体はさほど大きくはないが、ハレナエ砂漠を含めればかなり広大である。

この方角に飛んでいれば、どちらかへはいずれ行き着く。

仮に通り過ぎても、人里さえ見つけて情報収集を行えば軌道修正できるはずだという方針で動いていた。

俺は砂漠を突っ切って、ハレナエの国を捜す。

かつては広大に思えたハレナエ砂漠だが、アポカリプスの飛行速度さえあれば、半日も掛からずに横断できてしまいそうだ。

こうして見ていると懐かしさがある。

赤蟻を倒して回ったり、逆に手を組んだりしたんだっけな。

散々追い掛け回された大ムカデだって、今となっては赤子同然だ。

飛んでいる内にハレナエの国が見えてきた。

高い壁の向こう側に、いくつもの四角い建物が見える。

見覚えのある光景に俺は懐かしさを覚えた。

そのとき、凄まじい轟音が、まだ遠くの上空にいる俺の方まで聞こえてきた。

大地が激しく揺れ、巨大な衝撃波がハレナエを両断した。

その後には、大きな崖のような亀裂が残った。

……ハレナエで当たりだったか。

懐かしさに浸ってる余裕はねぇみたいだ。

聖女ヨルネスも大概な化け物だったが、今回も敵も規格外の相手のようだ。

こんな馬鹿げた威力を誇っている化け物が相手であれば、力技だけでハレナエ全土を沈められかねない。

まだハレナエが原型を留めている内に来られたのは奇跡に近いかもしれねぇ。

不幸中の幸いだったといえる。

俺は一気に加速して、ハレナエに走った亀裂の先へと向かう。

国の中央に、俺と同程度の大きさを持つ、巨大な獅子のような化け物がいやがった。

青黒い毛皮を持ち、身体の周囲から赤黒い、ぶよぶよとした触手が伸びていた。

顔も獅子のようだが、人間に近く不気味である。

そして胸部に、大きな口が開いていた。

神の声の野郎に〖スピリット・サーヴァント〗嗾けられたときには、こんな化け物はいなかったはずなんだが……。

ただ、聖女ヨルネスも、その正体は巨大な彫像のような化け物であった。

だとすれば、あのときにいた大鎧の真の姿が、この獣なのかもしれねぇ。

あの鎧姿から察するに、恐らくは元勇者……。

ここが勇者の国ハレナエであることとも符合する。

俺は遠目に〖ステータス閲覧〗で奴を確認する。

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〖アーレス・アルグレイル〗

種族: 饕餮(とうてつ)

状態:スピリット

Lv :140/170(Lock)

HP :16423/17292

MP :12635/12963

攻撃力:12105

防御力:8214

魔法力:4755

素早さ:3026

ランク:L+(伝説級上位)

神聖スキル:

〖人間道(レプリカ):Lv--〗〖畜生道(レプリカ):Lv--〗

〖修羅道(レプリカ):Lv--〗〖餓鬼道(レプリカ):Lv--〗

〖地獄道(レプリカ):Lv--〗

特性スキル:

〖HP自動回復:LvMAX〗〖MP自動回復:LvMAX〗〖グリシャ言語:LvMAX〗

〖瞋恚の炎:Lv--〗〖神獣の剛皮:LvMAX〗〖神獣:Lv--〗

〖石化の魔眼:LvMAX〗〖触手:LvMAX〗〖帯毒:LvMAX〗

耐性スキル:

〖物理耐性:LvMAX〗〖魔法耐性:LvMAX〗〖毒無効:LvMAX〗

〖麻痺無効:LvMAX〗〖混乱耐性:LvMAX〗〖石化耐性:LvMAX〗

〖即死耐性:LvMAX〗〖呪い耐性:LvMAX〗〖幻影耐性:LvMAX〗

通常スキル:

〖炎獄斬り:LvMAX〗〖 多影歩(たえいほ) :LvMAX〗〖クレイウォール:LvMAX〗

〖念話:LvMAX〗〖人化の術:LvMAX〗〖自己再生:LvMAX〗

〖転がる:LvMAX〗〖噛み潰す:LvMAX〗〖腐敗の息吹:LvMAX〗

〖穢れの舌:LvMAX〗〖呪禍の爪:LvMAX〗〖呪禍の牙:LvMAX〗

〖分離獣:LvMAX〗〖毒毒:LvMAX〗〖餓呪玉Lv:MAX〗

〖餓獣の獄炎風〗〖地母の嘆き:LvMAX〗〖天父の怒り:LvMAX〗

称号スキル:

〖最終進化者:Lv--〗〖元勇者:Lv--〗〖元魔獣王:Lv--〗

〖四凶獣:LvMAX〗〖天変地異:Lv--〗〖従霊獣:Lv--〗

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俺の予想通り、元勇者で間違いなかったようだ。

……覚悟はしていたが、馬鹿げたステータスだ。

アポカリプスの圧倒的なHPと攻撃力と防御力を大幅に上回っている。

なんだ、【攻撃力:12105】って馬鹿なのか?

俺でさえ下手したら一撃でぶっ殺されかねないステータスだ。

一撃で国一つ真っ二つにできるだけの破壊力を有しているわけだ。

ただ、毒こそ持っているが、それ以外にトリッキーというか、極端に危険そうなスキルは持っていない。

物々しい名前のスキルはあるが、ざっと確認したところ、素直な攻撃スキルと判断してよさそうだ。

比較的正統派のスキル構成……聖女ヨルネスと違って、ゴリゴリのパタータイプだ。

もっともまぁ……聖女ヨルネスと比べりゃ、どいつだって正統派になっちまうかもしれねぇが。

……しかし、ついに伝説級上位が出てきちまった。

四体揃ってただの伝説級なら楽だったんだが、そうはいかないみてぇだ。

魔王バエルだかは神の声も歴代最強の魔物と称しており、伝説級上位臭いと睨んでいたが、勇者もそうだとは思わなかった。

恐らく〖スピリット・サーヴァント〗の四体の中で、二番目に強いのが勇者アーレスだ。

【〖 饕餮(とうてつ) 〗:L+(伝説級上位)ランクモンスター】

【人の世が欲望に支配されたとき、世界の果てより現れると言い伝えられている獣。】

【常に激しく飢えており、欲と破壊衝動に突き動かされ、この世界の全てを喰らい尽くすまで止まらない。】

……この世界の全てを喰らい尽くすまで止まらない……か。

神の声の目的は俺にプレッシャーを掛けて急かさせることであるため、一気に国や街を破壊するようなことはしないだろうとは考えていたが、この程度の被害で済んでいるのは本当に奇跡なのかもしれねぇ。

「オオオオオオオオオオオオオオッ!」

勇者アーレスこと饕餮が咆哮を上げて、両の前脚を持ち上げる。

まさかアイツ……もう一発、国を両断したスキルを放つつもりか!?

これ以上、好き勝手に暴れさせはしねぇ!

俺は饕餮の掲げた腕目掛けて、全力で〖次元爪〗をお見舞いしてやった。

「ウゥ、ウオオオオオオッ!」

饕餮の腕に鋭い爪撃が走り、奴が身体に纏っている触手のいくつかがバラバラになって周囲へ散らばった。

饕餮の腕が下がった。

……ひとまず饕餮の破壊は阻止できた。

だが、奴と俺がまともに戦えば、どの道ハレナエは一溜まりもないだろう。

アバドンと違い、饕餮に飛行能力はない。

ハレナエがまともに打撃を受けることになる。

それに俺も饕餮も攻撃力一万オーバーなのだ。

「グゥオオオオオオオオッ!」

俺は〖次元爪〗の連打を饕餮へと放つ。

俺の不意打ちを受けて体勢の崩れていた饕餮は、そのまま俺の連打を受けることになった。

ただ、〖次元爪〗の連打はあまり効率がよくない。

MP消費が激しい分、無理に回数を増やすより、重い一撃を放った方がいいからだ。

今は不意打ちで崩した隙を素早い連撃で突きたかったというのもあるが、饕餮に充分に近づくまで、極力奴の動きを制限する必要があった。

本格的に暴れられては、ハレナエが消し飛ばされかねないからだ。

どんなに小さなダメージでもいい……とにかく、攻撃回数を重ねて奴を動けなくする。

饕餮は触手を束ねて盾にして俺の攻撃を受けている。

それなりの回数は与えているはずなのだが、思いの外に外傷が小さい。

饕餮の馬鹿高い防御力相手に、手数で勝負するというのはあまりよくなかったようだ。

もっともダメージを与えることではなく、接近するまで動けなくすることが目的だったので仕方がないのだが……。

俺は最高速で一気に接近すると、饕餮の肩に爪を喰い込ませて、奴の身体を地面へと引き倒した。

このままこいつを、国の外まで運ぶ……!

饕餮の放った攻撃で国に大きな亀裂が走っており、亀裂の周囲にはひっくり返った建物の山ができていた。

この瓦礫の山の中に生存者が避難していることはねぇだろう。

俺は饕餮の身体をひっくり返った建物の山に叩きつけると、そのまま奴を大地に押し付けて引き摺ったまま、一気に国の外へと向かった。